提供:BenQ
BenQ様のご厚意で、同社のハイエンドデスクライト「BenQ WiT MindDuo」をレビューさせていただけることとなりました。
BenQ WiT MindDuoは、2万円オーバーの高級デスクライトです。
驚いてしまう値段ではあるものの、
- プロユースの照明性能
- 17年間使える耐久性
- 幅広い利用シーンに対応できる機能性
- 行き届いた使い勝手
を備えていることから、長く使うことを念頭におけば、購入を検討するに値するかな、と感じました。
しかし、完全体になるには数cmのガムテープを使わなければなりません。クランプで設置したときのグラつきをおさえるために必要なのです。ここだけは行き届いていないポイントかなと。
とはいえライトとしての性能が優秀であることは変わりません。より明るく見やすい仕事環境、より快適な読書空間を求める人は、ぜひチェックしてみてください。
BenQ MindDuoの概要
注目ポイント
- 照明範囲95㎝。独自の「広域導光ルーパー」で、机の隅までムラなく照らせる
- 21段階の照度・6段階の色温度調整。仕事・勉強時にもリラックス時にも使える
- 人感・照度センサー搭載。自動点灯・消灯で、節電と手間の削減を両立
- 点灯可能時間は50,000時間。1日8時間換算で17年間利用可能
デスクライトとして、考えうる機能・性能・あらゆる気遣いをすべて詰め込んだという感じです。
2017年グッドデザイン賞を受賞しているのも納得です。
仕様・スペック
- 型番:AR16_D
- 照度:2000 Lx(中心直下、高さ40cm)
- 光源部:2700K電球色~ 6000K白色、Ra>90
- 電源:100〜240V AC、50〜60Hz
- 消費電力:18W(最大)
- 光源寿命:約50,000時間
- ライト交換:不可
- サイズ:38cm x 47cm x 32cm
- 本体重量:3.4 kg
- 本体素材・材質:アルミ、ポリカーボネート
- USB-A出力:5W(5V1A)
BenQ WiT MindDuoレビュー
それでは実機レビューです。
外観・デザイン:とにかくシンプル
組み立て後はこんな感じ。
弧を描いたライト、アームの長さ、そしてシンプルな白一色のデザインが特徴です。
ライト部分は、白+銀のカラーリング。
上部には、各種操作用のジョグダイヤルがあります。
後方には人感センサーのオンオフを切り替えるスイッチ。
ライトの光源部分には、手をかざすと反応するセンサー等と、中心から外側に向かう「広域導光ルーパー」が備えつけられています。
アーム部分。編み込み式のケーブルがアーム内に埋め込まれているのと同時に、関節部分に若干の遊びがあります。
ケーブルがアームの折り曲げに追従すること、折り曲げるたびにケーブルにダメージが蓄積しないこと、そしてケーブルが遊ばないこと。これらを満たすと、こういうバランス感になるのでしょう。
アームの根元には、給電ジャックや固定用ネジの差込口。
根本の反対側に、USB-Aの給電口があります。
なお、アーム部分はざらつき加工が施されています。
肌触りがよく、汚れもつきにくそうです。
大きさ・重さ:大ぶりだが、軽い
アームの長さは総合計で75cm。
伸ばすとかなり存在感があります。
一方、ライトとアーム部分は実測で728gと軽量な部類。
仮に倒れてきても、ケガにはなりにくいでしょう。
なお安定性確保のためか、スタンド部分はしっかり重く作られています。
設置方式:2種類から選べる
- スタンド型
- クランプ型
の2つの方式で設置できます。
スタンド型
どっしりした重さとそれなりの大きさのあるスタンドに、アームをガチャっとはめこんで使う方式です。
デスクに十分なスペースがある場合、またはライト自体の置き場所をひんぱんに変える予定がある場合は、スタンド型を選ぶと良いでしょう。
クランプ型
別売りの専用クランプを使うことで、デスクに直接ライトを固定する方式です。
スタンド型に比べるとはるかに小さいスペースで設置できる一方で、アーム自体の移動がしづらくなる点がデメリット。
デスクスペース確保を優先するなら、クランプ型を選ぶと良いかと思います。
機能と操作性:行き届いている
機能と操作性は、2万円オーバーの高級デスクライトなだけあって、「これでもか」というくらい行き届いています。
アームの曲げ伸ばし
2つのヒンジを使ってアームを曲げ伸ばしできます。
ツマミを時計回りに回すとヒンジが固定されます。
アームを曲げ伸ばしするときは、反時計回りに回して固定を解除します。
ライトの向き調整
先端部分はボール型の固定具(ピボット)が入っており、ライトの向きを自由に調整できます。
人感センサーによる点灯・消灯
ライト下部に手をかざることで、ライトの点灯・消灯を手動で切り替えられます。
それに加えて、人感センサーを利用して
- ライトに近づくと自動点灯
- ライトから離れると自動消灯
という機能も具備しています。
自動点灯・消灯機能を有効・無効は、ライト後方のスイッチで切り替えることができます。
手動オンオフで運用したい場合は、自動点灯・消灯機能を無効にしておきましょう。
ダイヤルを使った明るさ・色温度調整
上部のダイヤルを使って、21段階の調光と、暖色系・寒色系の切替ができます。
適切な照度の自動認識
上部ダイヤルのLED色で、現在のライト照度が適切かをサジェストしてくれます。
- 青:明るすぎる
- 緑:ちょうどいい
- 赤:暗すぎる
明るすぎたり暗すぎたりすると目が疲れやすい……ということはわかっていつつも、じゃあ具体的にどのくらいの明るさがちょうどいいの、と言われると、パッと答えが出てきづらいものです。
なので「LEDが常に緑になるようにすればOK」と伝えてくれるこの機能は、大変ありがたい存在です。
照明性能:業務用基準に照らしても十分
さすがの性能です。
明るさ、照明範囲、光の向き、色温度、どの点からも文句のつけようがありません。
明るさ
スペック的には、最大2,000ルクス。幅95cmの範囲を400ルクスで照らすことができます。
ちょっと数字ではピンとこないので、照明器具に関する照度基準が定められている「JIS Z 9110:2010 照明基準総則」から、代表的なシーンを引用してみると、
- 300ルクス:学校での読書や勉強
- 400ルクス:草野球の外野
- 500ルクス:事務所でのキーボード操作
- 2,000ルクス:工場での精密機械の組立
だそう。
デスクライトという位置づけからすると、400ルクス出せるBenQ WiT MindDuoの照度は必要十分と言えそうです。
使っていて「暗いな」と感じたことはありませんでした。
照明範囲
スペック上は照明範囲95cmとありますが、ライト部分の高さによっては、幅120cmのデスクを端から端まで照らすことができます。
もちろん、ライトの位置が高くなればなるほど、そしてライトの真下から外れるほど、照度は下がっていきます。
ただ、少なくともキーボードを使うオフィスワークにおいては十分な照明範囲だと思います。
光の向き
デスク中心にライトを設置した状態でペンを持ち、ペン先に影が重ならない範囲を調べてみました。
すると、ライトの右側もちろんなのですが、本来ならペン先に影が重なるはずの左側であっても、ペン先に影が重なりにくく見えました。
理由はおそらく、BenQ WiT MindDuoの光源は線上に並んでいること、そして独自の「広域導光ルーパー」で光の向きが工夫されていること。
高級デスクライトならではです。
暖色・寒色
ライトの色温度を、暖色系(電球色)から寒色系(蛍光灯色)まで、6段階に切り替えらます。色温度は数字でいうと2700~6000K。
具体的にどのように見えるか、比較写真を貼っておきます。
左が暖色系、右が寒色系、いずれも照度はBenQ WiT MindDuoの推奨する「適切な照度(上のLEDが緑色の状態)」にしています。
揺れ・安定性:クランプ型はガムテープ必須
構造的に、先端のライト部分が揺れやすいです。
くわえてクランプで設置すると、接合の甘さから、根本がかなりグラつきます。
ただし両方ともガムテープを使ってかんたんに補強できます。
構造的に揺れやすいのは必然
アームが長いので、どうしても先端のライト部分は揺れが出やすくなります。
揺れを極限までおさえるなら、
- アームを伸ばしすぎないこと(根本からライトまでの距離を短く保つ)
- アームを伸ばすなら、ライトの付近をなにかで支えること
のいずれか、または両方の対策が必要です。
ぼくの場合、
- ディスプレイ上部にライトを置きたい
- ディスプレイもライトも動かす予定がない
ことから、ディスプレイ上部とライトを丸めたガムテープで軽く接着することで、ディスプレイを支えがわりにしました。
これだけでも揺れがだいぶ解消されました。
クランプ根本のぐらつきはガムテープで解消可能
クランプで設置した場合、↑のとおり、根本部分が結構グラつきます。固定用のネジを力強く締めてもこの状態です。
原因は、固定用のネジが短すぎること。クランプに設置せずにネジを締めた状態で見てみると、先端が固定用の金具まで届くところまできていませんでした。
そこで……
クランプ側の接合部をガムテープで埋めてみました。これで固定用ネジががっちり接合部に噛むようになります。
これにより……
アームの根本が固定され、グラつきを抑えることができます。
Before Afterはご覧のとおり。ヒンジ部分のツマミを見ていただければ、どれだけ安定したかわかっていただけと思います。
2万円オーバーの高級デスクライトですし、本当はガムテープなしでもOKであってほしかったところです
耐久性:未検証だが心配点はある
2万円オーバーの高級デスクライトなので、どうせ買うなら長く使いたいもの。
となると、気になるのが耐久性。ぼくは2週間しか使っておらず実機での耐久性レビューが難しいため、できる限りの情報を集めてみました。
ライトの点灯時間
BenQ公式サイトによると、点灯時間は50,000時間。
毎日8時間使ったとして、17年間は持つ計算になります。
これだけ持てば十分でしょう。
アーム等の強度
とはいえ、デスクライトはライト本体だけで成り立つものではありません。アームなどライト以外も当然、耐久性が気になるポイントです。
情報を探してみたところ、Amazonに「1年でアームのヒンジ部分が折れた」というレビューがありました。
どのような使い方でそうなったかはわかりませんが、ヒンジ部分が破損したということは、かなり頻繁にライトの位置を変えていたのではないか……と推測されます。
そう使いたい気持ちはよくわかります。モニターアームと同じように1ミリ単位でライトの場所を調整できるので便利なんですよね。
ただ、壊れてしまっては意味がありません。
ヒンジ部分の破損を防ぐには、
- 頻繁にライトを動かさない
- 基本的に固定位置で使い、どうしてもという時だけ動かす
を意識することかな、と思います。
可動部分が壊れやすいのは必然なので致し方ないかなと
USB-A出力:便利
ライトの根本のUSB-A給電口、出力は5W。
低出力なので、スマホの高速充電や電池を食うタイプのガジェットは使えません。
ただUSB-Aの給電口はなにかと役に立つことが多いもの。
たとえばテレワークという文脈でいえば、
- ワイヤレスイヤホンの充電
- 充電池式ワイヤレスマウスの充電
- ワイヤレスキーボードへの給電
- スピーカーフォンへの給電
など幅広い使いみちがあります。
特にガジェットをたくさん持っているとUSB-A給電口が不足しがちなので、1つでも多いのは嬉しいものです
保証:1年間は短く感じる
付属の説明書に、「購入日から1年間の保証」とあります。
保証期間があること自体は嬉しい限りではあるものの、
- 2万円オーバーの高級品であること
- ライト自体は17年使える、と謳われていること
を考えると、1年はちょっと短いな、という気分になります。(せめて1年半……)
せめて破損報告のあるヒンジ部分について、交換用の部品を個別に販売してくれると嬉しいかなと思います。
実際に使ってみた感想
自宅デスク用のデスクライトとして2週間ほど使ってみました。
設置場所はディスプレイの上。デスクスペース確保のためクランプを利用。ガムテープを使った揺れ対策の補強を実施済です。
人感センサーでの自動点灯・消灯は超便利
人感センサーのおかげで、
- デスクにつけば、自動点灯
- デスクから離れると、自動消灯
と、手間なくデスクライトが使えて便利です。
そもそもライトのオンオフ、面倒なんですよね。使うたびに必要で「ちりつも」で手間がかかりますし、それのせいでデスクライトを使わなくなるまであります。
BenQ WiT MindDuoはそこらへんもちゃんとケアされているあたり、長く使い続けることを念頭に設計されているんだな、と感じました。
目の疲れは、あまり変わらず
デスクライトの有無で、目の疲れはあまり変わりませんでした。
目の疲れはむしろ、ディスプレイの位置や照度、メガネのフィット、自分の体調に大きくに左右されそうです。
ディスプレイのほこりが気になるようになった
ディスプレイの上にライトを設置しているせいか、ディスプレイについたほこりが目立つようになりました。
具体的には、
- ディスプレイがついていないとき→ほこり1つ1つ見えてしまう
- ディスプレイがついているとき→ほこりは見えない
という状況です。
ディスプレイを使っている最中は気にならないので、作業をするうえで実害はありません。
しかし使う前後で、ほこりが「やあ!ここにいるよ!」と主張してくるのは、結構目につくかなと……。
これ、あらゆるデスクライトで起こることなので、BenQ WiT MindDuoが悪いわけではありません
デスクの雰囲気はかなり良くなる
これまでデスクの照明に無頓着だったのですが、デスクライトで気分が上がります。
個人的なお気に入りは
- 部屋のシーリングライトを消す
- デスクライトの色温度を暖色系にする
- Amazon EchoからLo-Fi Hiphopを流す
の組み合わせ。デスクがバーみたいになります。
地味に役立つUSB-A給電
地味に良いのが、USB-A給電機能です。
メインの4Kモニターの横に縦置きしている15.6インチモバイルモニター向けの給電にぴったりなんです。
これまではデスク下までUSB-Aコードを伸ばす必要があったのですが、すぐ隣で給電できるようになったことで、配線がスッキリしました。
細かい使い勝手に配慮があるのも「高級デスクライト」ならではなのかなと思いました
BenQ WiT MindDuoはこんな人におすすめ
まとめ:ガムテープさえ必要なければ完璧
総合評価:
クランプ利用時のガムテープ補強さえ必要なければ、★5でした。
ガムテープを使えば問題ないからいいじゃん、と思われるかもしれません。
しかし、BenQ WiT MindDuoは2万円オーバーの高級デスクライトであることを忘れてはいけません。買った人に工夫させている時点で★を減らさざるをえない値段帯なのです。
くわえて、
- 2017年11月発売の製品であること
- 複数の過去レビューで「クランプだと根本がぐらつく」と書かれていること
- 同梱の固定用ネジさえ長いものに交換すれば解消が望まれること(根本的な設計変更が不要であること)
などの点を考えると「どうして発売から2020年12月までの3年間、この不具合に対処しなかったのか」とうがった見方をされても仕方ありません。
ぜひ次回ロットから改善してもらえたらな、と思いました。
……と、かなり辛口に書きましたが、ライトそのものはとても良いモノである点はたしかです。
長く使う前提なら、購入を検討するに値すると思います。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上「BenQ WiT MindDuoレビュー | 行き届いた高級デスクライトは、数cmのガムテープで完全体に進化する」でした。