HHKBの軸に静音化リングを装着しました。
いろいろなところで紹介されている手順を参考にしたのですが、実際やってみると想定外のトラブルがいろいろ起きました。
同じ失敗をくりかえす人が減るように、記録を残しておこうと思います。
おさらい:静音化の手順
AquaRium LABさんのこちらの動画がめちゃくちゃわかりやすくておすすめ。
1回見れば手順が頭に入ります。
結構手間はかかりそうですが、手順自体はシンプルです。
起こったトラブルと対処法
しかし、手順がシンプルであることと、トラブルなく終えられることは別問題です。
実際ぼくは手順や注意点を何度も確認してから静音化に取りかかりましたが、それでもやはり、想定外のトラブルに遭遇してしまいました。
接続ケーブルが固くて外れない
上下の基盤をつなぐケーブル。
手順では「接続部分を外す」となっているものの、これが結構固いんです。
かといって、力づくで無理に外そうとすると壊れるかもしれない。
接続ケーブルはHHKBの動脈。壊れると一発であの世行きです。
対処法は、外さない、です。
底面側を90度に立てておくことで、ケーブルをつなげたまま作業できます。
引っ張って断線しないように注意しましょう
軸の下のカップラバーが基盤からはがれる
静音リングをはめる軸の下に、薄いゴム製のパーツ(カップラバー)があり、基盤にくっついています。
この中に入っているバネの動きでキーの押下を検知するのがHHKBのしくみ(静電容量無接点方式)であり、かつキーの重さや反発も一部担うので、カップラバーはHHKBの心臓部を担う重要な部品です。
しかし、なぜかカップラバーと基盤の接着が甘く、いくつかポロポロ落ちてきてしまいました。
対処法は、基盤の丸い模様の場所に戻す、です。
ずれないように置き直せば、ちゃんと動きます。
ただしきちんと元の場所に戻すのも結構大変でして……(次項)
カップラバーと軸の位置がズレる
軸にリングをつけたあと、キーキャップ面を基盤の上に戻すとき、カップラバーと軸がズレてしまいました。
これ結構重大です。なぜなら静電容量無接点方式の特性上、
「軸とカップラバーがズレている=ゴム内のバネの動きがいびつになる=キー押下の検知精度が落ちる」
ということになるから。
つまり、カップラバーと軸のズレは、キーを押しても反応しない、またはチャタリングしてしまうなどの原因になります。
対処法は、ただひたすら気をつける、です。
対処法になってないかもしれませんが、それしか方法が思いつきません……。
キーボードが閉まらない
ひととおり終わってあとはHHKBを閉じるだけ!
と閉じようとしても、なにかが引っかかってきちんと閉じませんでした。
対処法は、ケーブルについている黒いリングの場所を調整する、です。
具体的には……
ここらへんだと、基盤と底面と干渉してしまうので……
接続部分の近く、HHKBの底に凹みがある部分まで移動してから閉じましょう。
移動せず無理に締めると、基盤が歪み、キー押下の検知精度に影響が出ます
チャタリングが多発した
一通り終わった後にしばらく使ってみたところ、複数のキーがチャタリングしてしまいました。
こちらのキーテストサイトをつかってチャタリングしているキーを調査し、再分解してそれらの軸を調べたところ……
静音リングがきちんと奥まで入っていないことがわかりました。(上画像、左側)
これだと常に0.5〜1mmくらいキーが押されているのと同じ。チャタリングして当然です。
対処法は、静音リングをきちんと奥まで入れ直すこと。
チャタリングしたキーだけを対象にするのではなく、念のため全量チェックすることをおすすめします。
絶対どこかにチャタリング検知漏れがありますし、チャタリングするたび開け直すのはかなり時間がかかるので、一発で終わらせるほうがトータルで早いです。
60個もあるので1つ1つが適当になりがちですが、「適当にやると痛い目を見る」と心に刻みましょう。
まとめ:構造がシンプルだからこそ丁寧にやること
HHKBを分解してみると、中身の構造はきわめてシンプルであることがわかります。そのぶん、静音化の手順も単純です。
しかし、そのぶん各部品の仕上がりや位置関係が重要。静音リングをつける作業1つとっても、1つ1つの作業品質が仕上がりの品質に直結します。
軸のリングが1mmずれればチャタリング、軸とカップラバーがズレると正常に動かない、などはその好例でしょう。
なので、単に手順を守るだけでなく、時間をかけて丁寧に、1つ1つ確認しながら作業をすすめることを強くおすすめします。
ぼくはチャタリングに悩まされて4回くらい再分解しました……
もし「そんなリスク取れない」「トラブル対応は面倒」と感じるなら、最初から静音化済のType-Sを買うほうが確実です。
以上「HHKBを静音化したとき起こったトラブルとその対処法」でした。