提供:SIMGOT
2019年4月発売の有線ハイレゾイヤホン「SIMGOT EM2」をレビューします。
中国の神話の女神「洛神」の名を冠しているだけあって、見た目も中身(音)も美しく、そして清らか。
惜しむらくは有線であることなのですが、追加で無線化キットを買ってでも使っていきたいと思えるほど上質なイヤホンでした。
SIMGOT EM2の概要
- 重さ:24g(ケーブル込み、実測)
- ケーブル長:120cm(実測)
- インピーダンス:10Ω
- ヘッドホン感度:101dB
- 周波数応答の範囲:15Hz-40kHz
- 定格電力:3.5mmストレートプラグ付きの15mW
- 歪み度:<1% 101 dB
- チャンネルバランス:<1.5 dB (1000Hzで)
- ボーカリズムの原則:ダブルダイナミックドライバー
- ヘッドホンのカテゴリ:HIFI、ハイレゾ、モニター
- カラー展開:パープル、ピンク、緑、透明、透明なブラック
これまでレビューしたどのイヤホンよりもガチなスペックです。(なんせハイレゾ扱い)
SIMGOT EM2レビュー
ではレビューしていきます。
外箱:高級感あふれるインビテーション
いつもは外箱のレビューなんてしないんですが、あまりに艶やかなアンボックスだったため、開封の様子もご紹介します。
紙のパッケージを開けると、なかには漆黒の中箱が。
エンボス地のなかに、光沢で描かれた波のエンブレムが雰囲気を盛りあげます。
さらに開封すると、黒のベースのなかで宝石のように輝くイヤホン本体、そして革地のケース。
おもわず「おおっ」と声が出そうになります。
付属品:「イヤホンは宝石」と言わんばかり
- イヤホン本体
- イヤホンケーブル
- 革テイストのケース
- イヤーピース×6セット
- 説明書×2、保証書
イヤホンとしてはめちゃくちゃ充実しています。
革テイストのケースは、マチが確保されているうえ、フタの部分はマグネット式。
中身をしっかり守る作りから、「イヤホンを大事に使ってほしい」という思いを感じます。
本ケース、SIMGOTのイヤホンには必ず付属するそうで、単体でも買いたいという人もいるそうです。
イヤーピースは、高音域重視の「Ⅰ」と低音域重視の「Ⅱ」、それぞれ3セットずつ付属。
カナル型イヤホンの音バランスはイヤーピースで大きく変わる、ということを理解しているラインナップです。
全般的に、「このイヤホンは宝石のようにプレシャスな存在」というストーリーを感じます
外観・デザイン:きらびやか
イヤホン本体は、光の反射で輝く透明素材+少しのカラーリングで飾られています。
一色ベタかつ光を吸収する素材で、良くも悪くも目立たない「無難なイヤホン」と明らかに違うスタンスを感じます。
そのデザインコンセプトはケーブルにもあらわれています。
なんせこのケーブル、ホワイトゴールドのネックレスチェーンみたいに美しいんです。
キレイだよなあ、と思わずにはいられません。アクセサリー感覚で身につけられそうです。
ちなみに、ケーブルをまとめるテープには「Salute to Art and Science」の文字が。
ジュエリーのようなデザイン(Art)だけでなく、音を奏でる機器としての矜持(Science)も忘れてないよ……ということなのでしょう。
細かいところに哲学的な文言が入っているって、ちょっとグッときませんか?
音質:基礎力+カスタムでいくらでも化ける
音質は、一言でいうならば……
「基礎力は確保するから、好きにカスタムしてほしい」
そんなスタンスをひしひしと感じる構成です。
ただ、特にカスタムしなくても十分に美しいです。中音域を中心に、丁寧に音を奏でます。
特に「ボーカル×ピアノ・弦楽器」の組み合わせは相性抜群。西野カナの「トリセツ」や徳永英明の「LOVE LOVE LOVE」あたりはピッタリですし、Whitney Houstonの「I Will Always Love You」なんて感動レベルでキレイです。
……というわけで、細かなレビューいきます。
低音域
少し弱め調整。音圧を感じたい人には消化不良感が残るでしょう。
ブルーノ・マーズの「24K Magic」など、もともと低音の強い曲でようやく低音が前面に出てくるかな、というレベル感です。
音像は中央より上あたり。まっすぐ頭に響くというより、少し「うわついた感じ」に聞こえます。
中音域
とにかく芳醇です。目の前でボーカルが歌っているような感じ。
ボーカルの微妙な声色、息づかいを含めた表現をそのまま伝えてきます。
また、ギターの弦とピックがこすれる音、ピアノの和音の余韻など、これまで聞こえなかった音の聞き分けができるくらいきめが細かい。
中音メインの楽曲、特に女性ボーカルはキレイに聞けるでしょう。
高音域
左右の鳴らし分けがはっきりしており、立体感は十二分。
計算され尽くしたトレブルで魅了するタイプの楽曲の魅力を引き出せるだけの実力はあります。
個人的にはもう少し奥行きや粒度感がほしかったところですが、ここは好みの問題でしょう。
カスタムで一気に化ける
SIMGOT EM2は、サウンドユニット自体は基礎力に全力をあげており、音源をなるべくかつ素直に鳴らします。
そのため、音を完成させるには、
- 高音・低音いずれに重点を置くか、基本スタンスをイヤーピースで調整
- サウンドエンハンサーやイコライザで好みにカスタム
の2点が前提になっているように感じます。(そのままでもキレイなんですけどね)
そのせいか、サウンドエンハンサーの調整意図がダイレクトに音に反映されやすい、という特性を持っています。
なんというか、ほかのイヤホンと比べてきちんと言うことを聞いてくれるというか。
たとえば「低音を響かせろ!」的なエンハンサーを入れると、ボンボン低音が響きます。「お前そんなキャラだったっけ?」って思うレベル。
つまり、自分の好きな音を作りやすい。音の作り込みを楽しみたい玄人さんにとって、これほど「いじりがい」があるイヤホンはないと思います。
きらびやかな見た目とはうって変わって、中身はガチです
使い勝手:ケーブルノイズを防ぐ形。絡まりにくさもGood
イヤホン本体はケーブルの端子につなげて使います。端子の規格があえばリケーブルも可能。
なお左右をまちがえると全然耳にフィットしなくなるので、イヤホンとケーブルに刻印されているL/Rの文字はきちんと確認が必要です。
また形状からおわかりの通り、イヤホンケーブルを耳の後ろに回して装着する「シュア掛け」が前提です。
「シュア掛け」のいいところは、イヤホンケーブルが体やカバンに触れることで起こる「ケーブルノイズ」がほぼゼロになる点。
つけ外しに少しコツが必要ですが、好きな音楽をそのまま楽しみたい人には嬉しい仕掛けでしょう。
また、ケーブルが編み込み構造になっているおかげで、ふつうの有線ケーブルより絡まりにくくなっています。
ケーブルをまとめるためのテープが付属するので、長すぎると思ったらまとめておけますし、取り回しは良いほうだと思います。
保証期間:安くないがゆえ、安心の長期間
SIMGOT EM2には、
- 理由不問で30日間の返金保証
- 品質上の問題に対する1年間の保証
かついてきます。
くわえて、同梱されている保証書のQRコードからVIP登録すれば、保証期間を3ヶ月延長可能。
安くないイヤホンなので、万が一なにかあったときに返金・交換を含めた対応をしてもらえるのは安心ポイントです。
SIMGOT EM2はこんな人におすすめ
これまで手に入れたイヤホンのなかで、SIMGOT EM2ほど特別感を感じたものはありません。外箱から続く特別感あふれるストーリーだけでなく、イヤホンとしての実力もあいまって、本当に特別なものを使っているんだなあと感じます。
宝石のような本体とホワイトゴールドを思わせるケーブルのおかげで、まるでイヤホンではなくジュエリーを身につけている気分になれます。
そんな見た目にかかわらず、イヤホンとしての性能はガチの人でも楽しめます。基礎力の高い素直な音を、心ゆくまでカスタマイズできるので、自分の音を見つけたい求道者的な玄人はぜひ腕試しにどうぞ。
まとめ:特別感で満たされていく、高品位のイヤホン
総合評価:
SIMGOT EM2は、
- 美しいデザイン
- 美しく素直に奏でられる音
- 美しい音を追求できるカスタマイズ性
を兼ね備えた、ライトユーザーからヘビーユーザーまでカバーする、隙のないイヤホンです。
中国の神話に登場する女神「洛神」を銘打っている理由がよくわかりました。あらゆる面で美しく、品位を感じます。
惜しむらくは、有線であること。完全ワイヤレスイヤホンに慣れた体には、有線特有の取り回しの面倒さが目についてしまいます。
しかし、有線の面倒さをもってもなお「あのリッチで高精細な音が聞きたい」という思いが勝る。SIMGOT EM2は、それほどまでに自分を特別感に満たしてくれる、魅力あるイヤホンでした。
以上「音もデザインも美しいイヤホンSIMGOT EM2のレビュー」でした。
なおSIMGOT EM2のイヤホンのコネクタは、0.78mm 2pinで、ケーブル側の楕円形のカバーで覆う「qdcタイプ」。
そのため、「2pinタイプ」および「qdcタイプ」のケーブルでリケーブル可能です。
ケーブル断線、音質改善、デザイン変更の際の参考にしてください。