提供:FlexiSpot
FlexiSpot様のご厚意で、2021年1月発売の電動スタンディングデスク「FlexiSpot EG8」をレビューさせていただけることとなりました。
FlexiSpot EG8は、
- スタンディングデスクでは珍しいガラス天板を採用
- 引き出しや2A1CのUSB充電ポートを搭載
- 丸みを帯びた優しいフォルム
が特徴。
ビジネス用品という色が強かったこれまでのスタンディングデスクと違って、おしゃれさやファッション性を前面に打ち出しています。
パーツ構成や組み立て工程もシンプルで、スタンディングデスク初心者でも失敗する要素がほぼありません。
一方で、耐荷重量や揺れにくさはビジネス用品として作られた従来品より一段階落ちます。
デスクトップPC本体や大型モニターをデスク上に複数乗せるようなガチ構成とは相性がよくなさそうです。
以上のポイントから、FlexiSpot EG8はライトユーザー向けの電動スタンディングデスクといえるでしょう。
ちなみに価格もかなりライトで、天板込みでアンダー5万円。電動スタンディングデスクとしては手を出しやすい水準です。
電動スタンディングデスクが気になっているけど、従来品だと高級感や使い勝手がいまいちそう……と迷っていた方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
FlexiSpot EG8に惹かれた理由
FlexiSpot EG8に惹かれた理由(≒レビュー依頼を受諾した理由)は、設計上、面白そうな点が複数あったからです。
例えば
- 天板がガラスである
- 引き出しが付いている
- 複数の USB ポートが備わっている
- 横から見ると脚がコの字型に近い
などこれまで使ったことがあるスタンディングデスクとは一線を画す設計。
これらには当然、良し悪しがあると思います。良し悪しの中身もだいたい想像がつきます。
が、スタンディングデスク愛好家として、実際に試してみたいという思いが先行したのです。
(結果、1つの部屋に3つの電動スタンディングデスクが同居する事態になりましたが、これは然るべき犠牲)
FlexiSpot EG8の概要
注目ポイント
- 高級感あふれる強化ガラス天板
- 引き出しや充電用USBポートで利便性良好
- 人気のサイズ、120cm x 60cmクラス
仕様・スペック
- パネルタイプ:タッチパネル
- 機能:メモリ・ロック・障害物検知機能
- 耐荷重:50kg
- 天板素材:強化ガラス
- 天板サイズ:幅120.2cm 奥行60.6cm 厚み6cm
- 昇降範囲:72~121cm
- 脚段階:二段階(ピラミッド)
- モーター:シングルモーター
- USB充電:USB-Ax2 USB-Cx1 12W(5V/2.4A)
- カラーバリエーション:ブラック、ホワイト
FlexiSpot EG8レビュー
それではレビューです。
搬入:注意が必要
箱がひたすら重いので注意が必要です。配送業者の人も「これひたすら重いですけど……大丈夫ですか?」と声をかけてくれるレベル。
理由は二つ。
- 天板がガラス+引き出しと重量級だから
- 脚と天板が一つの箱に梱包されているから
特に後者。脚と天板がひとまとめになっているのが、とてもきつい。
というのも、通常、スタンディングデスクは天板と脚は別の梱包で送られてくるものなのです。
なので搬入の時にひとつずつ持っていけば、一人でもそれなりに楽に運べます。(それでも重いんですけど)
しかしEG8は天板と脚がひとまとめ。個別撃破できません。都合44kgの大箱を一気に運ぶ必要があります……。
今回は一人でどうにかしましたが、正直危ないので、二人で運ぶ方がいいです。
特に天板がガラスなので、途中で倒れて割れでもしたら大変ですから……
組み立て:めちゃくちゃ簡単
スタンディングデスクでは珍しく、左右の足が繋がっています。
そのせいかパーツの数がとても少なく、組み立て手順も3ステップで済んでしまいます。
- 天板に支柱をつける
- 支柱に脚をつける
- 組み上がったデスクを立てる
実際の組み立ての様子はこちら。
天板を立てまして……
ガラス面を下にして寝かせます。(下に毛布を敷くと天板が傷つきにくいです)
支柱をガチャンと乗せます。
次にネジ留めしていくんですが……
天板に支柱を乗せた時点で、ネジ穴がほぼぴったり。これ、すごく楽です。
スタンディングデスクって一つ一つのパーツがとても重いので、微妙な力加減でネジ穴を合わせるのが結構きついものなんです。
そこが一発でできるのは、結構すごい工夫だと思うんです。これならスタンディングデスク初心者でも組み立てやすいでしょう。
ちなみに、ネジ穴は奥と横、二つの方向で固定されるように配置されています。これは揺れにくさへの配慮だと思われます。
支柱の先に脚を乗せてネジで固定します。
以上2箇所のネジ止め、がっつり力いっぱい締めておきましょう。天板のグラつきを防ぐいちばん大事な場所です。
参考FlexiSpotの電動スタンディングデスクが揺れる原因と対策
以上で基本的な組立は終わりなので……
ひっくり返します。天板が重いので注意。
最後に、
- 昇降モーターと天板のコントローラー
- 天板のACアダプタとコンセント
をつなげば完了です。
組立時間は、1人作業でだいたい30分くらい。工程が少ないぶん早く済みました。
外観・デザイン:高級感と利便性に振られている
それでは組み立て済みのEG8のデザインを詳しく見ていきましょう。
天板
天板は、実測で幅120.2cm、奥行き60.3cm。
ガラスの天板は惚れ惚れするくらい美しいですね。ウユニ塩湖のようです。
向かって右側にはコントローラーと充電端子が集まっています。
各充電端子の出力は12W(5V/2.4A)。PD や QC などの急速充電規格には対応していません。
一番右の丸いものはロックボタンです。いわゆるチャイルドロックの有効無効が切り替えられます。
向かって左側にはFlexiSpotのロゴの印字……ではなくて、シール。
若干斜めってるのが気になりますが、実用上問題はありません。
気になる人は剥がしてしまっても良いかと思います。
天板中央には引き出しが仕込まれています。
大きさは、内径で幅66.5cm、奥行31.0cm、高さ4cmです。
なにがどのくらい入るかというと……
- A4サイズの書類は縦に入る
- 60%キーボードなら、縦に2つ並べられる
- それでいて、まだ幅に余裕がある
と、かなり容量があるので使い勝手は良さそうです。
ただ、引き出しの下、指を引っ掛ける部分が結構浅いです。
ここに指を引っ掛けるだけだと、指が滑って開けにくいので……
ガムテープを貼って摩擦をつけるなど、工夫するとよいでしょう。
支柱
支柱は、横5cm、奥行8cm、鉄板の厚さは1.5mm。
奥行き8cmはかなりしっかり取られている印象。一方、横幅5cmはかなり華奢です。
これでは横揺れが心配になってしまうのですが、そこは次に紹介する足元のビームがカバーしています。
足元のビーム
左右の支柱を足元近くでつなぐビーム。
縦4cm、奥行2cm。鉄板の厚さは分からないですが、おそらく支柱と同じ1.5 mm厚でしょう
横向きの揺れに対処できるよう、縦方向を長めに取っている点、設計上の配慮を感じます。個人的には高評価。
脚
脚のデザインは特徴的。
特に以下の3点。
- 全体的にフォルムが丸い
- 幅が6.5cmしかない
- 支柱の取り付け位置が後ろにずれている
それぞれ詳しく見ていきます。
全体的にフォルムが丸い
角も傾斜部分も丸められています。
天板の端っこが丸くなっているのと合わせたデザインなのでしょうか。
角が落とされているぶん足をぶつけても痛くなさそうでそこは安心感があります。
幅が6.5 CM しかない
これまで使ってきたFlexiSpot EJ2やDAISHINスマート昇降スタンディングデスクは、脚の幅は9cmでした。
しかし、FlexiSpot EG8は幅6.5cmしかありません。
かなり華奢で横揺れが心配になりますが……左右の足をつなぐビームで横揺れ防止できる、という設計なのかもしれません。
支柱の取り付け位置が後ろにずれている
足が T 字型のスタンディングデスクのほとんどにおいて支柱は脚の真ん中に取り付けられています。
しかしFlexiSpot EG8は、若干後ろ。
この設計意図を読み取ると……
- 全体的にスリムな設計にしたい
- まずは太い足を細くしたい
- 横揺れをカバーするには足元にビームが必要
- とはいえビームは座って使うと足に当たって邪魔
- ビームをなるべく奥にしなければ
- 許容できるギリギリラインを考えると、ここらへん
……という判断があったのかもしれません。
いろいろと趣向が凝らされているようです
初期化(リセット)操作:念のため
電源を入れた後は一度リセット操作をしておきましょう。
- 3と4を同時に2秒長押し
- ビープ音が2回鳴って「RST」と表示されたら、下ボタンで高さを一番下まで下げる
- 「bot」と表示されたらリセット完了
電動スタンディングデスクに起きるリセット操作は、いわゆるキャリブレーションのようなもの。
内部の制御装置がデスクの高さを正しく把握するために行うものです。
工場出荷時に調整されているとは思いますが、念のためやっておくほうが安心でしょう。
デスクの高さの記憶と呼び出し:ワンタッチ
高さの記憶方法は以下の通り。
- お好みの高さまで昇降させる
- 記憶させたい番号ボタンを3秒以上長押しする
- ビープ音が鳴って「S-○」と表示されたら記憶完了
以降、番号ボタンを押すことでその番号に紐づく高さまで自動的に昇降させられます。
昇降時の音:そこまででもない
シングルモーター構成ということで昇降時に結構音がなるかもなと心配していました。
しかし上の動画のとおり、そんなこともなく、割と静かに動作します。
隣の部屋で眠っている妻と子供達にも一切気付かれませんでした。
耐荷重:50kgは弱いが、ガラス天板なら仕方なし
耐荷重は50 kg。電動スタンディングデスクの中ではかなり弱い方です。
これは、天板をガラスにしたことが最大の要因だと考えられます。
つまり、
- ガラス天板は、そもそも重い物を乗せるのに適さない
- なので脚は細くていいし、モーターもシングルで十分
- 結果としてトータルで最適な耐荷重が50kgになった
ということ。
FlexiSpot EG8に興味を持つ人の多くはガラス天板に惹かれていると思います。
なので、耐荷重が50kgである点は是非に及ばず受け入れるべき宿命なのではないかなと思います。
安定性(揺れ):正直、揺れる
デスクの高さを110cmにした状態で、天板を横から押したり、天板に上から力を加えたりすつお、そこそこ揺れます。
ただし、デスクを低くした状態なら全然揺れませんし、天板手前側の沈み込みも気になりません。
揺れやすいのはあくまでデスクを高くした状態での話だとご理解ください。
具体的には、以下のとおりです。
押したときの揺れ幅
高さ110cmだと、前後方向も左右方向もそれなりに揺れます。
具体的な揺れ幅は、上の動画の通り。天板を横から軽く押しているのですが、
- 前後方向で5 mm
- 左右方向で8 mm
くらいの幅で揺れていることがわかります。
天板が重いのと足の作りが華奢なのが、ダブルで影響しているのでしょう。
天板の沈み込み
また天板に腕を置くと、天板の手前側が若干沈み込みます。
感覚としては、ファミレスのテーブルに肘をついたときと同じ。
原因は、天板・支柱・脚を横から見ると「コ」の字型だからでしょう。
構造からして、天板手前側にかかる下方向への力に弱くなっているんです。
使う時はあまり肘をつかないとか天板手前に体重をかけないといった配慮が必要かもしれません。
大きなモニターを置くとグラつきが気になるかもしれません
安全性:一通り揃っている
電動スタンディングデスクで最低限必要な
- チャイルドロック機能
- 障害物検知時の昇降動作停止機能
の二つは備わっています。
ユニークなのが、障害物検知の感度が調節できること。
検知なし(A-0)から高感度検知(A-3)まで、4段階で設定できます。
なぜ障害物検知の感度調整機能がなぜあるのかは後述します
利便性:USB充電が結構いい
USB-Aが2口、USB-Cが1口。それぞれ12W(5V/2.4A)出力。
手元でいつも使うスマホやガジェット類の充電に重宝します。
PDやQCなどの急速充電規格には対応していませんが、手元に充電用のUSBがある時点で、結構点数高いです。
カスタマイズ性:低い
デスクのカスタマイズ性は低いです。
理由は、天板がガラスである影響で、クランプ式の機器が取り付けられないから。
たとえばモニターアームやケーブルトレーが使えないので、かわりにモニタースタンドやケーブルフックを使うことになります。
配線マネジメントに苦労しそうです。
メンテナンス性:高い
メンテナンスでできることといえば、
- デスクをひっくり返してネジを締め直す
- 昇降動作で不具合が出たらリセット操作を行う
くらい。
パーツが少なく構成がシンプルなぶん、メンテナンスも楽そうです。
耐久性:未検証
試用期間が短いため、耐久性は検証できていません。
保証:超長期
保証期間は、
- モーター:2年
- フレーム:5年
と、超長期。
スタンディングデスクは長く使うものなので、保証がそれなりに長いのは安心です。
実際に使ってみた感想
実際に2〜3日ほど、FlexiSpot EG8で作業してみました。
普段はモニターアーム+ウルトラワイドモニターという環境なのですが、FlexiSpot EG8はガラス天板でクランプ設置不可なので、オフィスに出社するときのセットアップでの検証です。
障害物検知機能の誤作動が気になる
何度か昇降を繰り返していると、上の動画のように何にもぶつかってないのに障害物が検知されてしまうケースがあります。
そんなときは、
- リセット操作で、まず動くようにする(暫定措置)
- 必要に応じ、障害物検知の感度設定を低くする(再発防止)
の2段階で対処します。
原因は良くつかめていません。
誤検知した時の挙動を観察すると、昇降用のモーターがガクッと揺れていたので、シングルモーターであることが関係している可能性があります。(動力源が1つなので、繰り返し昇降していると左右で高さに差が出てくる、等)
トラブル時の対処法があるのは良い事なんですが……そもそも昇降動作で不具合が出てほしくないのが本音です。
ただ、天板込みでアンダー5万円という格安な値段設定を考えると、ここは妥協ポイントなのかもしれません。
揺れやすさの実害はデスク構成次第
高さを上げた状態だと確かに天板はそこそこ揺れます。
しかしその揺れで実害が出るかは、デスク上のレイアウトや構成によって違います。
例えば、モニターの揺れでいうと、
- 大型の外付けモニターを置くならかなりの揺れを覚悟しなければならない
- ノート PC スタンドや、ノートPC直置きの場合、そこまで揺れは気にならない
という感じでした。
「揺れやすい」という言葉を真に受けるのではなく、自分のデスク構成だとどうなのかをベースに考えてもらう方が正しく評価できると思います。
引き出しは(キーボードマニアには)便利
これは相当マニアックな話になるのですが……
ぼくは普段、HHKBを使っています。しかしメカニカルキーボードを使いたいときもあり、気分によってキーボードを変えています。
そんなぼくにとって、引き出しにキーボードを入れておき、すぐ出し入れできるのはすごく便利。
くわえて、キーの隙間にほこりが詰まってしまうのを防げるので、メンテナンス面でもハッピーです。
ガラス天板の業務的実用性は微妙
天板がガラスである点は、当然メリットとデメリットがありますが僕にとってはデメリットの方が大きかったです。
具体的には
- 金属筐体のガジェットやステンレスの耐熱コップをよく使うので、天板が傷つかないか気になってしまう
- 天板表面がサラサラしている方が個人的には取り回しが便利だと感じる
- 天板に指紋などが付いていると拭き取りたくなってしまい仕事に集中できない
あたりです。
ここは完全に個人の趣味嗜好の範囲内なので、上で挙げたポイントが全ての人に当てはまるわけではないと思います
あくまで参考意見として受け取っていただけると幸いです。
ガラス天板の特別感はすごい
実用面では微妙、と評したガラス天板ですが、
- 特別なものを使っている、という優越感
- 手を触れたときのひやりとしたガラスの感触
- ウユニ塩湖のような写真が撮れる映え感
など、気分がブチ上がるのは事実。
いわゆる、情緒的価値、というやつです。
FlexiSpot EG8はこんな人におすすめ
まとめ:要件を見極めてから選ぶべし
総合評価:
人を選ぶ電動スタンディングデスクだと感じました。
デザイン・機能・性能・価格のバランスにかなり偏りがあります。
具体的には、電動スタンディングデスクについて
- ビジネスツール観点の、地味めな性能を重視する人には向かない
- 高級感や利便性など、わかりやすい良さを求めている人には突き刺さる
のではないかと感じます。
ぼくは前者のタイプ。電動スタンディングデスクを「ビジネスツール」と見なしています。テレワークで使う仕事デスクだからです。
そのため、-★1.5としました。理由(内訳)は以下です。
- 個人的に天板が揺れやすいと感じたので、-★1
- ガラス天板は実益より管理コストが大きいので、-★0.5
もちろん、揺れやすいといっても必ずしも実害があるわけではありませんし、ガラス天板は完全に好みの話です。
なので、趣味嗜好が違う人にとっては、★5評価になりうるポテンシャルがあります。
「もしデスクの天板がガラスだったら?」をリアルにイメージするとワクワクが止まらない……という方は、ぜひチェックしてみてください。
以上「FlexiSpot EG8レビュー | 高級感と利便性を格安価格で。ライトユーザ向け電動スタンディングデスク」でした。