提供:mechkeys
静音軸なのに底打ちがムニュッとしません
キーボード関連製品を扱うmechkeysさまより、シリコンレスの静音リニア軸FEKER Aphonia Silent Pinkを提供いただきました。
多くの静音軸は、シリコン素材の緩衝材でステムとハウジングの衝突音を打ち消しています。それゆえ底打ちがムニュッと柔らかくなりがちでした。
しかしFEKER Aphonia Silent Pinkは、ステムの上下に緩衝用のバンプを設けるという特殊な作りを採用。底打ち時の反発感を確保しています。
とはいえ、そのバンプがステムにぶつかるときにチャカチャカした音が鳴ります。普通の打鍵音よりはるかに小さいので、肉を切らせて骨を断つ的な発想でしょうか。
おおざっくり音が小さくなればよい。打鍵感は重視したい。そんな方にフィットすると思います。なお値段は70個で5000円台です。
FEKER Aphonia Silent Pinkの主な仕様
- Brand:FEKER
- Model:Aphonia Slient Pink Switches
- Style: Linear
- 5 Pin Switch
- Operating force:35±5gf
- Pressure point force:45±5gf
- Pretravel:2.0+0.4mm
- Total Travel:3.5+0.3mm
- Stem Material: POM
- PC Top Housing
- PA66 Bottom Housing
- 80 Million Times Clicking
- Hotswappble
FEKER Aphonia Silent Pinkレビュー
それではレビューしていきます。
デザイン:優しい配色、珍しい静音機構
ふんわりとした配色で、いろんなキーボードになじみそうです。
静音の仕組みは少し珍しく、ステムの側面、ハウジングとぶつかるところにばねのようなバンプ構造を設けることで衝撃を吸収する形です。
この機構が打鍵音と打鍵感にどう影響しているか、次節で詳しくお話します。
打鍵音・打鍵感:しっかり。カチャカチャ音が意外な活躍
打鍵音は↑の通り。
たしかに静音ですが、上下動にあわせて少しカチャカチャ音が混ざります。
これは静音用のバンプがステム本体にぶつかっている音。構造的に鳴って仕方ないですね。
かわりに底打ちがしっかりしています。シリコンを使った静音軸にありがちなムニュっと感が薄く、打鍵が爽快です。
静音化機構の異なる複数の静音リニア軸で音を比べてみました。左から
- Durock Black Lotus(対照実験のため非静音)
- FEKER Ahponia Silent Pink(ステムにバウンス構造が仕込まれている)
- Outemu Silent Peach V2(ステムにシリコンが仕込まれている)
- Raw Coconut Latte(トップ・ボトムハウジングに手が入っている)
です。
打鍵感は、サクサク軽やかです。押下圧は45gと標準レベルなのですが、上下動のチャカチャカ音が軽やかさを感じさせるのかもしれません。
滑らかさや軸のブレは、使っていて気になりませんでした。上下動のカチャカチャ音が引っかかりや軸ブレをかき消しているので気づきにくいだけかもしれません。
たとえるなら、実際の打鍵感・打鍵音を気温だとすると、カチャカチャ音を含めた打鍵体験は風や日陰を含めた体感温度のようなものかなと。
トータルでの打鍵体験は悪くありませんが、それぞれの要素にこだわり条件をつけたい人には違和感があるかもしれません。
デメリットに思えたカチャカチャ音が打鍵感の一助になっていたのは意外でした
耐久性:8000万回の打鍵に耐える
踏みつけたりしない限り、単純計算で10年は使えると思います。
保証:なし
メーカー保証はないと考えたほうが良いです。
とはいえ、今回レビュー依頼をいただいたmechkeysの商品ページでは明確な保証・返金規定が定められています。
英語ですが、買う前に読んでおくと良いと思います。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、FEKER Aphonia Silent Pinkメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 静音軸なのに底打ちがしっかりしている
- 少しのカチャカチャ音が打鍵の軽快さを演出している
デメリット(悪かった点)
- カチャカチャ音が気になる人がいるかもしれない
FEKER Aphonia Silent Pinkはこんな人におすすめ
まとめ:あえて道を踏み外した軸。好き嫌いが分かれる
総合評価:
評価はとても悩ましいですが、最後は主観で★4としました。
というのも、今までいろんな価格帯の静音軸を使ってきたなかで、FEKER Aphonia Silent Pinkの特殊性が際立つからです。静音構造が特殊、打鍵感や打鍵音単体でなくトータルでの打鍵体験でバランスを取っている点も特殊。他の軸と比べての評価が困難なのです。なので、ぼくの好き嫌いだけで評価をつけています。
好き嫌いだけでいうと、打鍵感は悪くない、静音性もGood、ただ底打ちが少し強めに感じるのとカチャカチャ音が気になるのはマイナス、その前提で70個5000円台という価格は個人的にはペイしづらいし、高級な化粧箱はいらないからそのぶん価格をおさえてほしい。よって、悪くないけど最高とも言えないので、★1つ減らして★4です。
逆に、軽めのリニア静音軸がほしかったり、底打ちが固めのほうが打鍵が楽しくなったり、多少のカチャカチャ音が気にならない人にはおすすめかなと思います。
以上「FEKER Aphonia Silent Pinkレビュー | 底打ちが固いシリコンレスな軽量静音リニア軸」でした。