提供:HiFiGo
IEM(インイヤーモニター)と呼ばれるイヤホンをご存知でしょうか。
原義的には「ミュージシャンや音楽エンジニアが音響チェックやモニタリングなどに使用するイヤホン」で、プロ向けの機材を指します。
が、プロ向けなのはいわゆる「カスタムIEM」で、カスタムでない既製品のIEMも存在します。音楽を生業としないオーディオファンの間でも「イヤモニ」の名で愛されており、ひとつのジャンルとなっています。
とはいえ、IEMという名前だけを聞いても、
- 実際どのような音が鳴るの?
- なにがどう鳴っていれば「モニタリング」になるの?
と、しっくりこない方もいるのではないでしょうか。実はぼくもその一人です。
さて今回、HiFiGoさんからIEMイヤホン「Rose Technics QuietSea」をご提供いただけまして、結果「ああこういうことだったのか」と納得できました。
Rose Technics QuietSea自体のレビューとあわせて、IEMの音の特徴がなるべく伝わりやすいように詳しく解説していこうと思います。
Rose Technics QuietSeaの仕様
- Dual-Chambered Single Dynamic Driver Unit.
- Brass Gold-Plated Driver Unit with Self-Developed Topology Diaphragm.
- Exclusive Designer Looks.
- Premium Zinc-Alloy CNC Machined Chambers.
- High-Purity Four-Strand Monocrystalline Copper Cable.
- Excellent Sound With Noise-Free Background.
- Easy Driveability.
- Comfortable Ergonomic Shape & Design.
- Brand: RoseTechnics.
- Driver Type: 10mm Dynamic Driver.
- Impedance: 32Ω.
- Sensitivity: 99dB.
- Frequency Response Range: 20Hz-20kHz.
- Termination Options: 3.5mm/4.4mm.
Rose Technics QuietSeaレビュー
音も見た目も美しいイヤホンの製作で定評のあるikkoと共同でデザインされているそう。
期待が膨らみますね。
それではレビューしていきます。
デザイン:太ましいケーブルは気になるかも
エンボス加工のパッケージ、マグネットが仕込まれた箱、ハードケース付属・・・49.99USDというお手頃価格にもかかわらず豪勢な出で立ちです。
ikko OPAL OH2とよく似た、というより、スピーカー部分以外は瓜二つです。
パッケージに「DESIGNED BY iKKO&ROSE」とありましたが、共同でゼロからデザインしたのではなく、Rose Technicsがikkoからデザインデータの提供を受けた、といことなのかもしれません。
かなりがっしりした編み込み式ケーブルが特徴的。
今回ご提供いただいたのはイヤホンジャックが4.4mmバージョンでした。
4.4mmジャックは空間表現や音のキックが優れていると言われていますが、音源がスマホの場合は3.5mm版を選びましょう。スマホ側の端子はUSB-Cまたは3.5mmジャックになるためです。
今回は4.4mmジャックかつ手持ちスマホがUSB-Cのみ対応だったので、
- スマホ
- USB-Cオス×3.5mmメスの変換ケーブル(Elecomのこちら)
- 3.5mm3極オス×4.4mm5極メスの変換ケーブル(okcscのこちら)
- QuietSea
という経路で接続しました。
2のElecomはハイレゾ準拠なので音質劣化は最小限なはずですが、3のokcscは5極バランスから3極ステレオへの変換なので、音のきめ細かさや空間表現に少しばかり影響があるかもしれません。
後述する音質レビューはこの接続系統を前提にしていますので留意ください。
装着感:ちょっと重たい
ケーブルが太いせいか、かなり存在感がありますし、まあまあ重いです。ウォレットチェーンを耳から下げている感覚。
さらにこれに変換ケーブルの重さもプラスされるので、耳にそこそこの重量がかかります。
外出がてら1時間ほど使い続けてみましたが、後半に近づくほど耳にかかる重みが気になってしまいました。長時間リスニングする際はケーブルをクリップで服に固定するなどの工夫が必要かもしれません。
とはいえ、重さ以外の取り回しは良好です。ケーブル自体は表面がサラサラした編み込みで洋服に引っかかることがありませんし、耳の周りは樹脂で保護されているので汗も気になりません。
完全ワイヤレスイヤホンに慣れているせいもあるかもしれません
音質:「シャープネス」が強いフラットサウンド
第一印象は、なんかハジけているけどなんだろうこれ、です。
たとえば、ぱっと見ツルッしてそうなものでも触ってみると表面がザラついていることがありますよね。これか普通のイヤホンだとすると、静海は見た瞬間にザラつきが伝わってくるイメージです。
画像でたとえると「シャープネス」処理が強くかけられた写真を見ている感じです。↑の左が原音だとすると、聞こえてくる音は↑の右側。
良く言えば解像度がエンハンスされています。悪く言えば音全体がジャリジャリしています。
ただ、そのおかげであらゆる楽器のメロディをつぶさに追いかけられますし、それぞれの音色がどのような表情をしているのかもよくわかる(モニタリングできる)のです。
これがIEM(インイヤーモニタリング)なのかと、なるほどと思いました。この特性、分析的に音楽を聴く人にはぴったりでしょう。
ちなみに、ぼくがまさにそれで、QuietSeaの音質はどストライク。多少ケーブルが太かろうが重かろうが変換ケーブルにお金がかかろうがこの音ならメリットが上回ると感じます。音質だけでいうと49.99USDを上回っていますね。
ちなみに音量バランスは若干ドンシャリ寄りのフラット。観点別の印象は以下のとおりです。
解像度
解像度はとてもとても高いです。
音のザラつき表現(シャープネス)がエンハンスされた結果、解像度も上がっているのでしょう。
臨場感
音色や音域別に「君はここで鳴ってね」と再配置されている印象はなく、音源の意図をそのままスルーパスしているように感じます。
遠くに響かせたい音も、左右を鳴らし分けさせたい音も、そのままです。
ことさらサラウンドを強める調整はされていないのでしょう。
高音域
パラパラしています。各音色に粒感があり、きれいに音を聞き分けられます。
よく高音は「キラキラ」「きらめき」という星空のような表現が使われると思います。星が光をまとっているイメージですね。
でも本作の場合、星の光は控えめに、輪郭をくっきりかたどっている印象を受けます。
中音域
中音域の音量が確保されているせいか、いろんな音色が楽しめます。
でも音質はシャープで音色がくっきり。ピアノはもちろん複数種類のストリングスも聞き分けられます。分析的に音楽を聴く人には嬉しい鳴り方だと思います。
ボーカルについては特筆すべき点は感じませんでした。
低音域
バスドラムが適度に突き刺さりつつ、それより前にベースのメロディが出てくる感じです。
バスドラムが響くときのビリビリ感やベース音のブレまでしっかり表現されています。
ただし音量は控えめ。ドンシャリ好きな人には物足りないかもしれません。
保証:HiFiGoならしっかり
HiFiGoで購入すると
- 7日間の初期不良品無償交換。返送時の送料もHiFiGo負担
- 30日以内の返品。ただし返送時の送料は自己負担
と、手厚めの保証がつきます。(出典)
お手軽価格のIEMとはいえ、絶対値としては安い品ではありませんし、ちょっとした作りの瑕疵が音質や体験に大きく影響するのがイヤホンというものなので、保証がしっかりした販売元を選ぶと
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、QuietSeaのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- 全音域で解像度がとにかく高い。あえて解像度に振り切っている
- フラットながらも適度なドンシャリ
デメリット(悪かった点)
- ケーブルが太くて重い(とはいえリケーブルで対応可能)
Rose Technics QuietSeaはこんな人におすすめ
まとめ:IEMの雰囲気を満喫できる
総合評価:
これが本当のIEMなのか?と聞かれると、初めてなもので少し自身がありません。
ただ、素直なフラットサウンドとそれぞれの音色の響きを追いかけられることから、少なくとも音源の「モニタリング」はできます。IEMという呼び名からくる期待値には応えられているのではないかと思います。
また、純粋にイヤホンとして見た場合、少し強引さはありつつも解像度を高めた調整は自分好みなので高く評価したいところ。
ただ、太いケーブルの重量感がストレスになりうる点は個人的には無視できませんでした。なので総合評価は★4.5としました。気にならない人には★5で良いと思います。
お手頃価格のIEMとして、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
以上「Rose Technics QuietSeaレビュー | とにかくシャープなIEMイヤホン。分析的に聴く人に刺さる」でした。