提供:EarFun
2024年3月、EarFun初のワイヤレスヘッドホンWave Proが発売されました。
定番機能をコスパよく盛り込むことに定評のあるEarFunがワイヤレスヘッドホンを作るとどうなるのか?レビューしていきたいと思います。
EarFun Wave Proが気になった理由
スペック全量はEarFun公式サイトを見ていただくとして、個人的に気になったポイントは以下です。
- 40mm径DLC複合膜ドライバー搭載
- ハイレゾ・LDAC対応
- -45dBのANC
特に-45dBのANCは個人的に初体験。
どのくらい音に没入できるのでしょうか。楽しみです。
EarFun Wave Proレビュー
それではレビューしていきます。
デザイン:見た目も質感も良し
ラグジュアリーな感じです。
触り心地がとても柔らかく、肌にも優しそうな感じがします。
触感的に人口皮革だと思うなので、長く使っている加水分解してポロポロとこぼれてきそう。
形状やサイズ感は一般的なヘッドホンに近いので、交換品は入手しやすそうです。
操作性:上々
右手の親指だけで操作が完結するように作られています。
最初はどのボタンが何の機能かがわからないものの、5分もいじれば慣れました。
Bluetoothまわり:特に違和感なく使える
LDAC対応。空間オーディオもいけます。
混雑している駅前を歩いてみましたが、トラブルなし。ぶつぶつ切れたりしませんでした。
アプリまわり:一通り揃っている
専用アプリから幅広いカスタマイズが可能。
たくさんの完全ワイヤレスイヤホンを世に送ってきたEarFunだからこそ、初ワイヤレスヘッドホンでもここまでいけたのかなと思います。
音質:初手の違和感を超えると快適
第一印象は少し残念。中音域に女性ボーカル声域の音量が大きく、ボーカルが3歩くらい前に出てくる一方で、伴奏は全体的に音が丸まっている印象を受けます。
ボーカルを堪能したい人には突き刺さるけど全音域をまんべんなく聞きたい人には合わないかもしれないな・・・と、はじめは思っていました。
しかし、しばらく耳を澄ませると(≒耳が慣れてくると)ずいぶんと印象が変わります。
まず、ベースの低音がすごいです。音色というより音波、空気の振動がそのままビリビリと耳全体を包み込み、その振動が足の裏へ抜けて地面へ伝わり、自分を中心とした真円をかたちづくって広がり沈んで消えていく、そんな一気通貫な感覚を受けます。
バスドラムのレスポンスが良い(音が立ち上がってから引っ込むまでのメリハリがはっきりする)のも良いですね。デスメタルなど両足でバスドラムをドカドカ鳴らす曲でも、人間には無理なレベルのバスドラム連打をかますボカロ系の曲でも、バスドラムの音が混ざらなくてとても聞きやすくなります。要は低音の解像度が高いです。
そのおかげか、楽曲の骨格が安定します。音楽を聞くときって頭のどこかでリズムを取る(だから変調する音楽は脳が混乱する)と思うんですが、それが楽というか、リスムを取るためにわざわざ脳のリソースを割かなくても耳から入る音が勝手に脳みそをリードしてくれる感じがするんです。どうやら低音の解像度が低いと脳が勝手にリズムを補完する、というのがぼくの脳みその動きみたいで、それが不要になった分だけ楽になったと感じているみたいです。(もちろんこれは人によると思います)
低音以外はというと、音の厚い(=全音域の音色が重なるパートが多い)楽曲だとボーカル以外はなにかと埋もれがち。たとえばシンバルやトライアングルは「控えめながらきらめくかな」くらいの印象です。しかし中音から高音がメインの楽曲や音の薄い楽曲では主役級の活躍を見せてくれます。特に伴奏の中高音を遠くに響かせるエフェクトは臨場感は秀逸で、頭上に天高く抜けていくような爽快感があります。
一方で、ある程度聞き込んでくると、楽曲によっては女性ボーカルの「3歩前」が耳障りに感じるときときがあります。具体的には、ボリュームを女性ボーカルの音量にあわせると伴奏の音色を楽しみきれず、かといって伴奏にあわせると女性ボーカルがけたたましく感じるケースが増えます。アーティストや編曲者の意図とEarFun Wave Proの意図が共振してしまっているのでしょう。EarFun Wave Proの値段を考えるとしょうがないトレードオフなのだと思います。これ以上を求めるなら、イコライザで調整するか、より高い値段帯のANCヘッドホンに手を出すことになるでしょう。
総じていうと、
- 女性ボーカル主体の楽曲
- 低音を重ねる楽曲
- 音が薄めの楽曲
だと、EarFun Wave Proの良さが際立ちやすいです。
こういった曲の魅力をより強い感じたい方にはEarFun Wave Proは刺さると思います。
ANC:優秀
低音・中音を中心に周囲の音を打ち消してくれます。
具体的には、昼下がりでほぼ満席のカフェで、音楽再生なしの状態で最も強いANC(深いノイズキャンセリング)にしてみたところ、
- 話し声はほぼ聞こえない
- 店内BGMの高音部や食器を置くときのカチャカチャ音が少し聞こえる
という感じ。
普段使いのEDIFIER NeoBuds Proと同等程度だと感じます。
ANCヘッドホンは、構造上カナル型ANCイヤホンと比べると遮音性が低くなります。それでも同じくらいのANC性能が出ていると考えると、EarFun Wave ProのANCはパフォーマンス良好と言えるでしょう。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、EarFun Wave Proのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 高精細な伴奏
- カナル型に負けない優秀なANC
- Bluetoothやアプリまわりで流行りの機能が揃っている安心感
デメリット(悪かった点)
- 耳が音質に慣れるのに時間がかかる
- 女性ボーカルメインの楽曲だと少しけたたましく感じる
こんな人におすすめ
まとめ:パーフェクトではないけど1万円以下なら全然良し
総合評価:
全体的にレベルが高いぶん、女性ボーカルのえたたましさが悪目立ちしててもったいない、と感じました。
パーフェクトとは言えないので★4.5としましたが、1万円未満と考えると完成度が高いですし、買って損するヘッドホンではありません。
ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上「EarFun Wave Proレビュー | 同社初のワイヤレスヘッドホン。コスパは良いのか?」でした。