提供:SUMVALLEY JAPAN
メーカー様のご厚意で、2021年6月発売の完全ワイヤレスイヤホンSoundLiberty Pro P10をご提供いただきました。
SoundLiberty Pro P10の特長は、
- 実売価格が6,000円前後と安価であるにもかかわらず
- 同値段帯の他製品より強い-35dBのANCに対応、かつ
- 音質やその他スペックも抜かりがない
と、全方位的にバランスが優れていること。
意地悪く言うと「ANC以外で尖った点がない」ですが、良く言うと「全体的に平均点以上で特にANCが優秀」と言えます。
そのため、
- ANC対応完全ワイヤレスイヤホンにチャレンジしてみたい
- でも買って損するのは微妙だからベースがしっかりしたものを選びたい
という、質実剛健に賢く買い物したい人におすすめできるアイテムです。
SoundLiberty Pro P10が気になった理由
進化した低価格帯ANCの実力がどれほどか見てみたかったからです。
ぼくは過去に5,000円台後半で-28dBのANCを搭載したEarFun Free Proを使ったことがあります。
一方、SoundLiberty Pro P10は6,000円前後で-35dB。同じような値段帯でANC性能がアップしています。
とはいえ、公称のANC性能と実際の静寂性は異なるもの。
- 公称のANC性能:搭載しているチップの性能値
- 実際の静寂性:本体の形状やイヤーチップの作りの影響を受ける
なのでこのレビューでは、「-35dB」を謳う低価格帯ANCは実際どのくらい静寂なのか?を中心に見ていきたいと思います。
SoundLiberty Pro P10の概要
注目ポイント
- -35dBのハイブリッドANC
- 9mmのダイナミックドライバー
- 最大9時間連続再生
- IPX7防水
仕様・スペック
- モデル:Taotronics SoundLiberty Pro P10
- イヤホンタイプ:カナル
- Bluetoothチップ:Airoha AB1562A
- Bluetoothバージョン:V5.2
- Bluetoothプロファイル:HSP / HFP / A2DP / AVRCP
- Bluetooth コーデック:AAC・SBC
- 装着方式:完全ワイヤレス
- 駆動方式:ダイナミック型
- 通話ノイズキャンセリング:3*ノーズキャンセリングマイク
- ボタン仕様:タッチセンサー式
- 充電端子:Type-C
- 充電時間:約2時間
- 再生時間:単体最大9時間(ANC約6.5時間)、合計最大33時間(ANCで約23時間)
- 防水:IPX7(イヤホン本体のみ)
- ペアリング:MCSync技術対応
- 通信距離:10M
- 対応機種:iOS/Android/WindowsなどBluetooth機能搭載のデバイス
- その他:外音を取り込む機能、自動ペアリング機能、タッチコントロール、片耳モード対応
SoundLiberty Pro P10レビュー
それではレビューしていきます。
外観・デザイン:ラメっぽいのは好みが分かれるかも
ケース正面に目立たない程度のTaoTronicsのロゴ。
背面にはリセットボタンがついています。
充電用のUSB-Cは底面に。底面も丸いのでケースは自立しません。
本体が縦に刺さっているタイプです。
「うどん」が若干細めに見えますが、それは9mmのドライバーを内包した本体部分(ハウジング)少し大きめの作りだからです。
本体のベースは黒ですが、内部処理で少しラメがかかっているように見えます。
光が当たるとキラキラする点は、好みが分かれるかもしれません。
外側はラメっぽい一方、内側はマット仕上げのシックな黒です。
イヤーピース内部に3方に伸びる防護が。初めて見ました。
なにかしらの効果があるのでしょうか。
スピーカー部分は楕円形。
手持ちのAirPods Pro向けイヤーピースがぴったりハマったので、おそらく全く同じ形です。
重さ・大きさ:ケース込だと結構軽い
本体のみだと標準的な重さですが、ケース込みだと40g台と結構軽いです。
本体内臓のバッテリーが小さめなのかもしれません。
Bluetooth接続:問題なし
ペアリング、接続速度、安定性とも、試した範囲で気になる点はありませんでした。
もちろんAACにも対応。iPhoneやAndroidで低遅延・高音質で音楽が楽しめます。
ただしHD以上の音質を求めるなら、遅延より音質(転送ビットレート)が重視されるSBC接続をおすすめします
装着感:OK
悪くありません。首を振っても落ちてくる様子はありませんでした。
操作感:良し
タップ操作。検知領域は外側の○部分。感度は良好です。
- 左/右1回:音量ダウン/アップ
- 左/右2回:再生/一時停止
- 左2秒:ANCモード切替
- 右2秒:音声アシスタント起動
- 左/右3回:曲戻し、曲送り
なお、自動耳検出に対応しており、耳から外すと自動で一時停止、装着すると自動で再生がスタートされます。便利。
スピーカー音質:値段にしては善戦
第一印象は、
見通しはよくないけど嫌な感じはしないなあ
です。
音量バランスは、低>中=高。
若干の低音重視。低音域の音量が全体的に底上げされています。
バスドラムなど特定の音を狙ってブーストしているわけではないのでメリハリはいまいちですが、ブースト具合は絶妙。
廉価版イヤホンによくある「とにかく低音だけ大きくしとけ」な雑さは感じません。
一方で中音〜高音は、よく響くものの、透き通って抜けていくような感覚はありません。
高音が若干こもっているのと、中音域の音がすこし混ざりがちな点が影響しているのだと思います。
このように音域別では気になるポイントがあるものの、全体的には音の調和が取れており、聞いていて物足りない感じはしません。
総じて、「音質悪いな」と感じにくい音作りがされているように感じます。廉価版イヤホンを数多く手掛けるTaoTronicsならではの工夫でしょう。
値段にしては善戦している、という点から、音質・値段比でいうコストパフォーマンスは良い方なのではないでしょうか。
ANC性能:たしかに-35dB水準
数値上の性能は、-35dB。
知りうる限りでいうと、ANC対応完全ワイヤレスイヤホンのANCレベルはざっくり
- 5,000円前後:-28dB級
- 〜1万円:-35dB級
- 1万円〜:-40dBオーバー
です。
なので、SoundLiberty Pro P10は、
- 値段帯でいうと「5,000円前後」に近い
- でも「〜1万円」のANC性能を積んでいる
ので、1レベル上のANC性能を備えていることになります。
実際、音楽を流さない状態で外音がどれだけ消えるか試した結果、
- 完全静寂にはならない
- ただし6000円台という値段を考えると十分なノイキャン性能
だと感じました。
具体的なシーン別の結果は、以下のとおりです。
自宅デスクで
- 2m後ろのサーキュレーターの稼働音は聞こえない
- 1.5m後ろの金魚水槽エアポンプの「ブー」音は少し聞こえる
- 隣の部屋の洗濯機の「ゴー」音は、耳をすませば聞こえる
- 外の鳥の鳴き声が聞こえる
- キーボードのカチャカチャ音は、高音域だけ聞こえる
車通りのある歩道で
- 自分の足音はほぼ消える
- 車の音は近づくまで聞こえない
- 自転車が近づいても気づかない
コンビニ店内で
- 「帝京平成大学のここがすごい!」「合宿免許ワオ!」のくだりはフルで聞き取れる
マイク音質:コスト優先で性能劣後?
マイク音質は、期待してはいけません。
理由は、マイクの基礎力である集音能力が低めだから。
結構声を張ってしゃべっているはずなのに、声が遠いんです。
具体的には、15cm先にある自分の口から出てくる音と、50cmくらい先で鳴っているキーボードの打鍵音が同じくらいの存在感。
プライベートでの通話ならまだしも、仕事のWeb会議で常用するのは辛いと感じます。
とはいえ、6,000円前後のANC対応完全ワイヤレスイヤホンです。マイクにかけるコストは最低限扱いにされている可能性がありますし、その判断は正しいと思います。
バッテリー:連続再生時間が最優先されている
- 本体のみで最大9時間(ANC約6.5時間)
- ケース込みで合計最大33時間(ANCで約23時間)
文句なしのロングライフバッテリーです。
なお、急速充電やワイヤレス充電には対応していません。
これら追加機能よりも連続再生時間を優先したのだと思います。
防水・防塵:最高水準
IPX7。防水でいうとほぼ最高レベル。
雨やシャワーはもちろん、洗濯乾燥機に入れても生き残れる水準です。
保証:超長期の安心保証つき
TaoTronics製品には、
- 標準で12ヶ月
- 製品登録すると+18ヶ月
の長期保証がつきます。
あまり高いイヤホンではないものの、初期不良を含め壊れてしまうのは残念なものなので、しっかりした保証がつくのは安心です。
実際に使ってみた感想
良かったところ
- 1つ上の値段帯に匹敵するANC性能
- コンパクトながら手になじみやすいケース
- ケースから取り出しやすい本体形状
一番の注目点はANC性能なのですが、個人的には物理的な作りが高評価なポイントでした。
なんか、持ってて「扱いやすいな」と感じるんです。
たとえば、ケースの大きさとカーブがちょうどよかったり、ケースから本体を取り出すとき指先でつまめるように形が工夫されていたり。
完全ワイヤレスイヤホンって指先で扱うものなので、手にしっくりくることって地味に大事なんですよね。
悪かったところ(とその対策)
- もう少し音に粒度感がほしかった
高〜中音が厚い楽曲だと音が丸まりがちな点が気になりました。
全体的にもう少し音の粒度高めだと嬉しかったかなと。
ただ、これはぼくが「音楽を楽器や音色別に分解して1つ1つ聞く」というマニアックな楽しみ方をしているから。
音楽の楽しみ方や好みの問題なので、人によっては気にならないと思います。
あくまで、音質のベースラインは超えてきてるうえでの「気になりポイント」だと思ってください
SoundLiberty Pro P10はこんな人におすすめ
まとめ:さすがのコストパフォーマンス
総合評価:
これを6,000円台で出してくるのはさすがです。
音質はベースラインを超えている。ANCは頭1つ抜け出してる。他の機能群も抜かりなし。
音質×ANC性能×機能と値段の割合でいうと、コストパフォーマンスに優れていると評して然るべき完全ワイヤレスイヤホンと言えます。
-★0.5の理由は、音質に輝く点が見られなかったから。もう少し粒度感がはっきりしていたら完璧でした。
とはいえ、「ANC性能こそ重要」という人は、5,000円台のものを買うより、+1,000円してSoundLiberty Pro P10を選ぶほうが幸せになれることはたしかです。
ぜひ一度、チェックしてみてください。
以上「SoundLiberty Pro P10レビュー | 1ランク上のANCとバランスの良い基礎力。コスパに優れた完全ワイヤレスイヤホン」でした。