提供:eMeet
eMeet様のご厚意で、2021年9月発売のeMeet EMute E1をレビューさせていただけることとなりました。
EMute E1は、ダイヤル型の左手デバイス。特長は、
- 押す・回す・押して回す、だけのシンプル操作
- かわりに値段は実売3000円台とリーズナブル
と、機能も価格もミニマルである点です。
工夫によっては幅広く使い倒せます。たとえば、PowerToysのKeyboard ManagerやAutoHotKey等のキーマップ変更ツールとの併用で一気に化けます。
ただし、名前の通りのミュートボタンとして捉えると正直微妙。理由は専用ソフトeMeet Linkの作りの粗さ。
命名と専用ソフトを無視して使う範囲であれば、おすすめできる一品です。
EMute E1の導入理由
やっぱりミュートボタンがほしかったからです。
普段のWeb会議はほぼTeams。ミュートオンオフにショートカットキーは設定されているものの、
- 切替:Ctrl-Shift-M → 両手操作が必要で面倒
- 一時的な切替:Ctrl-Space → ずっと押しっぱなしになるケースがあってちょっと
と、細かいところで不満があります。(一時的な切替ができるようになってだいぶ楽にはなったんですけどね)
やっぱり、左手でボタン一発でスパッとミュートオンオフを切り替えたい。可能ならTeamsのマイクミュート状態と連動してくれると嬉しい。
そこでEMute E1は、
- 押せばマイクミュート可能なダイヤル型デバイス
- AmazonレビューにTeamsだけでなくZoom等とも連動するとある
ことから、要件にベストフィットするかなと考えました。
ただこれは過ぎた期待だったようで……詳細は後述します
EMute E1の概要
注目ポイント
- リモートワークに便利なLEDつきミュートボタン
- ダイヤル操作で音量調整や曲送り・戻しが可能
- 専用アプリeMeetLinkでカスタマイズ可能
仕様・スペック
- カラー:ブラック
- 商品サイズ:60mm60mm44.5mm
- アイテムの重さ:130g
- パッケージサイズ:88mm88mm66mm
- パッケージの重さ:220g
- USB連続、プラグアンドプレイによる簡単接続
- USBケーブル長: 2m
EMute E1レビュー
それではレビューしていきます。
外観・デザイン:シュッとしている
土台は金属、ダイヤル部分は樹脂。
重心が低く、底面が全面すべり止めになっており、操作時にズレにくくなっています。
ダイヤルは1周で20段階。ダイヤル上面の凹みに指を置けばクルクル回せます。
押したときの「カコッ」という物理フィードバックも心地よく、押下時の音も上品。
LEDの色味や発光度合いは落ち着いており、悪目立ちしません。
以上、総じて、ハードとしての作りや操作性は良好です。
重さ・大きさ:指先サイズではなく、ずっしり
ダイヤル型の左デバイスとしては大きめ。
「ボリュームを変えるツマミ」と考えるとかなり大きいですが、手のひらでポンと押すためのボタンと考えるとこんなものだろう、とも。
いずれにせよ左でデバイスとして備えるべき重さは確保されているので、操作をしていて横ずれすることは無さそうです。
使い勝手:ソフトの作りで損している
正直、eMeet Linkアプリの作りが粗いせいで、トータルの使い勝手はよくありません。
EMute E1が正常動作するには、専用ソフトeMeet Linkが起動している必要があります。
専用ソフトが動いているなら、Teams等のWeb会議ソフトとミュート状態を連動するなども期待したいところ。
にもかかわらず、
- ちゃんと使うには、ひと工夫、ふた工夫は必要
- 工夫しても、ミュート状態の制御は片手落ち
という状態なのです。
具体的には・・・
eMeet Linkアプリが自動起動しない
eMeet Linkアプリのインストール時に「PC起動時に自動起動」にチェックを入れても、自動起動してくれません。
eMeet Linkアプリが起動していない状態だと、
- ダイヤル押下:動かない(ミュート状態が切り替わらない)
- ダイヤル回転:動く(Volume Up、Volume Downキーが入力される)
- ダイヤルを押しつつ回転:動く(Next Track、Previous Trackキーが入力される)
と、動作に支障が出ます。
なお、管理者権限で実行しなければならない関係で、スタートアップへの登録では正しく起動せず、タスクスケジューラを使う必要があります。
ミュート以外だけ動くのが謎
eMeet Linkアプリがアイコントレイに最小化できない
eMeet Linkアプリは常時起動が前提であるにもかかわらず、アイコントレイに最小化できません。
eMeet Linkアプリのウィンドウが表示されたままで、正直邪魔です。
くわえて、誤ってアプリの×ボタンを押すとアプリが終了してしまい、ダイヤル押下が動かなくなります。
アプリの作りとして微妙です
ミュート状態がTeamsと連動しない
仕事PC(ThinkPad X280)で試した限り、EMute E1は、
- デバイスとしてのマイクミュート状態:切替可能
- Teamsアプリ上のマイクミュート状態:切替不可能
でした。EMute E1を押してもTeams上はマイクオンのまま。
この仕様は、
- Teams等の表示はマイクオンだが、デバイス的にはマイクオフ
- なので実際、相手には声は聞こえない
という状態を許容するなら問題ありません。
ただし、Teams等の表示により相手にマイクミュート状態を伝えることを考えると、EMute E1のこの仕様は「使えない」と言わざるをえません。
一部Amazonレビューで「TeamsやZoomとも連動」と書いてありますが、必ずしもそうではないようです
ダイヤル押下にショートカットキーを割り当てられない
ダイヤル押下のコマンドがキーボード押下として認識されません。OSには認識されないレイヤでコマンドが送信されている模様。
- ダイヤルの押下:(キーボード押下として認識されない)
- ダイヤルの回転:Volume Up/Volume Downキーとして認識される
- 押下しつつ回転:Previous Track/Next Trackキーとして認識される
なので、ダイヤル押下に対して、PowerToysのKeyboard Manager等を使ったショートカットキーの再割り当てができません。
そのため、たとえば
「Teamsアプリ動作中はダイヤル押下でマイクミュートのオンオフのショートカットキー(Ctrl-Shift-M)を起動する」
のような柔軟な割当ができないのです。
これができるだけで用途がグッと広くなるんですが、残念です
以上に基づくEMute E1の使いみち
これら特性を踏まえると、EMute E1の使いみちは、
- Teams等とのマイクミュート状態連動はあきらめる。デバイスレベルのミュートボタンとして使う(ただしeMeet Linkアプリまわりの不便さは許容)
- PowerToysのKeyboard Manager等のキーマップ変更ツールと組み合わせて、汎用式のダイヤル型の左手デバイスとして使う(eMeet Linkアプリは起動しない)
のいずれかになるかと思います。
2点目の「ダイヤル型の左手デバイスとして」をいかに上手に使うかで、EMute E1の価値が決まってくるでしょう。
ダイヤル型の左手デバイスのなかでは低価格なほうではあるので、コスパ自体は悪くないです
保証:1年
eMeet製品には1年間の保証が付帯します。
eMute E1は実売価格3000円台と高くないのですが保証がある文には安心です。
実際に使ってみた感想
良かったところ
- 物理デザインが秀逸。しっとりと高級感がある
- キーマップ変更ツールと一緒に使うとダイヤル型左手デバイスとして有用
「ダイヤルを回す」という物理的な操作に連動するソフトや作業を行っているなら有用かなと感じています。
特にWindowsであれば、PowerToysのKeyboard Managerでアプリ毎にキー割り当てが変更できるので、「Excelの場合は横スクロールだけどTeamsの場合は音量変更」のように柔軟に使えます。(Macでもきっと似た機能があると思います)
柔軟がゆえ、どの操作にダイヤルを割り当てるかによって価値が変わります。この文章を読んで「こう使いたい!」とパッと思いついたなら、EMute E1はあなたにフィットする可能性が高いでしょう。
悪かったところ
- eMeet Linkアプリの使い勝手が悪い
- eMeet Linkアプリを起動しないとミュート機能が使えない
- Teams等とマイクミュート状態が連動しない
名前がミュートボタンなのに、ミュート関連の機能やソフト連動部分が非常に弱いです。
ミュートボタンやボリュームコントローラーとしてではなく、単純にダイヤル式の左手デバイスとして売り出すべきだったのでは、と感じるレベル。
eMeet Linkアプリは同社のWebカメラ「C970L」など他のeMeet製品に管理にも使うもののようなので、製品ごとの作り込みはそこまで行わない方針なのかもしれません。(それはそれで微妙ですが)
EMute E1はこんな人におすすめ
まとめ:命名とソフトで損している
総合評価:
命名とソフトの作りで損をしていると思いました。特にソフトの作りは今後のアップデートに期待したいところ。
- ミュートボタンがメインであるような名前
→実はキーマップ変更機能と組み合わせてダイヤル式左手デバイスとして使うほうが有用 - ミュート機能の動作には管理ソフトの常時起動が必須
→作りが粗く、常用するには工夫や我慢が必要(2022年4月現在)
命名や売り文句からした期待値にミートしていない点で★-1としました。
とはいえ、eMeet Linkアプリを無視してダイヤル式左手デバイスとして使うなら、物理的な作りが良くコスパも良好。
指先で回転させるUIが左手にほしい方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上「eMeet EMute E1レビュー | シンプルがゆえ工夫で化けるダイヤル型左手デバイス」でした。