提供:ikko Audio
ikko Audio様のご厚意で、2021年6月発売のモニター型イヤホンOH2をご提供いただきました。
OH2の特長は
- 音源の魅力を丁寧に表現するフラットサウンド
- 価格に比して優れた粒度感と解像度
の2つ。
完全ワイヤレスイヤホンでもそうなんですが、低価格帯のイヤホンはなんとか特徴を出そうと極端な調整が入りがち。
しかしOH2は直球勝負。ひたすら真面目に音源の魅力を伝えようとしてきます。そして、それができている。
理由は、音質の基礎力が高いこと。全音域を通じて丁寧に作り込まれたフラットなサウンドと優れた解像度で表現された音は、まさに「そのまま」。
とはいえアンダー1万円という制約もあり、少しばかり音場は狭め。ただ臨場感重視なイヤホンと聴き比べなければ気になりません。(どうしても気になる場合はikko Zerda ITM01あたりの音場補強系DAPを合わせればいい感じに仕上がります)
総じて優秀なイヤホンだと思います。
デザインも美しいです
ikko OPAL OH2が気になった理由
理由は2つあります。
- 「悪いもんは悪い」と直球レビューを書くヤンネさんがベタ褒めしていたから
- ikkoのイヤホンを使ったことがあり、音作りの丁寧さを知っているから
1つ目はただの受け売りです。個人的にこの人のレビューは信用できると感じているので気になっていました。
2つ目は過去記事「ikko Gems OH1Sレビュー」を参考にどうぞ。
ikko OPAL OH2のスペック
- ベリリウムダイアフラムを備えた強力な8mmダイナミックドライバー
- 金メッキされたFPCユニットワイヤー
- 快適なフィット感のための楕円形のサウンドノズル
- 標準のMMCXインターフェース
- 一光の自己開発SVASテクノロジー
- インピーダンス:32Ω
- 感度:105dB
ikko OPAL OH2レビュー
それではレビューしていきます。
開封、付属品:充実
化粧箱を開けると、
本体エンブレムが埋め込まれています。
同梱付属品の全体像は上の写真の通り。
ビーガンレザーのケースはポケット 1 つでのみのシンプル構成。
紐でしばるタイプなので使い勝手はあまり良くなさそうですが、高級感はあります。
付属のイヤーピースは非常に充実しています。
シリコンが 6 種類、ウレタンが 3 種類。これだけあればどんな人でもフィットすると思います。
ケーブルは赤と銀のデザイン。3.5mm ジャックにブランドロゴが印字されており、全体的にシュッとまとまっています。
なんと MMCX ケーブルを外すためのデタッチャーも付属。
MMCXケーブルは外す時めちゃくちゃ固いので、この心配りは素晴らしいですね。
本体のデザイン:美しい
マット加工の金属と滑らかな樹脂のツートンカラー。
樹脂部分は無色透明ですが、金属部分の色が写り込んで、まるで同色異素材のしつらえです。
個人的には好きなデザインです。着けていてテンションが上がるまではできませんが、使っていて少し特別感を感じそう。
付属イヤーピースを装着してみたらこんな感じ。
明日ケーブルはさておき、イヤーピースは本体の色と合わせてあげた方がかっこよく見えるかもしれません。
装着感:微妙
装着感は……あまり良くありません。
フィットするイヤーピースをちゃんと選ばない限り、まともに装着できません。
理由は
- ケーブルの耳フック部分が柔らかい
- 本体とケーブルをつなぐ部分がくるくる回る
という構造がゆえ、イヤーピースだけでイヤホンをホールドせざるをえないからです。
そしてイヤーピースがフィットしないと音質には悪影響が出るという。
ぼくの場合、付属のシリコンイヤーピースだとまったくフィットせず高音シャカシャカな残念音質になってしまったので、
- 付属のイヤーピースだとウレタン製のMサイズ
- 付属以外だと、手持ちのSpinFit CP360のMサイズ
で運用することになりそうです。
音質:音源を聴き込む人にフィットする
耳にフィットしたイヤーピースを使っていることを前提でレビューします。
第一印象は、なんだか特徴がないなあ、でした。
しかし、しばらく聴き込んでみると、すごくね?、に変わります。
理由は、「フラットで高解像度」という、OH2の音の特徴です。
音量バランスは高=中=低。「得意な音域はココなんだ」のような意図を感じず、とにかくフラットです。
一方、よく聞いてみると、解像度はとても優秀で、音色の輪郭をくっきりと表現していることがわかります。
この「高解像度なフラット」という特性がゆえ、OH2は
- なんとなく聞き流すと「つまらない、特徴がない」
- 積極的に音を聴きに行くと「おお、なるほど」
と、音楽を聴くスタンスで印象が分かれるのです。
音源に没入し隅々まで堪能したい人、音楽を分析的に聴くタイプの人に、OH2はフィットするでしょう。
もちろん全方面的に100点というわけではなく、奥行き感や臨場感は少し苦手。ただ欠点というほどではなく、臨場感を売りとしたイヤホンと比べると劣るよね、と感じるくらい。
総じて、基礎的な音の表現力がとても高く、優秀な音質と言って差し支えありません。
音域ごとのインプレッションは以下の通りです。
高音域
ほんの少し強めに出てるかな?という印象を受けます。
その理由は、細やかなきらめきやざらつき、音の左右位置がくっきりと表現されているため。
シンバルの細かなスレ音、クラップの微妙な音のズレなど、特定の音だけをピックアップして聴くと実にリアリティに溢れています(実際はシンセの音なんでしょうけど)。
一方で、奥行きは平凡。意識して聞き分けようとすれば認識できるものの、無意識で聞いていると「平坦めだな」と感じてしまいそう。
中音域
ボーカルと伴奏が平等に扱われている印象です。
中音域は人の声を大きめに出すイヤホンが多いなか、珍しい調整と言えるでしょう。「モニタリングイヤホン」の名の通り。
そのせいか第一印象は少しのっぺりしている感があります。
しかしよく聞いてみると、楽器ごとの左右の鳴らし分けしわけや音色ごとの輪郭ががくっきりと表現されているのに気づきます。
解像度の高さと丁寧な音作りが成せる技です。
低音域
全体的にフラットであることから、低音域がことさら目立つことはありません。
音質としては、奥底から打ちあげるような、深みがある優しい音です。
かといって丸まってるわけではなく音源が「突き刺すようなパンチ力」を意図していれば、それを素直に表現できます。
あらゆる音楽の低音を強調するわけではないので、低音が主役であってほしい人には物足りないかもしれません。
しかし、低音を中高音域を支える脇役としてとらえる人にはちょうどよく感じると思いますし、「他の音域の音色に集中して聴きたい」と思ったとき低音が邪魔にならないのは、分析的に音楽を聴くぼくにとっては逆に心地よく思えました。
カスタマイズ性:十分
リケーブルとイヤーピース交換、双方のカスタマイズ性は確保されています。
リケーブル
ピン形状はMMCX。
著名な型なので、リケーブルの選択肢は広いです。
イヤーピース交換
スピーカーは楕円形状ですが、真円のイヤーピースも流用可能。
ぼくもSpinFit CP360のMサイズに換装して使っています。
保証:1年
OPAL OH2をはじめ、ikko Audio製品には1年の保証期間が設けられています。
初期不良対応を含む保証がしっかりしているのは安心です。
実際に使ってみた感想
良かったところ
- 自分の聴きたい音を聴き込める
- 値段以上の粒度感と解像度
- シュッと上品なデザイン
まさに「モニター型イヤホン」そのもの。
モニター=分析のために音質調整されています。
ただただBGMとして流すのではなく、音源の音色の一つ一つをじっくり聞き込んだり、旋律を分析しながら聞くタイプの人にとって、これ以上フィットするイヤホンはないと思います。
ぼくは分析的に音楽を聞き込みたいタイプので、OH2の音の出方はものすごく気に入りました。
悪かったところ
- ケーブルと接続端子の形状起因で装着感が甘い
- 付属のシリコンイヤーピースが外れやすい
- 少しばかり音場が狭い
ケーブルとイヤーピースがもうちょいしっかり耳をホールドしてくれれば完璧でした。
しかし、イヤーピースの交換でなんとかなる範囲。ikko Audio製品を買おうと考えるオーディオファン層にとって実害はありません。
音場の狭さは、他の音場の広いイヤホンと聴き比べると気になるかな、ぐらい。 どうしても改善したい場合はikko Zerda ITM01あたりの音場補強系DAPと組み合わせると良い感じに仕上がります。
ikko OPAL OH2はこんな人におすすめ
まとめ:基礎力に全振りした良機種
総合評価:
音質一本で直球勝負をしている、とても素直なイヤホンです。
そしてアンダー 1万円という値段を考えると、その直球勝負は「勝ち」です。
値段以上の解像度や粒度感を出しながら、あえて全音域をフラットにする。これは音源を聞き込みたい人=モニタリング的に音楽を楽しみたい人のニーズにぴったりハマっています。
★-0.5の理由は、装着感が弱いから。ただイヤーピース交換でどうにでもなる問題なので、多くの人には無害です。
総じてとてもよく仕上がったおすすめできるイヤホンです。是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
以上「ikko OPAL OH2レビュー | 素直で丁寧。基礎力の高い音質と値段以上の解像度で魅せる優等生イヤホン」でした。
同じ価格帯で中低音重視ならTIN HiFi T3 Plusを見てみてください