提供:Trifo
Trifo様より、2022年1月発売のロボット掃除機「Ollie」を提供いただきました。
Ollieは、
- ビデオ撮影可能(?)
- 暗視カメラや動体検知も搭載(??)
- なんなら通話も可能(???)
と、斜め上の方向に進化したロボット掃除機。
「どうしてこうなった?」と言いたいところですが、小さい子供やペットを飼っている家庭だと、これらは実は嬉しい機能。
そのような進化をする以上、当然ロボット掃除機としての基本機能はしっかりしているんだよね?と思いたいところですが、実際使ってみると気になる点もいくつか。
というわけで本記事ではTrifo Ollieについて
- ロボット掃除機としてそもそもどうなの?
- 監視カメラ的なプラスアルファ系機能って使えるの?
あたりを重点的に紹介していきたいと思います。
Trifo Ollieの概要
注目ポイント
- ロボット掃除機らしからぬ機能群を多数搭載
- でも吸引力は4000Paとトップクラス、モッピングも可能
- 障害物検知や落下回避、2cm以下の段差の乗り越えなど、ロボット掃除機が一般的に備えるべき機能はもちろん対応
- スマート家電でできること(アプリベースの制御やAlexa連携など)も一式対応
仕様・スペック
公式サイトが一番わかりやすくて正確……
と言いたいところですが、2022年6月現在、日本語への翻訳が完全でありません。
なので、
を見るほうが早いです。Trifo Ollieレビュー
それではレビューしていきます。
付属品:レーザーポインタ付属
必要最低限な物は一通り付属。
他と違う点といえば
- 毛が絡まらない独自アタッチメント
- レーザーポインター
がついてくる点でしょうか。
「レーザーポインター?」と思うかもしれませんが……
本当にそのまんまレーザーポインターです。
赤い点が壁に映りますし、目に照射すると失明の危険性があるやつです。
Ollieはペットを飼っている家庭向けの機能を搭載しているということで、家で一人留守番しているペットが暇しないようにレーザーポインターで遊んでもらおう、ということなのでしょう。
毛が絡まらない独自アタッチメントの効果は後で詳しく紹介します。
外観・デザイン:ゴールドで上品
外から見た構造は他のロボット掃除機と変わりません。
特徴的なのは
- 前面に2つのカメラ(通常カメラ、暗視カメラ)が搭載されている
- 色合いが黒とゴールドで高級感がある
の2つでしょうか。
特に色は、いわゆる白物家電とは全く異なる風味を出しているので、人によっては突き刺さるかもしれません。
中の構造でいうと、気になるのが2点。
- ゴミをためるスペースがかなり狭い
→この大きさで間に合うの? - ゴミタンクと水タンクが一体になっている
→水タンクを乾かしてるときは掃除できないよね?
実際にどうなのかは、掃除性能のセクションで詳しく見ていきます。
充電ステーションの作りは優秀。余りがちな電源コードの収納スペースがあったり壁と電源コードが干渉しないように配慮されていたり。
この設計は他のロボット掃除機メーカーも真似して欲しいところです。
大きさ:標準サイズ
大きさは、特に大きすぎず小さすぎず。
一般的にロボット掃除機といえばこのくらいのサイズ感かなあ、と感じるくらいです。
やたら高さがあってソファーの下に入ってくれない……的な心配はしなくてOKです。
機能・操作性:アプリの作りが良い
Trifo Home
Trifo Inc.無料posted withアプリーチ
初期セットアップから掃除の制御、各種操作や設定変更、ファームウェアアップデートまで、↑の専用アプリで行います。
専用アプリの作りがすごくよく、初期セットアップから掃除のコントロールまでシームレスに行えます。
デザイン面でいえば、アプリのカラーリングがOllieのポイントカラーである黒×ゴールドになっている点が、個人的には気に入りました。
詳細は以下。
初期セットアップ
初期セットアップは画面の案内に従えばOK。
セットアップする製品を選択した後、画面のカラーリングがその製品のアクセントカラーに切り替わるのがイケてますね。
デバイス設定
- ファームウェアアップデート
- デバイスが喋る音声の男女や言語の設定
- カーペットに乗ったときの吸引力の上げ幅
- 掃除を自動で開始する時刻の設定
- 交換用パーツの摩耗度合い
- 動体検知のオンオフと通知設定
など、いろいろできます。
Google Nest HomeやAlexaとの連携も可能ですが、この専用アプリからではなくGoogle Nest HomeやAlexaアプリからの設定になります。
見守りカメラと音声通話:移動式カメラになる
専用アプリから「ビデオを開始する」をタップするとカメラとマイクがオンになり、
- Ollieの前面カメラからの映像が見られる
- こちらの声がOllieのスピーカーから流れる
- Ollieのマイクが拾った音がスマホから聞ける
という状態になります。まさに見守りカメラ。
さらにアプリからOllieをラジコンカー的に手動で動かせるため、動く見守りカメラとしても使えます。子供が家で留守番中に「こっち来て」と言われたらそっちに行けますし、家の中の猫を追いかけることもできます。
ちなみに、普通のカメラと暗視カメラの切替も可能。
暗視カメラの画質はさすがに見るに堪えませんが、夜中に何かが動いていることを検知するには十分かなと思います。
このカメラで動いているものを検知したらスマホに通知ができるので、監視カメラにもなります。
なかなかおもしろい機能です
掃除関連の機能と性能:気になるポイント複数あり
機能面では、アプリの作りがとても良いので不満はありません。
性能面では、吸引力は最大4000Paでちゃんとゴミを吸い取ってくれるのですが、「そもそも」な部分でいくつか気になる点がありました。
掃除関連機能
- 掃除中のリアルタイム進捗表示
- 吸引力やモッピング時の水量調整
- マップ管理やエリア指定での掃除
- 手動での操作
など、ロボット掃除機にあって欲しい機能はあらかた網羅されています。
掃除性能(気になったポイント)
基本的にちゃんと吸ってはくれるんですが・・・
コース取りが下手
同じところを何回も履いたり、掃除エリア間の移動であちこち行ったり来たり。コース取りがなにかと非効率です。その影響か、掃除時間あたりの清掃面積が小さくなってしまっています。
そもそも、他社製のロボット掃除機では、アプリ上でロボット掃除機が辿ったルートが線で表示されます。しかしOllieは↑のスクショのように、結果として掃除された範囲だけが表示されているんです。
ぼくは意地悪なので、辿ったルートを全部表示するとコース取りが下手くそなのがバレるので隠しているのでは?と邪推してしまいます。
結果的に全部掃除できてればOK、という人は気にならないと思います
狭い通路が苦手
十分入れるはずの幅の通路なのに、なぜか入っていってくれません。
左右ぞれぞれ2〜3cmは余裕があり、かつ他のロボット掃除機は普通に入っていけている幅です。
結果として、掃除可能なエリアに制約が出ます。わがやの場合はベッドの下が掃除できなくなりました。
センサーの作りなのか壁際の責め方なのか。ぜひ改善してほしいポイントです。
吸ったゴミが取り出しにくい
ゴミタンクのフタがわりになっている排気フィルターがめちゃくちゃ固くて、とてもじゃないですがワンタッチで開けられません。
かなりの力とコツが必要ですし、下手に力を入れすぎると開けた瞬間ゴミタンク内のゴミが飛び散ってしまいます。
そもそもOllieはゴミタンクの容量が小さいので、ゴミタンク内のゴミを捨てる頻度は多くなります。正直作りとして微妙ですね。
毛が絡まらない独自アタッチメント:使える
- メインブラシがない「毛が絡まらない独自アタッチメント」は本当に毛が絡まらないのか?
- メインブラシの有無で、吸い取れるゴミの量はどれだけ違うのか?
を試すため、以下実験をしてみました。
- 家具の配置を一切変えない状態で
- まず「毛が絡まらない独自アタッチメント」で掃除
→吸引性能と毛の絡まりを見る - その直後にメインブラシのある状態で掃除
→ブラシの有無での掃除性能の差分を見る
結果……
そこそこちゃんと吸う。毛の絡まりはゼロにはならない
確かにメインブラシがないのでアタッチメント部分には一切の毛は絡みませんでした。
しかしサイドブラシには毛が絡まりますし、サイドブラシは取り外しにネジが必要でワンタッチで絡まった毛を除去できません。
トータルで楽にはなるものの、ロボット掃除機に絡まった毛を除去する行いはゼロにはならない、ということです。
ただ、カピカピの米つぶや、立って見下ろしたとき目で見えるぐらいのゴミであれば、メインブラシがなくてもしっかり吸い取ってくれることは分かりました。
0.2mm程度の微細なゴミはメインブラシがないと吸えない
メインブラシをつけた状態でOllieに同じエリアを掃除させてみると、0.2mm程度の小さいゴミを新たに吸い上げていました。
このくらいの小さいゴミとなるとやはりメインブラシは必要なようです。
毛が絡まらないことを重視するか、小さいゴミまで吸い上げることを重視するかで、使うアタッチメントを変えれば良いかと思います
音:吸引力の設定による
走行時の音は吸引力の設定によって大きく変わります。
- 吸引力が強いと音が大きい
- 吸引力を弱くすると音が小さい
吸引力は、アプリで10段階で指定可能。
実際に走らせてみて「音が大きすぎる」と思ったら吸引力を弱める的な調整ができます。
ここらへんの柔軟さもとても良いポイントだと感じます。
障害物・段差対応:OK
わがやには
- 2cmの段差(テレビ台の足元)
- 8cmの落差(玄関の土足スペースと廊下)
がありますが、それらに引っかかって動作が停止してしまうことは一度もありませんでした。
帰還性能:初回以外は大丈夫
マップが作成されていない初回運転時は、充電スタンドに戻ることができませんでした。
が、一度マップができれば、複数の部屋をまたぐように掃除されてもちゃんと充電スタンドに戻ってきます。
バッテリー:十分
わがやは約70㎡で3LDKのマンションですが、この程度の大きさであれば搭載されているバッテリーで十分にお釣りが来ます。
厳密に言うと、コース取りが上手ではないものの、結果として家全体を掃除した後充電ステーションに戻ってくるには十分なバッテリーを搭載している、ということです。
1階層あたり200㎡を超えるような広い家だとバッテリー切れが気になってくるかもしれません。
メンテナンス性:消耗品・パーツの入手ルートに限りあり
日々のメンテナンス
絡まってしまった毛の除去や定期的な再起動、ファームウェアアップデートなど、スマートホーム対応ロボット掃除機に必要とされる一般的なメンテナンスはそんなに難しくありません。
強いて言えば、毛が絡まらない特殊アタッチメントを使うことでメインブラシに絡まった毛の除去の手間が省ける、くらいでしょうか。
消耗品・パーツの入手難易度
長く使うことを考えると、摩耗していくパーツや消耗品がすぐ入手可能かも気になるポイント。
なのですが、2022年6月現在、
- Amazonには高額転売品しかない(参考)
- 公式サイトは日本への配送に未対応(参考)
と、パーツや消耗品はかなり入手しづらい状況です。
Trifo社が今後 Amazon や公式サイトで消耗品を扱ってくれることを祈るばかりです。
保証:1年
Ollieに限らず、Trifo製品には以下の保証がつきます。
Trifo製品には部品に1年間の限定保証がついてきます。 バッテリーの場合、保証期間は6カ月間となります。
出典:trifo.com
お客様に届いた製品に損傷・欠陥があった場合は、製品受け取り日から30日以内に当社サポートチームまでご連絡ください。
出典:trifo.com
安くない買い物なのでしっかり保証がつくのは安心ですね。
実際に使ってみた感想
良かったところ
- 毛が絡まらない独自アタッチメントでもフローリングなら十分な吸引力
- アプリの作りがよい。迷いなく使える
- 通話機能は監視カメラがわりに使える。留守番中の子供との通話など
- 本体のデザインに高級感があり、見ていてちょっと気分が良い
- Google Nest HomeやAlexaと連携して音声で操作できる
悪かったところ
- 毛の絡まりはゼロにはならない。側面のブラシには毛が絡まる。そして側面ブラシはワンタッチで取り外せず毛の除去に手間がかかる
- コース取りが下手。同じところを何回も履いたり掃除エリア間の移動が非効率だったりする
- 十分入れる幅の通路なのに入っていかない。結果として掃除可能なエリアに制約が出る
- 吸ったゴミが取り出しにくい。ゴミパックを開けるとき、かなりの力とコツが必要
こんな人におすすめ
まとめ:刺さる人には深く刺さる
総合評価:
動ける監視カメラ・見守りカメラとしての機能や通話機能がOllieの一番のユニークポイントであり、他に負けない点です。
そこに惹かれる人にはおすすめですが、掃除性能面で気になる点が多いことから、そうでない人は無理してOllieを選ぶ必要はありません。
評価★3.5の理由は、ぼくにはフィットしなかったから。特に通れるはずの狭い通路を通れない点は大幅減点です。
エッジの効いた面白いアイテムなぶん万人向けではありません。Ollieの説明を見た瞬間に「自分の要件にどストライク!」と感じた方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上「Trifo Ollieレビュー | 見守りカメラつきロボット掃除機。撮影、通話、暗視カメラ、動体検知等を搭載した珍機種」でした。