単価100円クラスの高級な軸ってどんなもんなんだろう?
これまで単価40円未満のリーズナブルな軸ばかり使ってきたのですが、↑の疑問が湧いたので、Durock Black Lotusを購入してみました。
選んだ理由は2つ。
- 「スイッチの底打ち時でも静かなため、サイレントスイッチかと勘違いしたほど」というコメントが気になったから
- 自作キーボード界隈でやたら人気だったから(Twitterでの観測範囲内)
実際に静かなのか?音はどうなのか??単価がこれまで使ってきた軸の倍以上だけどなにが違うのか???
レビューしてみたいと思います。
Durock Black Lotusの仕様
- リニアスイッチ
- ハウジング:PCとUPEの混合(トップ) / ナイロン(ボトム)
- ステム:POM(long pole)
- 5ピン
- 総トラベル:4 mm
- 作動トラベル:2 mm
- 作動フォース:55 gf
- ボトムアウトフォース:63.5 gf
- スプリング:日本製のステンレス鋼を用いた金メッキスプリング
以下3パターンあります。
- 押下圧63.5gのLubed
- 押下圧63.5gのUnlubed
- 押下圧80g(スペースバー用)
Durock Black Lotusレビュー
それではレビューしていきます。
今回は押下圧63.5gのLubedを選びました。
デザイン:紫はいいですよね
軸本体。パッと見て特筆すべき点は見当たりません。
が、Durock最新の金型を使っているそうなので、素人目にはわからない違いがあるのだと思います。
LEDの光を拡散させて柔らかくするパーツは、底面から押し出すことで取り外し可能です。
LEDのギラギラ感をキープしたい場合は外して使うと良いでしょう。
分解してみました。
- 金属部分はスプリングを含めてゴールド仕上げ
- ステム中心のポールは突き抜ける長さ
- ルブは側面に最低限
という感じでした。
部品単位で見てもぼくには正直よくわからず・・・なので、実際の打鍵感や打鍵音は別セクションで紹介します。
愛用中のCorne Cherryに装着。
使っているXVXプロファイルのキーキャップも紫系だったので、カラーリングが統一されていい感じでした。
打鍵音:澄んだ音。静かではない
- キーボードやキーキャップなど、セットアップによって打鍵音は大きく異なるため、あくまで参考程度とお考えください。
Corne Cheeryに装着。落ち着きめの澄んだカタカタ音です。
驚いたのが、スプリングや金具の金属音(ビーンと跳ねるような音)や、軸がスレるときのカサカサ音が一切聞こえないこと。これはすごい。
とはいえ、音はそれなりに大きいです。隣で見ていた8歳の息子に「パパ、音が出てるけどなんか変えたの?」と言われました。会社やカフェで使うと目立つと思います。
実際に静音軸Outemu Silent Cream Yellowと比較してみた動画がこちら↓
静音軸のほうが圧倒的に静かです。
本記事冒頭で「スイッチの底打ち時でも静かなため、サイレントスイッチかと勘違いしたほど」と紹介されている、と書きましたが、比較した人とぼくで比較観点が違うのかもしれません。(スイッチの底打ち、という言葉の定義の問題? )
打鍵感:なめらかで良好。上品
打鍵感は、上品です。
軸のブレは最小限。指先でキートップを無理やり左右に揺らすと1mm弱は揺れるものの、打鍵のときはブレてる感じが全くしません。
軸の上下動はとても滑らか。指先に神経を集中しながらゆーーっくり押して戻しても、素早くッターンとやっても、引っかかりや擦れは一切感じません。スッと滑らかに落ちていくさまはとてもエレガントです。
底打ちはカツカツと跳ね返る感じ。他の静音ではない軸と比べて普通です。
押下圧が63.5gと重ためなおかげで、ホームポジションに指を置いたまま力を抜いてもキーが誤って押されてしまうことがなく安心です。個人的には嬉しいポイントです。
総じて、滑らかさと安定感が際立つという意味で、打ち心地は魅力的です。
耐久性:5000万回
公称で5000万回の打鍵に耐えられるそう。
踏み潰したりこじ開けたり無理に力を加えたりしなければ、10年は持つと思います。
保証:なし
単価が高いとはいえ1個100円程度。メーカー保証はないものと思ったほうが良いです。
が、販売サイトとしての保証は別。たとえばAmazonでの購入なら30日の返品・返金が可能など。購入時の参考にどうぞ。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、Durock Black Lotusのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 上品で滑らかな打ち心地
- 金属音やスレ音が一切しない、澄んだ打鍵音
- 紫のハウジング(今使っているキーキャップとマッチしている、という意味)
デメリット(悪かった点)
- 「サイレントスイッチかと勘違いしたほど」は期待しすぎだった(とはいえ、ぼくが勝手に期待しすぎていただけ)
- 底打ちの強さが少し気になる
- 単価がそこそこ高い(@100円程度なので、40%キーボードで5000円くらい、フルキーボードなら1万円は覚悟する必要あり)
Durock Black Lotusはこんな人におすすめ
まとめ:低単価キースイッチとの違いは2つ
総合評価:
総じて、これまで使ってきた単価40円未満のリーズナブルな軸との違いは、
- 上下動が滑らかでガサガサしない
- 金属音や擦れ音が混ざらない
の2つでしょうか。
要するに、打鍵音も打鍵感も澄みきっているんです。濁りがない。
これらに倍近い金額を払えるのか?は各人の価値観やお財布事情によります。
ぼくの正直な感想は、
- 打鍵音の関係で仕事先で使うのは憚られるが、手放すのはもったいない。静音化の工夫を費やす価値がある、と思える
- とはいえ、すでに静音性も打鍵感も満足しているOutemu Silent Cream Yellowが手元にある。工夫までして乗り換えるか?と言われると悩む
という感じ。(Outemuの優秀さが際立っているとも言える)
個人的な相対評価では静音性の観点で1ランク落ちること、および値段面を考慮して、本レビューの評価は-★0.5としました。
とはいえ、絶対評価として高得点なのは間違いありません。価格が高くても評判が良いものにはちゃんと理由がある、と再認識させてくれましたし、静音ではないリニアスイッチが好きな方には自信を持っておすすめです。
もし単価が高くて買うのを迷っているなら、ぜひお試しで10個セットとかを買ってみてください。きっと打ち心地にうっとりしますし、フルセット欲しくなること間違いなしです。
以上「Durock Black Lotusレビュー | 澄みきった打鍵音と打鍵感で魅了するハイクラスなキースイッチ」でした。