提供:FOCAL POINT
FOCAL POINT様のご厚意で、クラウドファンディング発のプロダクト「Shokz OpenComm」を貸与・先行レビューさせていただけることとなりました。
OpenCommは、テレワークでにわかに人気を帯びている骨伝導ヘッドセットの2020年秋モデル。
その特徴は、通話特化型であること。
先代Aeropexの高い基礎性能は引き継ぎつつ、
- 人声に特化した音質チューニング&マイク強化
- 充電速度と稼働時間が大幅強化
と、通話に必要な機能・性能はスペックアップされた一方で、
- 防水・防塵性能↓
- 重さは若干アップ
と、通話に必ずしも必要ない部分は削られています。(こちらの記事で詳しく比較しています)
結果として、業務用インカムとして文句なしの骨伝導イヤホンに仕上がっています。
テレワークのため、家の生活音に気を配りつつWeb会議もこなしている。そんな人にはばっちりフィットするでしょう。
Shokz OpenCommの概要
注目ポイント
- 人の声に特化したスピーカー・マイク音質
- 5分充電で2時間、フル充電で最大16時間の音声通話が可能
- 長時間利用も可能な、軽く負担の小さな装着感
業務での通話に特化した骨伝導イヤホンです。
仕様・スペック
- 品番:ASC100
- スピーカータイプ:骨伝導トランスデューサ
- マイクタイプ:デュアルノイズキャンセリング・ブームマイク
- Bluetooth® バージョン:Bluetooth® 5.0
- NFCペアリング:対応
- 連続使用時間:最大16時間(音楽再生最大8時間)
- 待機時間:最大14日間
- 充電時間:約1時間(5分の充電で2時間使用可能な急速充電対応)
- 周波数帯域:2402MHz – 2480MHz
- 対応プロファイル:A2DP、AVRCP、HSP、HFP
- 充電電圧:5V±5%
- スピーカーインピーダンス:8.5Ω ±20%
- 周波数特性:20Hz〜20KHz
- ワイヤレス・レンジ:10m
- バッテリー容量:170mAh
- 最大RF出力:4dBm
- 防水防塵性能:IP55
- 重量:33g
- カラー:スレートグレー(SLATE GREY)
- 保証期間:購入日より2年間
Shokz OpenCommレビュー
それでは実機レビューです。
外観・デザイン:好みが分かれうる
マットな質感のダークグレー。
後ろ部分は反発力のあるチタン素材が使われています。
折りたためないので、持ち運ぶときは装着したまま、裸でカバンの中、または付属のケースに入れることになります。
右側。Shokzのロゴがあります。
またイヤホン部の外側にマルチファンクションボタンと・・・
下側に音量アップ・ダウンボタンがあります。
ダークグレー+オレンジは好みが分かれると思いますが、個人的にはプロフェッショナルさを感じさせるデザインだと思うので、好きです。
後方の端子は給電用。端子は磁石で接着できます。また、ここが濡れた状態で充電しようとするとアラートが鳴る機能もあります。
左側。NFCのロゴに、可動式のノイズキャンセリングブームマイクがついています。
NFCペアリングするときは、NFCロゴ部分をデバイスに近づけます。
ノイズキャンセリングブームマイの集音口は、可動部の外側に加え・・・
先端にもついています。
これら2ヶ所からの音をベースに、ノイズキャンセリング処理を施しています。
なお左側の内側には、各種認証マークが印字されています。
技適マークもあります。
重さ・大きさ:とても軽い
スペックは33g。実測34gでした。
1gは誤差の範囲です。
手で持っても、全くずっしり感はありません。
機能・操作性:簡単&最低限
基本、右耳側に集まった
- マルチボタン
- 音量アップ・ダウンボタン
で操作します。
詳細は説明書に譲りますが、ざっくりいうと
- 音量アップボタン:電源オンオフ、ペアリング、音量アップ
- 音量ダウンボタン:音量ダウン
- マルチファンクションボタン:音楽制御、通話制御
という役割分担。
ボタンが少ない&機能がシンプルなので、あまり迷いなく使えます。
接続:完璧
音量アップボタンの長押しでペアリングモードに入ります。
この状態でNFCタグをスマホに近づけると「NFCペアリング」ができます。(対応機種のみ)
NFCペアリング
NFCペアリングとは、Suicaなどで使われているNFCという通信規格を使って、Bluetoothペアリングをかんたんにする仕組みのこと。
どう違うのかというと、
- 通常のBluetoothペアリング:デバイスをペアリングモードにする → スマホ側で接続先デバイスを探す → Bluetooth設定を行う → ペアリング完了
- NFCペアリング:デバイスをペアリングモードにする → スマホに近づける → ペアリング完了
と、スマホ側の操作がグッと短縮されます。
初回ペアリングが楽になるので、あるに越したことはありません。
ただ、iPhoneではNFCペアリングができません。Androidユーザの特権です。
とはいえ、Phone XR XS以降なら初回ペアリングを済ませておけばワンタッチ接続に近いことができるので、iPhoneでも便利に使えるかなと思います。
ペアリングと接続
以下2つのケースとも、接続は数秒で完了します。
- 通常のBluetoothペアリング
- ペアリング済デバイスとの接続
十分な速さなので、ストレスになりません。
接続先の切替
ペアリング済のデバイス間でOpenCommの接続先を切り替えるときも、タイムラグがなくスムーズです。
具体的には以下3ステップにおいて、OpenComm側の処理が原因で手が止まることがありません。
- ペアリング済のPCに接続した状態
- PC上で「接続解除」
- スマホ側でOpenCommを選択して「接続」
スマホならNFCを使った自動アクションで代替可能ですが、PCが絡むと少し面倒さが残りそうです。
マルチポイントペアリング
マルチポイントペアリングとは、複数のデバイスと同時接続し、両方の音声が聞こえるようにできる機能。
クラウドファンディングページのQ&Aには「最大同時に2台接続可能」とあります。これはあくまでペアリング情報をOpenComm内に保存できるだけ。
なので同時並行での接続=マルチポイントペアリングはできない……というのが、公式見解ですし、取り扱い説明書にもマルチポイントペアリングの操作方法は書かれていません。
※2020-11-18追記:
メーカーへ確認を取ったところ、「機能的にはできるけど動作保証はしない」ということでした。
- OpenComm自体には、マルチポイントペアリング機能を搭載している
- しかしデバイスの相性により正しく機能しないケースがある
- したがって、公式では非対応、という扱いにさせていただいている
実際、Aeropexと同じ操作でマルチポイントペアリングが起動し、iPhone 8とWindows PCで動作を確認しました。
- 電源ボタン(音量+)を長押しして、ペアリングモードに入る
- 電源ボタンを長押ししたまま、マルチボタンを長押しする
- 「マルチポイント接続を開始しました」という音声を確認する
- ペアリングしたいデバイスと、順番に接続していく
接続維持力
接続維持力は、かなり強いです。
距離の観点では、自宅内でテストした結果、10mほど離れてドア2枚挟んでも途切れませんでした。
混線の観点では、Bluetoothと同じ2.4GHz帯の電波を出すWiFiアクセスポイントが1.5m先にあり、かつ3つのBluetooth機器が同時に電波を飛ばしあっている状況下で、8時間使って一度も瞬断されませんでした。
このご時世なので、混雑した電車内など多くの人がいる場所でのテストはできていませんが、少なくとも多数のガジェットに囲まれつつテレワークするくらいなら、びくともしない接続維持力です。
装着感:意外と軽い
OpenCommは実測34g。完全ワイヤレスイヤホンが片耳4〜5gだと考えると、数字上は少し重そうな印象です。
しかし実際につけてみると、思った以上に負担感が小さく感じます。重心の位置の関係でしょうか。
またこめかみ部分の締めつけが弱めで、圧迫感がほぼありません。快適に使えます。
メガネやマスクとの干渉:慣れでどうにかなる範囲
「メガネやマスクと干渉するかも」と思いきや、実際に併用しても特に問題ありませんでした。
もしかすると、以前からAeropexを使っていて慣れているせいかもしれません。
が、逆に言うと、メガネやマスクとの干渉は慣れでどうにかなる範囲のものである、ということ。
なお上手に使うコツは、マスクを外すときは先にOpenCommを上に逃がすこと。
これにより、マスクの紐にOpenCommが引っ張られてしまうことがなくなります。
スピーカー音質:高い基礎力+人声フォーカス
先代のAeropexと同じく、骨伝導イヤホンながら、普通のイヤホンと比肩できる音質を実現しています。
全体的な音の印象は、Aeropexのとほぼ変わりませんでした。(以下、過去のAeropexのレビュー記事を引用します)
音量バランスは、高=中>低。
しっかりとしたボーカル、全般的な響きや伸びの良さが印象的です。
高音域の粒感がよく、ギターの弦の爪弾きやハイハットのザラつきが感じられます。
低音はただ弱いわけではなく、ベースギターなど伸びる系の音は弱い一方、バスドラムなどパンチ力系の音はトントンと音圧を感じる、独特の表現。
音像は頭の中央に定位しつつ、左右の鳴らしわけや奥行きなど、音源の意図はしっかりと伝わってきます。
なお外音が同時に聞こえる構造の関係で、臨場感や没入感はいまひとつ。が、そもそも骨伝導イヤホンは没入したい人向けのものではないので、これはこれで当たり前。
ナチュラル系、フラット系と呼ばれるイヤホンを使っている人には、「良い音」として自然と受け入れられると思います。
www.naenote.net
ただし通話特化型ということで、人の声がよく聞こえるように調整されています。音楽でいうとボーカルが強めになるイメージ。
通話特化型であることが伺えます。
マイク音質:声がこもらず、クリアに伝わる
先代のAeropexや他の手持ちの完全ワイヤレスイヤホンと比べると、声のクリアさが段違いです。
- 従来のもの:聞こえはするが、声が遠かったりこもったりで、意識的に声を張る必要あり
- OpenComm:目の前の人に話しているのと同じように、こもらずクリアに伝わる
仕事仲間に7,000円くらいの単一指向性コンデンサマイク(要するにそこそこいいやつ)を使っている人がいますが、彼女の声とOpenCommで録音したぼくの声、聞こえ方はほぼ同じでした。
純粋に、良い音質だと思います
マイクとしての基礎力と、ノイズキャンセリング性能にフォーカスしたレビューは、以下のとおりです。
マイクとしての基礎力
マイクの位置が口に近いこともあり、声を拾う精度は高いです。
かわりに、息づかいや破裂音も少し拾いやすくなっています。(いわゆるブレスノイズ、ポップノイズ、リップノイズ)
ただ吐息や鼻息がそのままかかるわけではないので、実害というほどのものでもありません。
どうしてもこだわるなら、こちらのような小さめの風防用のスポンジを装着すると良いでしょう。
ノイズキャンセリングの実力
「無指向性マイク+ノイズキャンセリング処理」という構成なので、特性としては
- 発声しているときは、声メインで拾う(ノイキャンが効く)
- 発声していないときは、周囲の音を拾う(ノイキャンが効かない)
となります。
実際のノイスキャンセリング効果をシチュエーション別でテストした結果は以下の通り。
- キーボードを打ちながら:カチャカチャした高音が遠くに聞こえる
- 回る洗濯機の近くで:結構クリア
- 音楽の鳴るスピーカーの近くで:音楽の中~高音域が遠くに聞こえる
自分の声が聞こえにくくなることはなく、ノイスキャンセリングしっかりと仕事しているな、という印象です。
バッテリー:とても強い
充電は早く、寿命は長い。文句のつけようがありません。
- 5分の充電で2時間の通話が可能
- フル充電で最大16時間の通話
2日に1回ペースで1週間使って、一度も電池切れを起こしませんでした。
防水防塵:IP55+端子水濡れアラートで安心
IP55等級。水への強さでいうと、
- 水滴は大丈夫
- 水没はNG
くらいの水準です。
なので、シャワーを浴びながら使ったり、雨に濡れつつ使うのは、可能な限り避けたほうが無難です。
なお充電用端子が濡れている状態で充電しようとすると、
- 「終了します」の音声が流れる
- ピーピー音と振動が、充電端子が外れるまで鳴り続ける
で知らせてくれます。音は装着しなくても聞こえます。
未然防御だけでなく、アラート機能もあるのは安心です。
保証:2年間
Aeropex OpenCommには2年間のグローバル保証がついてきます。
安くないアイテムなので、保証期間が長いのはありがたい限りです。
実際に使ってみた感想
Shokz OpenCommを1週間ほど仕事で使い倒してみました。
ほぼ完全テレワーク、かつ仕事の立場的に人と話すことが多いので、
- 1日6〜8時間あるWeb会議で通話
- 上記以外は集中作業のためBGMを聞く
と、かなりヘビーな使い方での体験をレポートします。
一言でいうと、ビジネスユースならこれ一択といえるくらい良いです。
1日ずっとつけても痛くない
OpenCommは、装着感がやわらかで、8時間つけても痛くなりません。
もちろん緩いからといってズレることはありません。長時間使っても痛くないように調整されている、というほうが正しいでしょう。
前作のAeropexは8時間使うと少しこめかみに違和感が出てきていたので、OpenCommのこの微調整は個人的には超Goodです。
「声がクリアになった」とコメントが
いつもWeb会議で話しているチームメンバーから、「なんか声がクリアになりましたね」というコメントが出ました。
また、「ちょっと聞こえなかった、もう一回」と言われることもゼロに。
マイクの違い、ちゃんと伝わっているようです。
必要以上に声を張らなくてよくて楽
マイクが口の近くに来たことで、必要以上に声を張らなくても十分相手に声が聞こえるようになりました。
ときたま1日ずっと会議でしゃべり続ける日があるのですが、声を張っていると夕方には喉がキツくなってくるのです。
が、OpenCommだと静かにしゃべる感じで十分通じるため、かなり楽になりました。
ただ1つ、惜しいと感じた点
※2020-11-18追記:「マルチポイントペアリングできないのが微妙」と書いていたのですが、実際はできると確認できました
ただ、マルチポイントペアリングができない点は非常に惜しいかなと。
マルチポイントペアリングとは、複数のデバイスと同時接続できる機能のこと。
たとえばスマホとPCとマルチポイントペアリングすると、スマホ側とPC側、両方の音が聞こえるようになります。
なぜマルチポイントペアリングがほしかったかというと、トイレです。
自宅デスクでWeb会議中、どうしてもトイレに行きたくなることがあります。
そのとき、
- 仕事用PCとの接続を解除する
- 仕事用スマホに接続し直す
- トイレでWeb会議を継続する
- トイレが終わったらPCに接続し直す
とするのですが、マルチポイントペアリングなら途中のつなぎ直しがいらないのです。
ニッチな要望だと思う一方、愛用しているJabra Elite Active 65tや前作のShokz Aeropexがマルチポイントペアリング可能ですごく便利なので、OpenCommでもできたら嬉しかったな、と。
マルチポイントペアリングができていたら理想だったんですが……
Shokz OpenCommはこんな人におすすめ
まとめ:テレワークの定番アイテムになりそう
総合評価:
とても良いです。
マルチポイントペアリングができないので★-0.5としましたが、複数台同時接続が不要な人にとっては文句なしで★5だと思います。
※2020-11-18追記:マルチポイントペアリングできると判明したので、★5に変更しました
本レビューを書くにあたりサンプルを貸与いただいたのですが、使っていてどうしても自分用に1台ほしくなったので、支援しました。
今後のテレワークの定番アイテムになりそうなので、届くのが楽しみです。
気になった方はぜひチェックしてみてください。
以上「Shokz OpenCommレビュー | 業務用、通話特化型の骨伝導ヘッドセット。テレワーク者なら買って損なし」でした。
※Aeropexとの比較はこちら
※クラウドファンディングのプロジェクトページはこちら。
【Shokz】次世代型骨伝導ヘッドセット OpenComm ノイズキャンセリング・ブームマイク搭載。最大使用16時間、5分の急速充電にも対応。 | FOCAL GADGET