提供:Zepp Health Corp
Zepp Health Corp様のご厚意で、2021年9月発売のAmazfit PowerBuds Proをレビューさせていただけることになりました。
Amazfit PowerBuds Proは、運動計測や猫背の検知ができる完全ワイヤレスイヤホン(TWS)です。
メリットは大きく2つ。
- 運動中、スマートウォッチをつけなくてよくなる
- 仕事中、姿勢が悪くなったことに気づける
音楽を聴きながらのワークアウトや、BGMを流しながらの集中作業が主な利用シーンです。
音質はお世辞にも良いとは言えませんが、これは「目的は運動や仕事のパフォーマンスを上げることで、高すぎる音質はその邪魔になる」というAmazfitからのメッセージ。
音楽を楽しむなら他のイヤホンを、運動や仕事のパフォーマンスを重視するならAmazfit PowerBuds Proを、という選び方になると思います。
ANCは「ついで」です
Amazfit PowerBuds Proが気になった理由
首こりが激しいからです。
コロナになってからずっと続くテレワーク。人の目がないぶん姿勢は悪くなりがちです。
ぼくも、スタンディングデスクで立って仕事していますが、いつのまにか首が傾いていたり、必要以上に前傾姿勢になっていたりします。
それに、どうせ1日中Web会議でイヤホンをつけているんです。イヤホンで姿勢計測ができるなら渡りに船。
Amazfit PowerBuds Proで姿勢計測してみると気づくことがあるかな、と思ったのが、気になった理由です。
Amazfit PowerBuds Proの概要
注目ポイント
- 心拍計×スマホアプリ(GPS)によるフィットネストラッキング
- ジャイロセンサ×スマホアプリによる猫背検知
- -40dBのハイレベルANC
仕様・スペック
- カラー:フロストホワイト
- サイズ:イヤホン(片耳)の場合/高さ35.2mm、幅16.7mm、奥行き23.4mm充電ケース/幅60.4mm、高さ47.3mm、奥行き25mm
- 重量:イヤホン/約6.7g×2、充電ケース/約42g、イヤホン本体+充電ケース/約55g
- 充電時間:約2.5時間
- バッテリー容量:イヤホン1個あたり68mAh、充電ケース510mAh
- 入力:充電ケース5V/0.8A
- 充電ケース出力:5V/0.3A
- 周波数応答:2400~2483.5 MHz
- センサー(イヤホン1個あたり):デジタルマイク×3、PPG光学式心拍センサー×1(右耳のみ)、近接センサー×1、加速度センサー×1、圧力センサー×1
- 接続:Bluetooth 5.0 BLE
- Bluetoothの伝送距離:10メートル
- 耐水性:IP55防塵・防滴(イヤホンのみ)
- 機能周囲温度:0℃~45℃
Amazfit PowerBuds Proレビュー
それではレビューしていきます。
外観・デザイン:シンプルな清潔感が良い
白くマットなケースに細字のAmazfitロゴ。
フタの切れ目とAmazfitロゴが同じ薄灰色で、統一感・清潔感のあるデザインです。
背面にはペアリングをリセットするためのボタン。
底面にUSB-Cの充電口がついています。
縦型収納。内側も薄灰色で統一されています。
シンプルで嫌味のないデザイン。好感が持てます。
スピーカー部分は金網状になっています。これは少し珍しいかもしれません。
以上、デザインは総じて「清潔感」「シンプル」「上品」というイメージです。
重さ・大きさ:センサーが多いぶん重い
ケースは標準的な重さですが、本体は6.7gと、他のTWSより1gほど重いです。
心拍センサーやジャイロセンサーが入っているからでしょう。
ただ、1gくらいの差なら装着していて気になることはありません。誤差です。
装着感:良い
装着感は良好です。
スッと装着できますし、頭をブンブン振っても落ちる様子はありません。
ただカナル型なので長時間つけっぱなしだと耳が蒸れてきそうです。
Bluetooth接続:問題なし
デスクワークで使う限り、接続速度も安定性も問題ありません。
操作性:独特で慣れが必要
ざっくり言うと、
- タッチ操作はクセがある
- 操作割当のカスタマイズは便利
- 着脱センサーは高性能
です。
タッチ操作
操作方法が一般的なTWSと違います。
- 一般的なTWS:本体タップ
- Amazfit PowerBuds Pro:うどん部分の側面を押し込み
具体的には……
このポチを押します。
人差し指と親指で押すと本体がずれるので、
- 人差し指は本体を耳に押し込みつつ
- 中指と親指でうどんをつまみ
- 中指でポチを押す
とする必要があります。
一般的なTWSとだいぶ操作性が違うので、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
操作方法のカスタマイズ
専用アプリから、タッチ操作をカスタマイズできます。
自分なりの操作方法が作り込めるのは便利。
着脱センサー
耳を検知して自動で音楽を一時停止・再生する着脱センサー。精度かなり高いです。
数日使った限り、外しても音楽が鳴りっぱなしとか、つけたのに音楽が再生されないとか、ありませんでした。
ここはフィットネストラッキングデバイスを多く排出するAmazfitならではです。
マイク音質:並
マイク音質は、
- 集音力が弱い
- 破裂音(さしすせそ)がノイジー
と、あまり良くありません。
自分の声を録音してみましたが、かなり声を張っているのに遠くに聞こえます。
普段の通話ならまだしも、仕事のWeb会議で常用するには不安が残る品質です。
スピーカー音質:集中力を高める音質
音質は、かなりこもっており、お世辞にも良いとは言えません。
音量バランスは低>>中>高。
全体的に曇っていて、敷き布団の向こうにあるスピーカーの音を聞いているよう。
そもそも低音メインだと音が曇りがちなので、イコライザで改善するかなと思いきや、調整しても不明瞭なまま。
つまり、スピーカーそのものの音の解像度・明瞭感が低い、ということです。
エイジングでクリアになるかもしないですが、可能性は不明。
ただ、この音質調整には理由があると思うんです。
そもそもAmazfit PowerBuds Proの利用シーンは、運動中や仕事中です。
運動中、そこまで音楽に没入しますか? むしろ低音ボンボン鳴らして体をリズムに乗せることを優先しませんか? 耳よりも筋肉に意識を傾けますよね? そこまで高い音質、必要ですか?
仕事中、集中すべきは音楽ではなく目の前のタスクですよね? 集中力アップにあえて低音質のLo-Fi Hiphopが良いという話もありますね? 過ぎた音質は集中力の妨げになるってことじゃないですか?
つまり、Amazfit PowerBuds Proの目的は、音楽に身を任せる時間を作ることではなく、音楽を聴きながら行う運動や仕事のパフォーマンスを高めることにあるのではないでしょうか。
Amazfitからの隠れたメッセージです。
実際、音に厚みのある曲を聴くより、Lo-Fi Hiphopのほうがしっくりきます。
今もAmazfit PowerBuds ProでLo-Fi Hiphopのステーションを聴きながらこの記事を書いていますが、結構捗ってます。
ANC性能:十分
-40dBクラスのANC。カナル型の遮音性もあいまってノイキャン性能は十分です。
特に中低音をよく打ち消します。逆に高音は若干耳に残ります。
具体的には
- 2m後ろの金魚水槽のエアーが稼働する「ブー」音が消える
- 隣の部屋の洗濯乾燥機の「ゴー」音が消える
- 50cm先のキーボード打鍵時の「カチャカチャ」音は少し聞こえる
という感じ。
完全なる静寂にはなりませんが、耳を澄まさなければ気にならないでしょう。
特にAmazfit PowerBuds Proは運動中や仕事中にBGMを聴くのが主な用途です。ANCは「ついで」程度と考えるべきでしょう。
運動計測:仕上がり良し
心拍計測はAmazfit PowerBuds Pro本体、走行距離はスマホアプリ経由でGPS計測です。
使った感じ、心拍計測精度も走行距離計測も問題なし。Zeppアプリはよく作り込まれており、使い勝手も上々。
ここはアクティビティトラッキングデバイスやサービスを長年提供し続けてきたAmazfitならではです。
ただし、
- 心拍計測は右耳イヤホンのみ可能
- 他社製イヤーピースを使うと計測精度が落ちる
の2点だけは要注意。公式サイトの注意事項にも書いてあります。
姿勢計測:マジかよ、と思わせる
本体のジャイロセンサーでイヤホンの角度を検知、それにより頭が上下どこを向きがちかをアプリで計測。
やっていることはそれだけなのですが、Amazfit PowerBuds ProはZeppアプリと連動することで
- 首の角度を計測・可視化し
- 首こりの発生や悪化を未然に防ぐ
ができるよう仕立てられています。
これ、肩こり・首こりに悩まされている人にはかなり価値があると思いません?
詳しく話します。
首への負担に気づかせる
そもそもなんで肩こり・首こりになるか。
それは、首に負担をかけているから。もっというと、首に負担をかけている姿勢になってしまっていることに気づけないからです。
ぼくは長く首こりに悩まされているので、なるべく姿勢を正しく保とうとしています。
首をまっすぐし、頭が背骨の真上に乗せ、首への負担がもっとも少ない状態をキープしようと。
でもそれでも、Amazfit PowerBuds Proで計測すると首が14°下に向いていたりします。
このように、自分ひとりでは首の角度に気づけないんです。
自分ではまっすぐのつもりでも、頭は意外と下を向いている。無意識のうちに首に負担をかけている。
Amazfit PowerBuds Proだと、この首の負担に気づくことができる。大きな価値です。
首をほぐすタイミングを示す
気づける=対処できる。
ということで、Amazfit PowerBuds Proは、
- 首に負担がかかっていること
- 首を動かさない状態が長く続いていること
をアラートで知らせる機能を備えています。
首に負担がかかった状態が続くと、首(のまわりの筋肉)がこり固まります。
Amazfit PowerBuds Proは、それを阻止してくれる。未然に防いでくれる、ということです。
バッテリー:優秀だが用途を考えると力不足か
バッテリー性能は、公式サイト上の推定値は以下の通り。
- ANCオンの連続再生は、5時間45分
- ANCオフの連続再生は、9時間
- ANCオンの連続通話は、3時間30分
- 急速充電対応(15分で2.5時間分)
- フル充電は2.5時間
以上の仕様から、仕事中や運動中に使うことを考えると、
- 仕事:心配になる
- 運動:十分
という評価になります。
仕事での利用
1日8時間、休み1時間だとして、
- 業務時間内はつけっぱなし
- 休み時間と夜間に充電
- ANCオフ
とすれば、1日Web会議漬けでも電池切れを起こしません。
ただ実際は、ランチタイムにWeb会議が入る場合や、残業がたてこむ場合もあるでしょう。
そのようなイレギュラーパターンを考慮すると、1日ずっと使い続けられるわけではありません。
なので「心配になる」≒代替機を準備しておくべき、です。
ただし9時間再生はTWSでは最長の部類。Amazfit PowerBuds Pro以外でも起きる問題です
運動での利用
一方で運動時。そもそも6時間も7時間も連続でワークアウトする人はレアです。
なので問題にならないでしょう。
防水・防塵:水ポチャしなければOK
IP55なので、
- シャワー程度なら問題なし
- 水ポチャには気をつけて
というレベルです。
本体をポケットにいれたままのパンツを洗濯機に入れて回す、とかしない限り安心です。
耐久性:未検証
使って1週間程度のため、耐久性は未検証です。
少なくとも初期不良には当たりませんでした。
保証:1年
Amazfit製品は標準で1年の保証がつきます。
初期不良含め、通常利用の範囲内での破損や故障なら、交換対応してくれます。
Amazfit PowerBuds Proは2万円オーバーなので、保証がしっかりしていると安心しますね。
実際に使ってみた感想
良かったところ
- 今までにない首の角度計測機能による首こり防止
- フィットネストラッカーとして十分な品質
- 一部用途を除き必要十分なバッテリー性能
- Zeppアプリの作りが秀逸
首の角度計測機能はエポックメイキングです。仕組みは単純ですがヘルスケア的にはもたらす価値が大きい。
その他の点は、長年フィットネストラッキングをやってきたAmazfitならではの品質、といったところです。
悪かったところ(とその対策)
- 音質は用途に基づく納得が必要
- 特定ジャンルの音源のみ聞き浸れる
好みの問題があるとは思いつつ、「音質はどうにかならなかったのか」と思わざるをえません。
2.4万円となると、フィットネストラッキングデバイスとしての機能や性能だけでなく、完全ワイヤレスイヤホンとして高音質を求める人も出てくるでしょう。
が、この音質だとそういう人には納得してもらえない可能性があります。ぼくもその一人でした。
値段が値段なだけに……という感じです。
Amazfit PowerBuds Proこんな人におすすめ
まとめ:買う側の期待値で評価が変わる
総合評価:
- フィットネストラッキング用途なら★5
- 完全ワイヤレスイヤホン用途なら★3.5
が当ブログとしての評価です。(↑は一旦低めの3.5で表示)
理由は、
- Amazfit PowerBuds Proは、フィットネストラッキングデバイスであり、完全ワイヤレスイヤホンでもある
- フィットネストラッキングデバイスとしては、よくできている。値段なりの価値がある
- しかし完全ワイヤレスイヤホンとしては、音質がお世辞にも良いとは言えず、値段未満の価値となる
となるためです。
Amazfit PowerBuds Proになにを求めるのか、スタンスを明確にしてから購入を検討することを強くおすすめします。
複数の側面を持つガジェットの辛いところです
以上「Amazfit PowerBuds Proレビュー | TWSでヘルスケア。心拍と姿勢を計測できるANC完全ワイヤレスイヤホン」でした。