提供:Mercury
Mercury様のご厚意で、Makuakeでクラウドファンディング中の完全ワイヤレスイヤホンPINOを先行レビューさせていただけることとなりました。
PINOは「没入感」をキーワードに開発されており、そのために2つのテクノロジーが盛り込まれています。
- アクティブノイズキャンセリング(ANC)
- アンビソニックス
アンビソニックス?
「アンビソニックス」とは、VR(仮想現実)向けの音響技術の1つ。現実世界と同じ360度からの音響を録音・再生可能とするもの。要するに「超リアルな臨場感が出るサラウンド技術」ということ。
このアンビソニックス、実はイヤホンへの搭載は、高級メーカーのゼンハイザーくらいしか取り組んでいません。
PINOはそこにチャレンジし、さらにアクティブノイズキャンセリングも乗せることで、ダブルで没入感を高めようとしているのです。
実際に聴いてみると、もうめちゃくちゃすごいです。1つ1つの音の位置が明確にわかります。
だからこそ、聞き慣れた音楽ですら、これまで聞こえいなかった音が聞こえて「マジかよ」「こんな細かいところまで音の工夫をしてたのか」という気づきがいっぱい。
好きな音楽をヘビーローテしている方にこそ、「ANC×アンビソニックス」なPINOはおすすめです。
PINO完全ワイヤレスイヤホンの概要
注目ポイント
- ANC×アンビソニックスによる没入感
- ENCによるクリアな音声
完全ワイヤレスイヤホンといえば、流行りのANC(アクティブノイズキャンセリング)がフィーチャーされがち。
しかし実際に使ってみると、PINOの一番の魅力は音質であることがわかります。
理由は、全天球型サラウンド「アンビソニックス」により実現される、高精度の立体音響。
具体的な聞こえ方は……実機レビューにて。
仕様・スペック
- 搭載チップ:Bes2300
- ノイズキャンセリング性能:最大35dB
- Bluetoothバージョン:5.0
- Bluetoothコーデック:SBC、AAC
- Bluetoothプロファイル:A2DP、HFP
- インピーダンス:Φ10mm
- スマートパラメーター:16Ω±15%
- 再生周波数:20Hz~20kHz
- 通信距離:最大10m
- イヤホン電池容量:245mAh
- 連続再生時間:4.5時間
- ケース電池容量:750mAh
- ケース充電時間:100分
- 充電時間:50分
- 充電規格:USB-C
- 素材:ABS・PC
PINO完全ワイヤレスイヤホンレビュー
それでは実機レビューです。
※開発中の試作機のため、化粧箱による梱包はありませんでした
※最終的にはデザインや機能が変更される可能性がある点、ご承知おきください
外観・デザイン:ロゴすらないシンプルさ
前面は、ツルッと黒無地にボタンが1つ。
裏側はちょうつがい部分のみ銀色。
きわめてシンプルです。
底面にはUSB-Cの充電口がついています。
フタをあけると、こんな感じ。
スチャッと格納。磁石で吸着されているので、逆さまにしても落ちません。
イヤホン自体は指先でつまみやすく、取り出しやすいです。
イヤホン本体は、内側は黒、外側はダークグレーのツートンカラー。
外側の各所にマイクが仕込まれています。ANCのためでしょうか。
起動時は、外側の白色LEDが点灯します。
機能・操作性:簡単で覚えやすい
左右イヤホン、それぞれタッチコントロールで操作します。
なおケースのボタンは、イヤホンを入れた状態で5秒押しすると、ペアリングモードになります。
特に難しいパターンがなく、覚えやすいのが嬉しいところ。
接続:そこそこ早いし安定
ケースから出すと自動ペアリング。
つながるまで早く、接続先切り替えもスムーズで、途切れません。
ペアリング・接続スピード
ペアリング時も、ペアリングしたデバイスとの再接続時も、スムーズです。
一度ペアリングすれば、ケースから取り出した瞬間に接続完了。
接続維持力
スマホとペアリングし、2枚ドアを挟んだ向こう側に移動しても切れませんでした。
またBluetoothと電波帯が競合する2.4GHzのWiFiアクセスポイントのすぐ近く(1mくらい)でも、瞬断は起きていません。
接続維持力は上々です。
接続先の切替
ペアリング済のデバイス間で接続先を切り替えるには、
- 接続先デバイスで、接続解除
- PINOが自動的に接続先を探し始める
- 新たな接続先で、PINOと接続
とすればOK。
特に遅延も引っかかりもなく、スッと切り替わり、ストレスはありません。
接続時アナウンス
Bluetooth接続したとき「Device Connected」とアナウンスが流れるのですが、その音声がやたらサイバー感あふれていて、個人的にグッときました。
装着感:クセがある
イヤーピースが耳穴にフィットする付け方を見つけるのに、だいぶ苦労しました。
他のイヤホンだと、「うどん」部分を下に向けるとちょうどフィットするのですが、PINOの場合「うどん」部分を正面に向けて斜め45度くらいに持ち上げないとフィットしませんでした。
かつ、「うどん」部分が長いので、端っこがずっともみあげに触れている感じに。
ぼくの耳の形の問題かもしれませんが、ちょっと装着感はイマイチでした。
スピーカー音質:音楽を再発見できる
第一印象は
アンビソニックスすごい
です。
あらゆる音色の居場所が決まっているがごとく、1つ1つの音がつぶさに分離。
距離感、臨場感、すごいです。それだけ音楽に没入しやすい。
中田ヤスタカ系の音楽など、多くの音が重なる楽曲を聴くと、「こんな音がこんなところで鳴っていたのか」と気づかせられます。
昔聴いていた、聞き飽きたと思っていたあの曲を、もう一度聴きたくなる音質です。
なお音量バランスは、高=中<低。音域別のインプレッションは以下のとおりです。
高音域
細やかできらびやか。広がりも奥行きも文句なし。
水の落ちる音や波音、小鳥の声など、高音メインの環境音は本当にリアルに聞こえる。
ただ響き渡り方が若干甘いせいか、スネアドラムの音が空間に広がりサーっと溶けていく感触は感じられない。
中音域
ボーカルと伴奏の区切りがはっきりしている。
ボーカルはカーテン1枚向こうにいる感じで、グラマラスさはあまり感じず、フラット。
一方伴奏は、主たる楽器以外であっても1つ1つ音色が聞き分け可能。
それぞれの楽器に「これは右前」「こっちは真ん中」と場所が割り当てられているように感じる。まさにサラウンドそのもの。
低音域
弾みが良く、音圧は十分。
ただし音は丸いため、耳奥を突くようなピンポイントのパンチ力は感じにくい。
なお低音にしては珍しく、音色の鳴らし分けが秀逸で、バスドラムに隠れて「なんとなく低音が鳴っている」となりがちなベース・ギターの音色がくっきりはっきり聞こえてくる。
アクティブノイズキャンセリング:優秀
いくつかのシチュエーションでノイキャン性能をテストしたところ、
- 指パッチン:距離1mなら気づくくらい
- 床を踏む音:ほぼ聞こえない
- トイレを流す音:半分くらい消える
- 子供の泣き声:あまり消えない
- キーボードの打鍵音:かろうじてカチャカチャ聞こえる
という感じ。
低~中音域の打ち消しに強いようです。
マイク音質:まばら
ENC(Environmental Noise Cancelling)による雑音除去を搭載しているのですが……
テストした範囲では、
- たしかに雑音除去力は高い
- ただし基礎的な集音能力は低め
でした。
具体的には、自分の声はわりと遠くこもって聞こえます。
仕事のWeb会議などで意思疎通するぶんには問題ないかもしれませんが、動画配信や実況に使える水準ではなさそうです。
たぶんマイク自体が、アクティブノイズキャンセリング向けにチューニングされているのでしょう。
そういう性能バランスのイヤホンなのだ、ということです。
電池の持ち:少し控えめ
公称4時間。2020年後半の完全ワイヤレスイヤホンとしては、短い部類です。
ただ1日ずっと使い続けない限り、気にならないレベル。
通勤・通学向けに使い、毎晩忘れず充電すれば、問題ないでしょう。
防水・防塵:IPX4
IPX4に適合。防滴レベルなので、水に浸けたりシャワーを浴びせるのはNG。
あくまで、多少汗がかかっても大丈夫、くらいに思っておくのが安全です。
保証:1年の国内保証
Makuakeで支援すると、1年間の国内保証がついてくるようです。
初期不良品は交換対応してくれるとのことなので、安心して支援できるかと思います。
実際に使ってみた感想
せっかくENCというマイク向けのノイキャンがついているので、
- PCにつないで、仕事のWeb会議
- スマホにつないで、音楽鑑賞
の2シーンで使ってみました。
PCと接続すると、いろいろと安定しない
会議で話す相手の声が、あまり安定しません。常時、マイクを近づけたり遠ざけたりしているようにボリュームが上下し続けてしまいました。
また、Windows PCだと「A2DP」というBluetoothプロファイルに切り替えると、全く音が出なくなります。
A2DPは、音楽を高音質で転送するためのもの。つまりWindows PCにつなぐと、せっかくの高音質がだいなしに。
ぼくのPC固有の問題かもしれませんが、PINOはPCにつなぐと実力が半減してしまうようです。
スマホにつなぐと、本領発揮
しかし、スマホにつないで音楽を鳴らすと一変。
没入感たっぷりのサラウンドサウンドで、耳と脳みそを魅了してくれます。
他にもいろいろイヤホンを持っているのですが、比べてみても「PINOやっぱいいなあ」と思えるレベル。
聴き浸るには最高ですよ、これ。
PINO完全ワイヤレスイヤホンはこんな人におすすめ
まとめ:聞き飽きた音楽に新鮮さを
総合評価:
アンビソニックスによる全天球サラウンドで、これまで何度も聴いてきた音楽ですら、新しい面が見えてくる。
その意味でPINOは、再発見系完全ワイヤレスイヤホンと呼んで然るべきです。音質面では文句なし。
★-1の理由は、装着感やPCと接続したときの安定性に改善の余地があるためです。惜しい。
ただ、耳の形には人それぞれですし、そもそもPCにつないで使う人は少数派なので、★-1が気にならない人も多いはず。
また本記事の初出時点(2020年8月15日)でPINOはクラウドファンディング中で試作品段階のため、正式版に向けてさらに改善されれば、非の打ちどころのない魅力的なイヤホンに進化していくでしょう。
そんな期待は、Makuake支援という形で開発側に伝えてあげていただければと思います。
以上「PINOレビュー | 聞き飽きた音楽に気づきをもたらす、再発見系完全ワイヤレスイヤホン」でした。