トラックボールマウス「Digio2 Q(有線版)」を買ったのでレビューします。
総じて、トラックボールに慣れた人向けの持ち歩き専用機という感じ。
トラックボールに慣れていない初心者ではなく、
- すでにトラックボールを使いこなしている
- 「出先でも使いたい」と思っている
くらいのトラックボーラーが、サブ機として買う用のものだと感じました。
ぼくは初トラックボールにDigio2 Qを買ったんですが、正直選択を誤りました……
Digio2 Qを選んだ理由
ぼくが初めてのトラックボールにDigio2 Qを選んだ理由は、3つあります。
- 持ち歩きやすさを重視したから
- ボールを交換できるから
- 有線だから
それぞれ、詳しくお話します。
1. 持ち歩きやすさを重視したから
仕事がフリーアドレス(自分の固定席がない形)なので、仕事でトラックボールを使うなら、持ち歩かなければなりません。
しかし仕事道具が大きかったり重かったりだと、通勤だけで疲れてしまいます。
その点、Digio2は、重さも大きさも、一般的なトラックボールの70%程度の大きさ。
これなら仕事場に持っていくのも苦にならなさそうです。
軽さ・小ささは正義
2. ボールを交換できるから
Digio2 Qのボールは直径34mm。Logicoolなど他のメーカーのものと同じです。
そのため、なにかの拍子にボールをなくしても、交換品を買えば使い続けられます。
長く使うことを考えると、交換品が手に入りやすいのは安心材料です。
ボールは消耗品だそうですし、なくすリスクも無視できません
3. 有線だから
Digio2 Qには、Bluetooth版、2.4GHz無線版、有線版があります。
今回は有線版を選択しました。理由は、使い方的に無線のメリットが感じにくく、むしろデメリットが目立ったからです。
- 使い方:ノートPCの近くにトラックボールを置く、かつ基本動かさないので、無線にする意味が薄い
- 電池:有線だと、電池切れの心配がない
- 重さ:有線だと、重い電池を持ち歩かなくていい
ただ有線だと配線の面倒さや線自体の耐久性の問題もあり、最後までBluetooth版と迷いました
Digio2 Qの概要
- 本体寸法:W88×D95×H47mm
- 重量:約130g
- 対応OS:Windows 10/8.1/8/7/Vista、MacOS X(10.2以降) Android OS Ver4.4以降
- 分解能:450~1200dpi(自動)/600(固定) 切替式
- ボタン:5ボタン(4ボタン+ホイール)
- ボールサイズ:34mm
「ボールサイズ34mmとしては世界最小」と銘打っているとおり、一番の売りは小ささと軽さ。
分解能の自動調整機能など、一定の操作性向上系の機能は持ち合わせていますが、基本は持ち歩きやすさに特化したスペック、と言えます。
Digio2 Qレビュー
それではレビューです。
結論を先に言ってしまうと、
- デザインや機能、静音性は文句なし
- が、操作性に難あり(玄人向けすぎて初心者には使いこなすのが難しい)
です。
外観・デザイン:コンパクトでミニマル
黒のボディに赤のボール。
シュッとまとまっていて、いい感じです。
薬指が置きやすいようにカーブが入っています。
小さめのマウス「Logicool M545BK」と比べてみました。
Digio2 Qのほうが幅や高さがありますが、縦はむしろ短く、無理なく持ち歩けるサイズ感におさまっています。
ぼく(172cm・手が大きめ)が手を乗せると、手のひらの付け根がデスクにつくくらいの奥行き。
小柄な方なら、ちょうど手のひらにフィットするんじゃないかと思います。
ボタンの操作性・音:80点
- 左右ボタン
- 進む・戻るボタン
- ホイール
の、いわゆる5ボタン構成。ホイールを横に倒す「チルト」機能はありません。
くわえて、左右ボタンの根本に「モード変更ボタン」がついています。
それぞれ見ていきましょう。
左右ボタン
めちゃくちゃ静か。でもクリック感は確保。カチカチではなくコトコトという感じ。
好みが分かれるかもしれませんが、押してていて気持ちいいので、ぼくは好きです。
進み・戻るボタン
コリッという触感。静音化されていませんが、そこまでうるさくもありません。
ただ、ボタンの位置が人差し指の定位置から遠いのが玉にキズ。手を動かして押す必要があり、使い勝手はいまひとつです。
ホイール
無段階で静かに回ります。シャーっと高速回転はしません。
押すと中央クリックですが、やたら重くて使いものになりません。CtrlやShiftと左クリックの同時押しなどで代用しましょう。
解像度スイッチ
2つのモードがあります。
- 1回点滅:固定モード(600dpi)
- 2回点滅:変動モード(ボールの回転の速さに応じて450〜1200dpiに自動調整)
基本「変動モード」にセットしておくほうが操作しやすいようです。
ボールの操作性:きつい
2週間くらい毎日使いこんでみましたが、なかなか安定しません。
おそらく、理由は2つ。
- 操作に慣れにくい形をしているから
- ボールのすべりが良すぎるから
操作に慣れにくい形をしている
Digio2 Qにはパームレストがありません。そのため手の位置が定まらず、手を乗せるたびにボールと親指の角度が変わります。
そのため「こう親指を動かせばポインタはこう動く」という感覚がつかみづらいんです。要するに、毎回が初めて状態。
コツとして、右手の小指と薬指をDigio2 Qの表面に沿うようにべったり置くと手のポジションが安定しやすくなりますが、この「ポジションあわせ」を毎回やるのも大変なもの。
小型化のためしょうがないとはいえ、初めてトラックボールを使う人には厳しいと感じます。
ボールの扱いに慣れている人ならすぐ使いこなせると思います
ボールのすべりが良すぎる
ボールのすべりが軽く、少しの力でするっと回ります。
これ、いいことのように聞こえますが、逆です。細かい作業をするときの一番のイライラするポイントであり、Digio2 Qの最大の弱点といっても過言ではありません。
なぜなら、ボールのすべりがよいと、それだけ細かなコントロールが指先の力加減に依存してしまうから。
たとえば、硬い机に置いた1枚紙にボールペンで小さな文字を書こうとすると、ペン先が滑りすぎて書きづらいですよね。
そんなとき、下に紙をもう1枚挟むと滑りにくくなって書きやすくなりますね。また、鉛筆なら同じ状況でも書きやすいですよね。
これ、摩擦が理由です。ペン先と紙にある程度の摩擦がある方が、ペン先がコントロールしやすく、文字がきれいにかけるんです。
トラックボールも同じで、微妙なコントロールにはそれなりの摩擦が必要です。
しかしDigio2のボールにはそれがありません。硬い机でボールペンを使うのと同じく、細かくポインタを動かそうとすると、少しの力でガバッとポインタが飛んでしまうんです。
もちろん、指先の絶妙な力加減で微妙なコントロールができる技量を持っている人なら問題ないでしょう。しかしそうでない人、特にトラックボール初心者にとって、Digio2 Qのボールのすべりやすさは非常に高いハードルとなります。
これをなんとかするには、指先ではなく指の付け根でボールを転がす、ポインタの移動スピードを極限まで遅くするなどの工夫が必要です。が、それだと「指先1つでどこまでも自由自在」というトラックボールの良さを殺していることにもなります。
つまりDigio2 Qは、メーカーがそれを狙ったかはさておき、指先の微妙なコントロールに長けたトラックボーラー向けに調整されている、ということです。
艶消し加工されたボールに交換したら違うのかもしれません
Digio2 Qはこんな人におすすめ
Digio2 Qは、小型・軽量に特化するかわり、初心者向けの「とっつきやすさ」の優先度を落としたトラックボールです。
そのため、2台目のトラックボールを探しているくらいにトラックボールに慣れた人でないと、Digio2 Qを使いこなすのは難しいでしょう。
2台目といっても、「卓越した操作性」「より疲れにくい設計」などでなく、「持ち歩きやすさ」を求める人向け。
カフェや仕事場でもトラックボールを使っていたい。そんなモバイラーなトラックボーラーにこそ、Digio2 Qはフィットすると思います。
まとめ:2台目のトラックボールにどうぞ
総合評価:
Digio2 Qは、
- スペックや機能は及第点
- ひたすら小さく、軽い
- ただし操作性は玄人向け
という特長のトラックボールです。
初めてのトラックボールにこれを選ぶと痛い目を見ると思います。(-1.5は、ぼくが初心者だからこその評価)
一方、トラックボールに慣れた人がモバイル用途で買い足すにはうってつけ。
出先でもトラックボールを使いたい(逆にトラックパッドやマウスなんて間違っても使いたくない)という人は、購入されてみてはいかがでしょうか。
以上「Digio2 Qレビュー | 持ち歩き用の2台目に。超小型・軽量トラックボールマウス」でした。