提供:Skyloong
分割スペースバーでノブ付きのホットスワップ対応60%キーボード、Skyloong GK61 Proをご提供いただきました。
主な特長は↑の通りなのですが、もっとも注目すべきはQMK/VIAに対応していることです。
これまでのSkyloong製キーボードは、キーマップ変更に独自アプリのインストールが必須でした。そしてお世辞にも使いやすいとは言えませんでした。
それがQMK/VIAに対応したことで、ブラウザだけでキーマップ変更が完結。より使い勝手が良いものに進化しています。(ただし無線対応版はQMK/VIA未対応です。残念)
もちろん、オープンソースであるQMK/VIAへフリーライドするだけではありません。Skyloongはキーボードコミュニティへの貢献を公式に表明しており、実際にGK61 Proで採用されているホットスワップ対応ノブの設計データをGitHubで公開しています。
ビルドクオリティはキーボードひとすじのSkyloongならでは。独自の打鍵音コントロール機構がふんだんに盛り込まれ、とても素敵な打鍵音に仕上がっています。
個人的には(親指でのノブ操作の利便性やコミュニティ貢献を表明したSkyloong社のスタンスを含めて)とても推せるプロダクトです。ぜひチェックしてみてください。
Skyloong GK61 Proの概要
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注目ポイント
- 分割スペースバー+ロータリーエンコーダ
- USB版はQMK/VIA対応(USB+Bluetooth+2.4G版は非対応)
- とても素敵な打鍵音
- ホットスワップ対応
仕様・スペック
キーキャップとケースの組み合わせによって素材が違います。
- Mode: GK61 tri-models
- Plate: White Steel plate
- Backlight: RGB
以下は本記事でレビューするBluePink版のものです。
- Keycaps: BluePink
- Case: ABS Black Case
Skyloong GK61 Proレビュー
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それではレビューしていきます。
デザイン:ロータリーエンコーダは工夫し放題
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ベースはANSI準拠の60%レイアウト。
矢印キーなど存在しないキーは、他のキーとの組み合わせで入力します。
たとえば右下のFNキーとAlt・Menu・/・Ctrlを同時押しすると←↓↑→になります。
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一番の特長は、分割スペースバーとロータリーエンコーダ。
分割スペースバーは一瞬ギョッとするかもしれません。でも親指で複数のキーを使い分けるスタイルは、一度慣れれば超便利です。(ぼくは2020年のKEMOVE DK64-66 Dolchで分割スペースバーに出会って以来、戻れない体になりました)
通常、分割スペースバーはといえば長いスペースキーを2つか3つに分ける形です。しかしSkyloong GK61 Proの分割スペースバーは特殊で、
- 左右はスペースバー
- 真ん中にノブ(ロータリーエンコーダ)
- 回転方向は親指で簡単に操作できる。無段階ではなくクリック感があるタイプ
- 押し込みはかなり固い。ホームポジションのまま親指だけで押すのは無理
という特性。上手に使いこなすにあたっては、これに基づくキーマップを考えることになります。
デフォルトでは、左右はSpace、真ん中のノブは音量操作とミュートが割り当てられています。Web会議で便利な使い方を考えてのことだと思います。
Skyloong GK61 Proの公式にもいくつか設定事例が紹介されていますが、個人的には「左右のスペースバーにSpace/Backspace、ノブ回転に←→を割り当てることで高速文字編集」がもっともしっくりきました。
というかホームポジションから手を動かさないことを考えるとノブは親指で操作するが正解だと感じました。
もちろんキーマップ設定次第でいろいろ試せると思います。
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ロータリーエンコーダの設計データはSkyloong社のGitHubアカウントで公開されています
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裏側や背面は本当に最低限です。チルト足もありません。
ラベルのモデル名が「GK61S Lite」と別物になっているのが気になりました。たぶん共通部品を再利用しているのでしょう。
ただ各種認証マークを印字する箇所でもあるので、コンプラ的にそれはどうなの、と思わなくもないです。今回は無線対応版をご提供いただいておりバッテリーも搭載されているのに、PSEマークも技適マークもありません。
分解すれば中に印字があるのかもしれませんが、本レビューでは念のため有線接続限定で使っていきます。
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キーキャップのプロファイルがスペックには書かれていませんでしたが、調べてみたところ、XVXプロファイルでした。手元で使っているものと傾斜がピッタリ一致。
Skyloong GK61 Proの商品ページを見るに、XVXプロファイルなのはおそらくBluePinkだけ。WhiteGreyとTiGreyはOEMプロファイルっぽいです。
ぼくはXVXプロファイルが大好きなので、XVXプロファイルを作っているメーカー以外からXVXプロファイルがプリセットされたキーボードが売り出されていること自体とても嬉しいです。広がれXVXプロファイルの輪。
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2.4GHz無線通信用USBドングル付属します。格納用キーキャップも。
ドングルには通信先デバイスの個体識別子が記録されているので、無くすと替えがきかないんですよね。
いや、Bluetooth使えばいいじゃない?と思うかもしれませんが、BIOS/UEFI画面やBitlockerのパスコード入力画面など、OS起動前の段階でも無線キーボードを使う場合は2.4GHz無線通信が必須ですので、仕組みとしてはまだ現役です。(例外として、LogicoolのUnifyingやLogi BoltはOS起動前状態で使えます。ただしLogicool製品限定)
最後に重さなんですが・・・ずっしり重いです。無線接続対応でバッテリーを積んでいるせいかも。据え置き利用を前提で考えたほうが良いです。
打鍵感・打鍵音:プロの技
キースイッチはGateron Brownを選択。
底打ち時に面取りされた打鍵音がトコトコ鳴ります。指先にも耳にも心地よさ満点。
その秘密はSkyloongが仕込んださまざまな工夫にあります。具体は公式サイトの商品ページを見てほしいんですが、かいつまむと
- O-ring gasketというシリコン素材を挟み込む(独自に設計改善したそう)
- 固定用ネジにシリコンワッシャーを仕込む
- スイッチパッドを入れる
の組み合わせだそう。自作キーボードを静音化にも使えそうなアイデアですね。
でも実際の静音化って難しくて。ぼくは昨今Keyball 44でいろいろと静音化を試しましたが、トライアンドエラーですし匠の技の世界です。
その意味で、最初からプロの技で静音化されているSkyloong GK61 Proは本当にありがたいものなんだと感じています。
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プロの打鍵音作りは学ぶことが多い
カスタマイズ:無線版でもVIAが使いたかった
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有線版ならVIAを使うことでブラウザからキーマップを変更できます。(ただVIA本体にマージはされていないので使う前にjsonファイルのアップロードが必要)
しかしUSB+Bluetooth+2.4G版だとVIAが使えません。有線接続しても使えません。「SKYLOONG Keyboard Driver」にある専用アプリが必要です。
これがとても残念。「QMK/VIA対応」が個人的は分割スペースバー+ノブに注目ポイントでした。マイコン起因のファームウェアサイズなど技術的な難しさがあるのは理解しつつ、使う側目線では「なぜ」と思ってしまいました。
本レビューはUSB+Bluetooth+2.4G版を使っているため、専用アプリの使い勝手を中心にレビューします。
有線接続すると自動で機種が認識され、
- キーマップ
- LED
- マクロ設定
を変更可能です。
ただし、右下のFnキーの位置は動かせない、という制約があります。以前レビューしたSkyloong SK61Sの時代から変わらず
Bluetoothや2.4GHz無線通信など、キーボードそのものの制御をキー操作でやろうとするとFnキーが必須かつ場所固定になる・・・という事情は理解できるものの、自由度の点では今ひとつと言わざるを得ません。
2020年にはKEMOVEなどFnキーすら動かせるキーボードも出てきていますし、その系譜を取り入れてFnキーの場所を固定せずに済むように進化してくれたらいいのにな、と思ってしまいます。
とはいえ、そこそこ押しやすい場所にFnキーがあることから、レイヤーキーだと割り切れば便利に使えるとは思います。
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無線対応版でも有線接続すればVIAが使えるようにしてもらえるとすごい嬉しいです
保証:1年間
Skyloongのキーボードは
- キーボード本体は1年
- バッテリーは3ヶ間
の保証がつきます。
初期不良を含め故障の際は以下メールアドレスまでコンタクトすれば対応してもらえます。
To claim for a warranty or confirm whether your product is eligible for return/warranty, please kindly contact us via [email protected].
ただし、おそらく英語限定です。DeepLなどを使って問い合わせると良いでしょう。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
以上のレビューから、Skyloong GK61 Proのメリット・デメリットをまとめます。
メリット(良かった点)
- QMK/VIA対応。ただし有線版のみ
- 分割スペースバー+ロータリーエンコーダ。親指の有効活用がはかどる
- ほれぼれする打鍵音。プロの技
デメリット(悪かった点)
- 無線対応版もQMK/VIA対応してほしかった
- Fnキーが固定。実害は小さいがカスタマイズに若干の制約が出る
- 専用アプリは使い方に慣れが必要
Skyloong GK61 Proはこんな人におすすめ
まとめ:将来性を感じるので推したい
総合評価:
2つの理由で将来性を感じる推したいキーボードです。
- スペースバーの真ん中にロータリーエンコーダーを配置するのはエポックメイキング
- 自作キーボードコミュニティとともに進化していきたい、というSkyloong社のスタンス
推したいプロダクトだと思う一方で、USB+Bluetooth+2.4G版でQMK/VIAが使えない一点だけ、期待値が高かったこともあって非常に残念。なので★1つ減らさせてもらいました。完全に主観です。
しかしマイコンは日々進化していますし、そもそもBLE対応のProMicroも存在しますし、遠くない将来にのりこえらえるのでは??と期待しています。
以上「Skyloong GK61 Proレビュー | 推せる。プロが作ったQMK/VIA対応60%キーボード」でした。
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