提供:HiFiGo
HiFiGo様のご厚意で、2021年9月発売の「TRN VX pro」をレビューさせていただけることとなりました。
TRN VX proは、1万円前後ながら1DD+8BAと、びっくりするくらいドライバ数の多い有線イヤホンです。
その分配は
- 低音向けに1DD(10mm)
- 中音・高音向けに4BAずつ
であり、中〜高音の表現力と解像度に力を入れた構成。
そのせいあってか、高音に近い中音域の解像度・粒度感は素晴らしいの一言。
一方で1DDも負けておらず、音源の意図を汲んだ豊かな音を鳴らします。
欠点は、シンバル音がシャリつく点と、音域別に音場の広さがちぐはぐな点。ここは評価が分かれますが、エイジングでどうにかなる範囲でもあります。
総じて、1万円出すに値する良いイヤホンだと思います。
TRN VX proのスペック
- ドライバ構成:1DD(10mm)+8BA
- 製品モデル:TRN-VX Pro
- ジャックタイプ:3.5mm
- トランスデューサータイプ:ハイブリッドインイヤーモニター
- コネクタタイプ:2ピン
- 感度:106dB
- 色:ミッドナイトブルー
- 着用:イヤーフック
- 周波数応答:7Hz-40000Hz
- インピーダンス:22Q
- 重量:(ヘッドホン+ケーブル)13g + 15g
- ケーブルの長さ:1.25m±5cm
TRN VX proレビュー
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それではレビューしていきます。
付属品:充実
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説明書類、材質やサイズ違いのイヤーピース8種に加え、4.4mmジャックへの変換ケーブルもついてます
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赤のシリコンイヤーピース、Mサイズがダブってますが、1セットはあらかじめ本体に装着済みです。
デザイン:美しい流線型
本体
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今回はオーシャンブルーをチョイス。
マット加工の金属筐体は触るとヒヤリとします。
流線形が美しいですね。
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サイドにはブランド名の印字。
1DD+8BAとドンと書いてありますあたり、アピールポイントなのでしょう。
接続は0.78mmの2 ピン。好き嫌いはあると思いますが、イヤホンの位置が固定されやすいので、個人的には好みです。
ケーブル
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ケーブルはキラキラと美しい白。
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3.5mm ジャックがL 字型なのは好みが分かれるかもしれません。
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ケーブルをまとめるマジックテープにはTRNの標語が印字されています。
全体
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イヤーピースは黒赤ベースと白白ベースのシリコンと黒のウレタンンがラインナップされています。
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ケーブルのカラースキーム的に白白のシリコンを使うのがおすすめ。デザインに統一感が出ます。
装着感:完璧
装着感は良好。
耳にぐいっと押し込めば、しっかりと装着されます。
落ちる様子もずれる様子も全くありません。
接続が2ピンであり、本体部分が回転しない点も、装着感に寄与しているよようです。
音質:分析的に聴く人向け
第一印象は、プラスチッキー?、です。
音量バランスは中>高=低。
ボーカルが一歩前に出ているイメージで、中高音がその次、低音は後ろでがんばってるな、という印象。
音場は狭め。具体的には、高音域のきらめきと高音寄りの中音域の解像度・表現力で奥行きは確保されているものの、他の音域が平面的なため、「臨場感よし」と呼べる水準に至らず。
音域別の印象で言うと……
高音域
トライアングルなどのきらめきはきれいに響きます。
しかしシンバル音はシャリシャリめで、歯の間から空気を力いっぱい吹き出す様子を思い出させます。
そのせいか「詰まっている」「少し苦しそう」「硬い」という印象が先行。
とはいえ、エイジングで柔らかみが出てくるところなので、聞き込めば印象が変わるはずです。
中音域
ボーカルはよく響きますし、伴奏の旋律もきれいで優秀です。
特筆すべきは少し高音寄りの音域。
ここの粒度感・解像度・奥行き感が特に優れてています。
ぼくの好きな中田ヤスタカ的なピコピコ楽曲がめちゃくちゃ映えます。
アーティストでいえばPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅ。
あとDJ OKAWARIによるピアノ旋律メインの切なめ曲も目いっぱい魅せてくれていい感じ。
素晴らしいです。
低音域
音量は小さめ調整で、バスドラムのパンチ力やベースの迫力を過度に誇張してきません。
しかし、音源が「バスドラム強めで」を指示を出すような曲では指示通りドンドンと絞まった音を出します。
どんなマジックなんでしょう。もしかしたら、音源のスペクトラムに従ってゲインを調整している?
一方で音質は、バスドラムのキレのよさやピアノ低音のしっとりと深みある表現が両立できています。
あたり、優秀と呼んで差し支えありません。
総じて
ただ、総じて言うと、捉え方で良くも悪くも表現できてしまうな、と。
たとえば、音域別にちぐはぐな音場の広さと詰まりがちな高音が悪目立ちしている点を強調するなら、窮屈さと安っぽい硬さから「プラスチッキー」という言葉が出てきます。ぼくの第一印象はこちら。
一方、粒度感・解像度・表現力に優れた高音寄りの中音のすばらしさや、音源に基づきゲイン調整しているような低音表現から、「音源に忠実」「明瞭でキレの良いサウンド」という評価もまた成り立ちます。
総合的な旋律を楽しむタイプの人にはとっつきにくいかもしれません。が、ぼくのように音楽を分析的に聴くタイプの人にとって楽しいイヤホンであることは間違いありません。

なお音場の問題はIKKO Zerda ITM01の併用で大部分が解決できました
保証:1年
TRN VX proに限らず、TRN製品には1年の保証期間が設けられています。
初期不良対応を含む保証がしっかりしているのは安心です。
実際に使ってみた感想
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良かったところ
- 中高音域の解像度と奥行き感
- 音源のメリハリに忠実な低音
悪かったところ
- 高音の詰まったようなシャリ感
- 音域別に異なる音場の広さ
TRN VX proはこんな人におすすめ
まとめ:音域別の差を楽しめる人に
総合評価:
スタンスで評価が分かれるので難しいんですが、個人的には聴けば聴くほど楽しいので好きです。
中音から高音にかけての解像度は一番の特徴なので、そこに魅力を感じる人は買って損しないでしょう。
一方で音全体の整合性や調和を求める人は、ちぐはぐさを感じるかもしれません。
万人向けではないので、普段自分がどの音域をどのように聞いているか確かめてから購入を検討することを強くおすすめします。
以上「TRN VX proレビュー | 中高音の解像度が魅力。分析的に音楽を聴く人には楽しいイヤホン」でした。
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