提供:EarFun
EarFun様のご厚意で、2020年11月発売の完全ワイヤレスイヤホンEarFun Air Proをレビューさせていただけることとなりました。
EarFun Air Proは、
- 最大38dBのANC搭載
- EarFunならではのたしかな音質
- 9時間もの長時間連続再生
- それでいて、7,999円
が特長の完全ワイヤレスイヤホン。
2020年中盤からANC対応完全ワイヤレスイヤホンの値段がこなれてきたなかでも、7,999円(執筆時点)という値段はかなり攻めてます。
しかし安いからといって基礎性能に妥協はありません。丁寧な音作り、長時間再生、操作性、装着感、接続維持力など、EarFunブランドならではの「基礎力」の高さは健在です。
角ばったデザインは好き嫌いが分かれそうですが、純粋に音質・機能・価格比でいえばコストパフォーマンスに優れた良機種だと思います。
EarFun Air Proの概要
注目ポイント
- 最大38dBのアクティブノイズキャンセリング
- 加速度感知による誤動作防止
- 音質、バッテリー、操作性等の基礎力の高さ
EarFunブランドは、音質やバッテリーなど、完全ワイヤレスイヤホンに求められる基礎的な性能がしっかりしていることが特徴。
EarFun Air Proは、それに加えてANCや加速度検知による操作といった(同ブランドにとっては)飛び道具を乗せてきた意欲作です。
が、それがとてもうまく仕上がっているあたり「さすがEarFun」と思わせます。
仕様・スペック
- ドライバーユニット : 10mm径ダイナミックドライバー(複合振動板を採用)
- 電池持続時間:ノーマルモードでは約9時間(イヤホン)、約32時間(ケース充電込み)、ANCモードでは約7時間(イヤホン)、約25時間(ケース充電込み)
- 充電時間:約 1.5時間(イヤホン)、約2時間(充電ケース)
- Bluetooth規格:5.0
- Bluetooth動作範囲:15m
- 対応コーデック:AAC、SBC
- 周波数特性 : 20Hz~20kHz
- Bluetoothプロファイル:A2DP、AVRCP、HFP、HSP
- ANC性能:最大-38dB
- その他:L/R片耳対応、10分充電で90分再生可能、
EarFun Air Proレビュー
それでは実機レビューです。
外観・デザイン:好みが分かれそう
EarFunのブランドロゴがあしらわれた丸いケース。
素材感は「よくある完全ワイヤレスイヤホンのケース」です。
後方に充電用のUSB-Cポートがあります。
ケースを開けたらこんな感じ。
丸みを帯びたケースとは違い、イヤホン本体は角ばっています。
中央ボタンは、初回ペアリング(3秒押し)や設定リセット(2回押し)に使います。
操作すると上のLEDが緑色に点灯します。
「Tuned by EDIFIER」の文字。
EDIFIERは中国のオーディオメーカー。1996年設立の上場企業で、2千円台から3万円オーバーまで、PC向けスピーカーからイヤホンまでさまざまなアイテムを扱っています。
同社製品をレビューをざっと見ると、特に高価格帯の据え置き型スピーカーは高評価で、音質・価格比の点で優れているのだそう。
EarFun Air ProはEDIFIERとのコラボ商品ということで、期待が高まります。
本体近影。マットながらも光沢のあるガンメタルグレーがいい感じに仕上がっています。
角張ったデザインは好みが分かれそうです。
外側と「うどん」の先端にマイクが備え付けられています。
ここから取り込んだ外音が、アクティブノイズキャンセリング処理へインプットされていきます。
「うどん」部分は短め。ハウジング部分にセンサーがついており、装着状態を検知します。
上から見ると、ハウジング部分がかなりおおぶりであることがわかります。
装着感のよさを想起させる一方、「うどん」部分が耳の外まで出っ張ってしまいそうです。
この角度だと、ハウジング部分のぷりっと具合が伝わりやすいでしょうか。
総じてデザイン面は、かなり好みが分かれてしまいそうです。
重さ・大きさ:標準的
ケースを持ってみました。
大きくもなく小さくもなく、重くも軽くもありません。
だただた「普通」です。
ケース+本体で実測53g、本体は6gくらい。
やはり、標準的な重さです。
Bluetooth接続:問題なし
ペアリング、接続スピード、接続維持力、複数デバイスの接続先切り替え、どれをとっても不満のない水準です。
ただ、接続したときのアナウンスが「こぉねぇくてぇぇっど」とかなりゆっくりなのは気になりました。
もう少しハキハキしていてほしかったかな、と。
装着感:「うどん型」らしからぬ
耳へのフィット感は良好です。イヤーピースのサイズさえ選べば、首を振っても落ちることはないでしょう。
ただ、フィットするときの感覚は、カナル型イヤホンに近いものがあります。「うどん型」特有の、耳のくぼみに乗せる感じではありません。
とはいえ、その違いを気にする(気になる)人はほぼいないと思います。
操作感:ずば抜けて良い
これまでの完全ワイヤレスイヤホンは一体なんだったんだ?
と思うくらい、操作感・操作性が良いです。
操作方法
おおまかな操作方法は以下の通り。
- 右2回:再生・一時停止
- 右3回:次の曲
- 左2回:音声アシスタント呼び出し
- 左3回:モード切替(通常・ANC・外音取込)
曲戻しと音量操作がない点は気になる人がいるかもしれません。
が、ぼくのようにだいたいの操作をスマホでやってしまう人であれば気にならないと思います。
加速度センサーによる操作検知
タッチ操作なのですが、その仕組みが珍しく、接触感知ではなく加速度感知となっています。(スマホでいうと、画面タッチは接触感知、振って反応=加速度感知)
これはメリット・デメリット両方あります。代表的なものでいうと、以下のとおり。
- メリット:水滴などによる誤タップがない
- デメリット:操作パターンが少ない(誤作動防止のため1回タップに操作を割り当てられない)
ぼくにとっては初物なので、最初は戸惑いました。しかししばらく使っていると「むしろ加速度センサーじゃないやつらってなんなの?」くらいに思えてくるから不思議です。
詳しくは「実際に使ってみた感想」コーナーにて。
装着検知による自動再生・停止
イヤホン内側のセンサーで、耳に装着しているかを検知できるようになっており、
- 耳から外すと自動で一時停止
- 耳に戻すと自動で再生開始
という、快適操作が実現されています。
レジで会計するときに一瞬外す、みたいなシチュエーションには嬉しい機能です。
くわえて、イヤホンをケースにしまった後、再度取り出したときでも自動的に再生が始まります。これがかなり便利。
これまでは、イヤホンを取り出し、接続を確認し、音楽アプリを立ち上げて再生、とする必要がありました。
それが、イヤホンの接続が完了した時点で、しまったときに聴いていた音楽が再生されるので、とてもシームレス。
行き届いてるなあ、と感じました。
スピーカー音質:ポテンシャル高し。イコライザで力を引き出すべし
もう少し締まりと明瞭さがほしいかな、と感じます。
音量バランスは低>>中>高。
低音が1〜2歩前に出ていることで、全体的には若干ぼやっとした印象が先行してしまいます。
とはいえ音域別に聞き分けると、音の分離や響きは丁寧。各音域ともしっかり音が作り込まれており、基礎能力の高さが伺えます。
つまり問題は音域別の音量バランスだけであり、イコライザ次第で好みに仕上げられそうです。
以下、音域別の印象です。
高音
音量はかなり控えめ。
シャリ感は感じない、というか、耳に刺さらないよう丁寧にカドが取り除かれている印象を受けます。
そのぶん、シンバルやピアノの高音の存在感が薄くなるため、「凛として時雨」などプログレッシブ・ロック系は苦手そうです。
中音
特筆すべき特長はありません。といっても、ダメというわけではありません。
音の粒度感や左右の鳴らし分け、音響など全体的に高い水準にまとまっているなか、きわだって「ここは特にすごい」という点が見当たらない、というだけ。
優秀だと思います。
低音
ブンブンとボリューミーに響きます。
バスドラムのパンチ力や迫力は申し分ありません。
ただシャープさより丸みが目立つため、はずみの良い低音が好みの人は違和感を感じるかもしれません。
ANC性能:38dB。優秀だと思う
いろいろなシチュエーションで試してみました。
総じて、優秀だと思います。完全静寂にはならないものの、ここまで音が消えるものなのか、という印象です。
自宅デスクで
キーボードの打鍵音は聞こえません。
宅配のピンポン音はかろうじて聞こえるくらい。
隣の部屋で回る洗濯機の音はゼロになります。
カフェで
周囲の声や食器同士があたる音などの雑音が、かなり消えます。
さすがにゼロにはならないものの、自分のまわりに敷布団が3枚ほど現れるくらいの遮音性はある。
車通りで
車の接近音はほぼ聞こえなくなります。
ただ、1〜2m先を通り過ぎる車の音は耳に届きます。
街なかで
救急車の音は、さすがに一瞬で気づきます。
大音量で通り過ぎるバーニラバニラもしっかり聞こえてしまいました。
ただ、店のBGMや「いらっしゃいませ」は5倍くらい遠くに飛んでいきます。
外音取り込み:並
外音取り込み機能は、可もなく不可もなく、です。
これまで使ってきた完全ワイヤレスイヤホンと同じくらいです。
マイク音質:期待してはいけない
マイク音質は、「とりあえずマイクはつけましたけど」レベルで、期待してはいけません。
理由は、マイクの基礎力である集音能力がきわめて低いから。
かなり結構声を張ってしゃべっているはずなのに、声が遠いんです。
具体的には、15cm先にある自分の口から出てくる音と、50cmくらい先で鳴っているキーボードの打鍵音が同じくらいの存在感。
プライベートでの通話ならまだしも、仕事のWeb会議で使えるクオリティではありませんでした。
せっかく電池の持ちが良いのにもったいない
バッテリー:文句なし
電池の持ちがよく、急速充電にも対応しており、文句がありません。
欲を言えば前作のEarFun Airで対応していたワイヤレス充電もあればベターでしたが、7,999円のANC対応となると、そこまで求めるのは酷でしょう。
電池の持ち
ANCオンで7時間、ANCオフで9時間のロングバッテリー。
2週間ほど使いましたが、音楽再生中に電池が切れたことはありませんでした。(使い終わった都度、ケースに入れていたからかもしれません)
マイクが弱かったので仕事のWeb会議には使っていませんが、1日5〜7時間くらいであれば余裕で持つと思います。
急速充電
10分の充電で90分の再生が可能。
とはいえ、そもそもケース込みで32時間再生。バッテリー容量はたっぷりなので急速充電のお世話になるケースは少ないでしょう。
しかしあって損はない機能なので、プラスポイントではあると思います。
防水・防塵:IPX5
IPX5等級の防水機能を備えています。いわゆる「強めの防滴」なので、
- 雨やシャワーはOK
- 水ポチャはNG
だと思えば良いでしょう。
外したイヤホンをパンツのポケットに入れたまま洗濯機に入れてしまった、的なミスがない限りは大丈夫です。(ぼくがやってしまいがちなやつ……)
なおIPXなので防塵機能はありません。
保証:18ヶ月
購入日から18ヶ月の保証がつきます。
保証期間内なら、新品交換、返品、返金が可能。(もちろん諸条件はあり)
7,999円と安いとは言いづらい値段なので、保証がしっかりしているのは安心なポイントです。
実際に使ってみた感想
スピーカー音質と操作性の良い一方マイクが弱め、という特性をかんがみ、普段の音楽鑑賞に使ってみました。
2週間ほど使った感想レポートです。
イコライザで大化けする
どうしても低音ボンボンな音量バランスが気に入らなかったので、イコライザでバランスを調整してみました。
すると、一瞬で自分好みの音に変身しました。低音がぐっと締り、全体的な明瞭感が増し、分離が優秀で見通しの良い音になりました。
イコライザを調整していて感じたのは、「雑な音をイコライザでごまかしている」、ではなく、「そもそも高いポテンシャルを120%引き出すためイコライザを利用している」という感覚です。
EarFunの音作りはさすがだな、と感じました。
加速度センサーは神
EarFun Air Proの加速度センサー方式のタップ検知、すごいです。
なにがすごいかって、タップ可能領域を意識しなくてもOKであることです。
従来の完全ワイヤレスイヤホンは、どうしても「タップ検知領域」が決まっていました。すると操作のとき狙いをつける必要があり、地味に不便だったんです。
具体的には、指が一発でタップ検知領域まで行きつけず、
- もみあげ部分に中指を置く
- 人差し指でタップ操作域を探して操作する
という2ステップが必要でした。
しかしEarFun Air Proの加速度センサー方式だと、
- イヤホンのどこかをトントンする
の1ステップですべてが済んでしまうんです。
すごく地味な違いですが、塵も積もれば山となる。一度加速度センサー式を体験すると、元に戻れなくなります。
もう完全ワイヤレスイヤホンは全部加速度感知になればいいのに、と思わずにはいられませんでした。
出っ張りなど、詮無きこと
音質と操作性の高さ、そしてバッテリー性能。
これらをもってすると、若干イヤホンが外側に出っ張っていることなんて気にならなくなります。
イヤホンの本懐は、良い音を継続的に耳に届けること。主従関係でいうと、こっちが主、出っ張りなどのデザイン面はあくまで従、だと思うのです。
EarFun Air Proはこんな人におすすめ
まとめ:きわめて優秀
総合評価:
アンダー1万円のANC対応完全ワイヤレスイヤホンとして、きわめて優秀なのではないでしょうか。
ちまたにあふれるアンダー1万円のANC完全ワイヤレスイヤホン、正直いってANCにコストをかけすぎるあまり、音質やバッテリー、操作性まわりがおそろかにされている感があるんです。
しかし完全ワイヤレスイヤホンにとって、それらは失ってはいけない基礎能力であるはず。ANCという売り文句のために損なわれるべきものではありません。
この本来的な順序関係を、EarFunは大事にしているのです。高い水準の基礎力をキープするのは前提。ANCはあくまでプラスアルファ。
だからこそ、ANC対応で7,999円という値段が実現されているんです。基礎力キープにコストをかけすぎないやり方を心得ているからこそ、ANCを乗せても低価格が保たれている。
前作のEarFun Airに続き、とてもいい完全ワイヤレスイヤホンを世に送り出してくれたな、と感じます。
レビュー用にサンプルを提供いただいた点を差し引いても、1万円以下のANC対応完全ワイヤレスイヤホンを探している人に、まっさきにおすすめしたい逸品だと思います。
以上「EarFun Air Proレビュー | 1万円以下のANC対応完全ワイヤレスイヤホンのベストかもしれない」でした。