2023年10月、Akkoの新作静音軸「Akko Penguin Silent」が発売されました。
注目ポイントは、なんといってもAkko初の静音タクタイルであること。
Akkoの軸はコスパが優れていると言われていまして、静音タクタイルはどうなんだろう?
ということで、AliExpressの11.11セール(年一の超激安セール)を狙って、あらゆるクーポンを駆使して45個入り1700円程度(単価40円弱)で入手してみました。ちなみに通常価格は3000円程度(単価70円弱)です。静音軸としては安くない部類ですね。
使ってみて実際どうだったのか。紹介していこうと思います。
Akko Penguin Silentが気になった理由
コスパに優れていると言われているAkkoの作る、初の静音タクタイル軸だからです。
これまでAkkoの静音軸といえば静音リニアのHaze Pinkでした。
Haze Pinkは完全静音というより準静音という感じ。底打ちの固さ保つことを優先した結果静音性は今ひとつ、というバランス感なので、個人的にはちょっと出先では使いづらいかな、と感じていました。
しかし今回のPenguinは、静音機構がOutemu方式。静音性をがっつり確保する機構なので、きっとぼくの静音性要求にも応えてくれるのではないか、と思ったのです。
そしてリニアではなくタクタイルという点も興味をそそります。ぼくはこれまで長い間Outemu Silent Cream Yellowというコスパがぶっ壊れた静音タクタイル軸を使ってきました。そこにコスパに定評のあるAkkoの作る静音タクタイルが登場したのです。果たして最強ライバルを超えることができるのか。すごく気になりました。
Akko Silent Penguinの激安セール時の価格と通常価格のOutemu Silent Cream Yellowで単価トントンくらいです
Akko Penguin Silent概要
- Operating Force: 43gf
- Total Travel: 3.3mm
- Pre-Travel: 2.0±0.5mm
- Tactile Travel: 0.4mm
- Tactile Force: 58gf±5gf
- Bottom-out Force: 60gf Max
- Spring: 16mm
- Lifespan: 5 million
Akko Penguin Silentレビュー
それではレビューしていきます。
ちなみにAkkoの軸は1セット45個入りなので、Keyball 44やCorne Cherryなどの40%キーボードを1セットでカバーできます。
40%キーボードユーザには嬉しいですね。
デザイン:白黒で汎用性高し
白黒に黄色いくちばし。まさにペンギンカラーです。
ポールが短めで、側面のバンプがすべてシリコンになっています。ぼくが個人的に「Outemu方式」と呼んでいるの静音機構ですね。静音性が最も高いかわりに底打ちが柔らかくなる、という性質をもっています。
個人的にはこの形が一番好みなのですが、ある意味極端なので人を選ぶと思います。
Keyball 39に装着してみました。
ぼくのKeyball 39は(本記事執筆時点では)完全に白黒ツートンデザインにしているので、Akko Penguin Silentのカラーリングはまさにシンデレラフィット。上から見ても横から見てもデザインが統一されているのは気持ちいですね。
カラーリングで軸を選ぶの、ありだと思います
打鍵音:とても静か。かすかに擦れ音あり
さすがOutemu方式、とても静かです。底打ちと戻りの音がほとんど消されています。
でも上下動のときほんの少しだけカサカサという音がします。金属音は聞こえないので、純粋にステムとハウジングが擦れる音だと思います。
この程度ならルブすれば解消するでしょうし、1週間使いつづけたら少し音が落ち着いてきた感じもします。(表面がツルツルになってきた?気のせいかもしれません)
手持ちの静音タクタイル軸と比べてみました。左から
- Gateron Silent Brown
- Kailh BOX Silent Brown
- IDOBAO×Kailh Elf Ultra Silent Tactile
- Outemu Silent Lemon
- Outemu Silent Cream Yellow
- Akko Penguin Silent(本レビュー)
です。
Akko Penguin Silentは、他と比べて
- 少し擦れ音が目立つ
- 底打ち音が静か
という特性であることがわかります。擦れ音の原因はファクトリールブされていないことでしょう。
擦れ音をどこまで許容できるかで判断してもらうのが良いかと思いますし、ルブすればOutemu Silent Cream Yellowレベルまで改善すると思います。
静音性で選ぶならOutemu Silent Cream Yellowがいいな、一番安いし、と思ってしまいました
打鍵感:良好なタクタイル感と柔らかい底打ち
押下圧は重めで、タクタイル感は標準的。いわゆるT1レベルの強タクタイルに比べると弱いですが、打鍵入力の触感フィードバックとしてはしっかり機能しています。
底打ちは柔らかく、カツカツした固い底打ちに慣れている人からすると「ムニュッとする」と感じて違和感があるかもしれません。
とはいえ、底打ちが柔らかい=長時間使っても指先にダメージがたまりにくい、というメリットもあります。(ぼくがOutemu方式の静音機構を推す理由の1つです)
擦れ感は、ファクトリールブ済の軸と比べると少し感じるものの、カサカサうるさいわけでもザラザラするわけでもありません。滑らかさに強いこだわりがある人は違和感を持つかもしれませんが、そうでない方はそのまま使っても違和感はないと思います。実際に1週間仕事でみっちり使いましたが、気になるシーンはほぼありませんでした。レビューのために指先と耳に神経を集中しないと気にならないレベル、ということです。
どうしても気になる場合はルブすると良いかもしれません。またはOutemu Silent Cream Yellowが似たスペックでファクトリールブ済なのでそちらを選ぶもの手です。
軸のブレは・・・ほんの少しありますが、取り立ててダメだというほどではありません。キーを打っているとき指先の感覚はほぼタクタイル感で支配されるので、多少ブレていたとしても気になりません。
とはいえ、YUNZII Caramel CoffeeやRaw Coconut Latteなど滑らかさと安定感に非常に優れた静音軸と比べると見劣りします。(これらは静音リニアなので単純比較にはならないですが)
総じて打鍵感でいうと、「これぞAkko Penguin Silent唯一の魅力」と推せる差別化ポイントは見当たりませんでした。絶対評価では良好なんですけど、少し惜しいです。
耐久性:5000万回の打鍵OK
公称で5000万回の打鍵に耐える、とされています。
単純計算で5年は持ちますので、45個入り3000円を日割り計算するとほぼ無料ですね。
保証:ショップによる
ショップによります。ぼくは保証には期待しない、かつ値段重視で選びたいのでAliExpressを使っていますが、保証が手厚いor信頼できるショップがあればそちらを選ぶとよいかと思います。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、Akko Penguin Silentのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 静音性。Outemu方式で底打ちも戻りも静寂
- デザイン。ステム以外が白黒なのであらゆるキーボードになじみやすい
- 45個入り。40%キーボードを1セットでカバーできる
- 箱がかっこいい。Akkoデザイン
デメリット(悪かった点)
- ほんの若干の擦れ感。気になる人はいるかもというレベル
- Outemu Silent Cream Yellowという、似たスペックの最強競合の存在
Akko Penguin Silentはこんな人におすすめ
まとめ:絶対評価は良いのだけど
総合評価:
総じて、Akko愛やカラーリングへのこだわりが無い限り、あえてAkko Penguin Silentを選ぶ理由はないかな、と感じます。
理由は、押下圧などの特性がよく似ており、静音方式が同じで静音性も似ており、かつファクトリールブが施されていて滑らかさで勝る静音タクタイル軸、Outemu Silent Cream Yellowのほうが単価が安いためです。ぶっちゃけそっちのほうがお得で、Akkoの強みである「コスパ」を完全に凌駕しています。
というより、Akko Penguin Silentの製作元はおそらくOutemuです。静音機構が同じですし。ならせめてOutemu Silent Cream Yellowと違うスペックにしていれば差別化できたかなと。
とはいえ、Akko Penguin Silent自体の使用感は良好です。あくまで相対評価だと最強の競合のせいで見劣りするだけで、絶対評価なら良い位置にいます。実際、使い心地が自分にフィットしない軸だと1日持たず換装したくなるぼくが、仕事で1週間がっつり快適に使えていました。手放したいか?と言われると躊躇します。
なので、Akko Penguin Silentが気になっている人にはぜひ使ってみてもらいたいですし、買ってみて損する軸でもありませんので、ぜひチェックしてみてください。
あくまで競合がコスパぶっ壊れの最強格なだけで、Akko Penguin Silent自体はいい軸です
以上「Akko Penguin Silentレビュー | 絶対評価は良いが相対評価だと「強み」が薄まる」でした。