提供:EarFun
待望の後継機!
2023年10月末、EarFun Free Pro 3が発売されました。EarFun Free Pro 2の後継機で、2年ぶりの新作です。
「全部盛り」という魅力は継承しつつ、2年の技術進化を取り込んだ正当進化版となっています。
- Snapdragon認証取得
- ハイレゾ対応
- 専用アプリ
- マルチポイント接続対応
とはいえ前作が良すぎたあまり本作がかすんでしまう部分もあります。詳しくはレビュー本編にてご紹介します。
EarFun Free Pro 3が気になった理由
最新の全部盛りはどんなものなのかを体感したかったからです。
完全ワイヤレスイヤホンに求められるのは総合力です。音質だけでなく、再生時間、ANC、Bluetooth接続の安定性、防水やアプリ、充電まわりなど、さまざまな点で評価されるもの。そのいずれかがNGだと「これはちょっと」と言われてします。
その点、EarFunのFree Proシリーズは、その時点で普及している最新の部品を駆使した「全部盛り」を目指しているように見えます。前作や前々作で共通した特長なので、EarFun内の位置づけもそうなっているのかもしれません。
最新をキャッチアップするのに最適な1台、というわけです。
EarFunは音質にハズレが少ないのも推せるポイントです
EarFun Free Pro 3の概要
- チップセット:Qualcomm QCC3072
- Bluetooth:5.3
- マルチポイント接続:対応
- コーデック:AAC/SBC/aptX Adaptive + LE Audio(今後のアップデートで対応予定)
- 連続再生時間:最大7.5時間(ANCオフ)/6時間(ANCオン)
- ドライバ:7mm径ウールダイナミックドライバー
- ANC:対応(-43dB)
- 通話ENC:対応(6マイク)
- 防水防塵:IPX5
- その他:急速充電対応、ワイヤレス充電対応、片耳モード、ゲームモード(55ms低遅延)
EarFun Free Pro 3レビュー
イヤーピースが充実しています。本体装着済含め5セットのシリコン型に加えて、ワンランク上とされるフォーム型イヤーピースまでついてきました。すごいですね。
それでは本体をレビューしていきます。
デザイン:コンパクト。減点要素なし
落ち着いた配色。コンパクトで、直方体に近い形なので、バッグの内側にある細長いポケットにすっと入ってくれそうです。
本体もまたコンパクト。装着すると耳の内側にスポッと入ってしまうほどです。
デザイン面は特にマイナスポイントは見当たりませんでした。
装着感と操作性:自分向けにカスタムしよう
装着感は、付属のイヤーピースとイヤーウィングでカスタムします。
EarFun Free Pro 3は本体が小さいため、耳に固定するには、
- 耳の穴にフィットするイヤーピースを選ぶ
- 耳の内側にぴったりはまるイヤーウィングを選ぶ
の2点、意識する必要があります。耳と本体の位置関係やフィット感によって音質すら変わってしまうので、しっかり自分用に調整しましょう。
タッチ感度は良好です。ただEarFunロゴのある面の大半がタッチ感知域になっているようで、若干誤タッチしやすいので、本体を持つときは側面をつまむようにしましょう。
Bluetooth接続:問題なし
Bluetooth接続は、はじめのペアリング、再接続の速度、通信の安定性、マルチポイント接続とも、自宅内で使っている範囲では問題は見られませんでした。
コーデックは、使っているスマホの関係で普通のaptXまでしか試せませんでした。対応する機種ならaptX Adaptiveが使えるはずです。
専用アプリ:機能豊富
おおよそ考えうる完全ワイヤレスイヤホン向け機能は網羅されています。
操作変更やファームアップも可能。
タッチ操作を全オフにする機能も備わっています。誤タッチしやすい形なのでありがたいですね。
音質調整関連は、イコライザと「Bluetoothオーディオの品質」機能がついています。アンプ的な音質向上機能はついていません。
なお「Bluetoothオーディオの品質」はタイトルを見て「おっ」と思うかもしれませんが、要するに
- aptX / aptX Adaptiveを使うモード(音質優先)
- SBC/AACだけ使うモード(安定した接続が優先)
の切り替えです。わかりやすいですね。
音質:もったいない
第一印象は、ボワっとした低音が足引っ張ってない?、です。
音量バランスは低>>中>高。低音が丸くボワっと強調されているがゆえ、中音域や高音域の良さが目立ちにくくなっています。
演劇でたとえるなら、せっかく主役がいい演技をしているのにまわりに大勢の黒子がわらわらしているせいで主役が見えづらくなっているような。かつ、その黒子たちがキビキビ動いて芸を感じるならいいものの、そうでもない的な。
専用アプリのイコライザで低音を弱めに調整することを強く推奨します。面倒だったらプリセットイコライザに「低音を弱める」があるのでセットしましょう。
そのうえで主役の演技はいいのか?でいうと、平均ちょい上という印象です。
EarFun Free Pro 3向けに音をゴリゴリ作り込んだというより、純粋にQualcomm QCC3072と低音重視7mm径ウールダイナミックドライバーとEarFunが過去作った音質調整を足し算しているような印象を受けます。
EarFunの音作りの基礎力が高いので、その恩恵で偏差値55くらい行っているものの、偏差値60オーバーで感動するようなレベルとは言いづらいです。
ゆえに、「完全ワイヤレスイヤホンの評価基準は音質の高さだ」という人からすると、期待値を下回ってしまうと思います。
察するに、その時点の機能・パーツを「全部盛り」したがゆえ、音質の作り込みも単純な足し算のレベルにせざるをえなかったのかもしれません。くわえて、EarFunが居を構える香港や製造工場があるであろう中国は人件費の高騰が激しいですし(香港参考、中国参考)、売価を考慮すると致し方なしでしょうか。
以下、観点別の印象です。
解像度
そこまで高くありません。
ぼくは「各音域の特徴や役割分担がしっかり定義され、各音色が聞き分けられる。その結果全体がハーモナイズされている」的な調整が好みで、解像度にはこだわるほうです。
一方、EarFun Free Pro 3は先に全体を1つの音としてまとめたうえで各音域のゲインをバルクで調整しているような印象を受けます。結果として、音域別に特徴はあれど音色別の解像度が上がりきっていないように感じます。
臨場感
今ひとつです。
左右の鳴らし分けは一定されているものの、それ以上でもそれ以下でもありません。たとえば高音域のきらめきや響き渡りによる奥行き表現は甘く、平面的です。
したがって、楽器に取り囲まれるような体験は期待できません。
高音域
弱めです。他の音より2歩ほど向こう側にいる印象。
とはいえ音量が小さいだけで、シンバルやトライアングルのみが響くパートは粒感が保たれています。
中音域
ボーカルが強調されています。男性ボーカルも女性ボーカルも、歌い手が最前面に立っているように聞こえます。
ピアノやギター、ストリングス系は1歩後ろでまとまっているように聞こえます。
低音域
ボワボワしています。
バスドラムやベースギターはかろうじて聞き分けられるものの、基本はゲインをグッと上げているように聞こえます。
ANC:優秀
-43dBクラスのANC。カナル型の遮音性もあいまってノイキャン性能は十分。
特に中低音をよく打ち消します。逆に高音は若干耳に残ります。
具体的には
- 2m後ろの金魚水槽のエアーが稼働する「ブー」音が消える
- 隣の部屋の洗濯乾燥機の「ゴー」音が消える
- 50cm先のキーボード打鍵時の「カチャカチャ」音は少し聞こえる
完全なる静寂にはなりませんが、耳を澄まさなければ気にならないでしょう。
バッテリー:優秀
Qiワイヤレス充電対応。有線なら急速充電も可能。充電はフル機能です。
また、連続再生時間は
- ANCオフで、最大7.5時間
- ANCオンで、最大6時間
と、本体のサイズを考えると優秀です。
前作EarFun Free Pro 2はANCオフで6時間、オンで5時間だったので、順当に進化しています。
防水防塵:水没に注意
イヤホン本体は、IPX5相当の防水性能を備えています。
いわゆる「強めの防滴」なので、シャワーくらいならOK、水没はNG、と考えてください。IPXなので防塵はついていません。
実際に音楽を再生しながらシャワーを浴びせてみたところ、なんの問題もなく動作し続けました。
ただし、タッチ操作部分が水滴に反応してしまうケースが何度かあったので、シャワーを浴びながら使うのはやめたほうがよさそう。
雨の中傘をささずにジョギングするとき使うなら、小雨くらいのときに限ったほうが誤作動なく使えると思います。
保証:18ヶ月
購入日から18ヶ月の保証がつきます。
保証期間内なら、新品交換、返品、返金が可能。(もちろん諸条件はあり)
9,000円台となると「少し高めのいいイヤホン」なので、保証がしっかりしているのは安心感があります。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、EarFun Free Pro 3のメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- コンパクトサイズ
- 付属するイヤーピース、イヤーウィングが充実
- ANC、バッテリー、専用アプリなど周辺機能が優秀
デメリット(悪かった点)
- イコライザ必須かつ平均の域を超えない音質
EarFun Free Pro 3こんな人におすすめ
まとめ:イヤホンというよりガジェット
総合評価:
完全ワイヤレスイヤホンに音質を求める自分にとっては期待値未満でした。とはいえ総合力は高い点を考慮し、★4としました。
というより、前作EarFun Free Pro 2が音質含めて完璧超人すぎました。それを超える感動を与えてくれるだろうと期待しすぎていたかもしれません。
もちろんEarFun Free Pro 3は買って損するものではありません。ただ、音を楽しむ「イヤホン」ではなく、充実した機能を堪能する「ガジェット」として買うほうが納得感が高いと思います。
なお、定価は9,480円。昨今の為替の影響で前作より値上がりしていますが、タイムセールやクーポンを駆使すると前作の定価と同じ7,000円台で買えます。
気になる方はぜひ狙ってみてください。
以上「EarFun Free Pro 3レビュー | 2年ぶりの新作全盛り完全ワイヤレスイヤホン」でした。