AliExpressでやたら安い静音軸を見つけたので、セールのついでに買ってみました。
使ってみたところ、
- なんと、これまで見たことがない新しい静音機構だった
- 一部気になるところはありつつ、全体的にとても満足度が高い
と、単価を考えると軽量静音リニア軸に風穴を開けているとも思える実力派でした。
詳しく紹介していきます。
Feker Rose Mute Pinkの購入経緯
割引ゲットのためのついで買いです。
本記事執筆時点より少し前、AliExpressで「3,000円ごとに300円割引」というセールをやっていたときのことです。
ほしいものリストに入っていた軸をカートに入れたら4,000円ちょいで、「どうせなら2,000円くらいの新しい静音軸を買ってもう300円割引ゲットしたいな」となりました。
そうして物色して見つかったのが、Feker Rose Mute Pinkでした。購入当時は40個で2,110円。ピッタリでした。
ということで、スペックもあまり見ずについで買いしたのです。
買った当時は「ハズレでなけりゃラッキー」くらいに考えていました
Feker Rose Mute Pink概要
- Shaft Type: 5pin linear Silent Switch
- Material:POM PC PA66
- Mechanical Life:About 60 Million Times
管理人注:↑のスペック画像だと5,000万回なんですが、AliExpressの商品スペック表では6,000万回と書いてあります。本記事では原典であろうスペック画像の情報を信じることにします - Initial pressure:20gf
- Operation Force:35±5 gf
- Bottoming Force:42+5 gf
- Conduction Travel:2.0±0.3mm
- Total Travel:3.6±0.3mm
Feker Rose Mute Pinkレビュー
それではレビューしていきます。
デザイン:初めて見る静音機構
白とピンクの2色。
Rose Mute Pinkという名前なのでバラをイメージしているでしょう。
個人的には桜色と呼ぶほうがイメージしやすい色味かなと思います。
なおトップハウジングが白なので、キーキャップの横から見える色味もスッキリしそうですね。
分解してみました。
ステム側面のバンパー部分は、
- 円柱形のシリコンが埋め込まれている
- 上部:シリコンが半円だけ露出、もう半円はステム本体と接地
- 下部:シリコンが全露出、断面が真円
- そのシリコンを中央の金具でステム本体に固定している
- 金具の下部はステム本体と接地
という作りに見えます。
中央の黒い金具はピンセットで強く引っ張っても取れません。かなり協力に固着されているようです。
静音性の高さに定評があるOutemu Silent Cream Yellow(↑の左)と比べてみました。
シリコンバンパーとハウジングとの接地面積は、底打ち方面はFeker Rose Mute Pinkのほうが広く、戻り方面はFeker Rose Mute Pinkのほうが狭くなっています。Feker Rose Mute Pinkは押下圧が35gなので、戻りの衝突音は重点ケアしなくてもOK、と判断されたのかもしれません。
シリコンバンパーを固定する部分は、Feker Rose Mute Pinkのほうが強固な設計となっています。Outemu Silent Cream Yellowはシリコンバンパーを挟んで接着しているのみ。この形だと打鍵時の衝撃を接着接着力が弱まったときシリコンバンパーが上下にズレてしまいます。一方でFeker Rose Mute Pinkは、打鍵時にシリコンバンパーにかかる衝撃をステム本体が受け止める設計となっています。具体的には、
- 底打ち時:シリコンバンパー上部の、ステムと接地した半円部分を経由して、ステム上部が受け止める
- 戻り時:シリコンバンパー中央の固定金具を経由して、ステム下部が受け止める
という形。打鍵時の衝撃に対する耐性はFeker Rose Mute Pinkのほうが高そうです。
この構造の違いが静音性や打鍵感にどう影響しているかというと・・・
打鍵音:静か。少しカサカサする
静音性、優秀です。底打ちも戻りもちゃんと静音化されています。
ただ、
- 上下動のとき、ほんの少しカチャカチャ・カサカサという音がする
- 個その音が乾いた空間に響くように聞こえるハズレ個体がある
のは気になる人がいるかもしれません。
とはいえ、ハズレ個体は35個中1個くらいとハズレ率は高くありません。
また、それら雑音はとても微小で、少し雑音のある場所ならかき消されるレベルです。
よって、管理人のようにレビュー向けに耳を澄ませるような人、または打鍵音に強いこだわりを持っている人でもない限り、実害はないと言って良いでしょう。
カサカサ音はルブで解決できると思います
打鍵感:風が通り抜けるようにスッキリ
優秀です。おおむねなめらかで、軸のブレも少なく抑えられています。
打鍵すると素直にストンストンと底まで入っていきます。ブレなどの違和感もありません。
底打ちは、静音軸にしては硬めです。底打ち感を重視した静音機構を持つWS Silent Tactileと同じレベル。静音軸はグニュッとするのが苦手だという人にも納得してもらえそう。
ただ、ハズレ個体は打鍵音が若干ジャギーなせいか、少しだけジャリッとした印象を受けます。とはいっても、指先に神経を集中してようやく気づく程度なので、実利用においては違和感なく使えると思います。
総じて、風が通り抜けるようにスッキリした打鍵感で、使っていて心地よいです。
超優秀な非静音の軽量リニア軸MMD Vivianと比べても遜色のない打鍵感でした
耐久性:5,000万回
スペック上は5,000万回の打鍵に耐える、とされています。
2週間ほど使っても壊れる様子がないので、この数字は嘘ではないのかなと思います。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、Feker Rose Mute Pinkのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 独自の静音機構で、耐久性・打鍵感・静音性のいいとこ取りしている
- 押下圧が軽く、打鍵していて指が疲れにくい
- 単価が安い(重要)
デメリット(悪かった点)
- ハズレ個体におけるほんの少しのカサカサ音(とはいえ値段を考えると納得感あり。かつ実害は極小)
Feker Rose Mute Pinkはこんな人におすすめ
まとめ:風穴を開けてきた
総合評価:
超良いです。ついで買いでしたが大当たりを引きました。
購入当時で40個2,110円。単価約50円。静音軸としては高くないのにこの品質と打鍵体験。軽量静音リニア軸のなかでは圧倒的なコストパフォーマンスです。
思えば、2023年はリニア軸が圧倒的進化を遂げた年でした。Durock Black Lotusを皮切りに高品質なものが出回り、後半にはMMD Vivianなど少し前の高級軸と同等品質なのに価格は安い超コスパ軸が爆誕しました。
Feker Rose Mute Pinkは、この流れを軽量静音リニア軸に持ち込みつつ独自の静音構造を編み込むことで、軽量静音リニア軸に風穴を開けてきたもののように感じます。
でも、AliExpressでの販売数実績を見るとではあまり売れていない模様・・・。なんともったいない。ダークホース的な実力派なので、みなさんぜひ買って試してみてほしいです。
以上「Feker Rose Mute Pinkレビュー | 前代未聞の強固な静音機構と超コスパを備えた軽量静音リニア軸」でした。