提供:TOLAI
TOLAI社様のご厚意で、GREENFUNDINGでクラウドファンディング中の完全ワイヤレスイヤホン「ZIP20」を先行レビューさせていただけることとなりました。
ZIP20は、ZIPPOをイメージして開発された完全ワイヤレスイヤホン。ZIPPOとZIP20、並べてみるとよく似ていますね。
「ZIPPO好きの社長のために」から着想したという開発秘話から分かる通り、方向性は完全に趣味に全振りしています。
軽量であることが優先される完全ワイヤレスイヤホン界隈において、ZIPPOのような金属質感と重量感を優先しているんです。通常の製品開発ではなかなか決断できないでしょう。クラウドファンディングの醍醐味ともいえます。
で、実際に持ってみると、がっつり高級感を感じます。無駄に持っていたくなる。デスクに置いていたくなる。
完全に、魅せるアイテムというポジションのアイテムですし、これまでただのツールとして扱われがちだった完全ワイヤレスイヤホンに新風を吹き込む意欲作でもあると感じます。
もちろん、肝心の中身もちゃんとしています。部分的に前世代水準の性能になっている点も見受けられますが、全体としてハイレベルに仕上がっているので、日々持ち歩くアイテムとしては十分。
「完全ワイヤレスイヤホンの新しい価値訴求のあり方」を体感したい方は、支援してみることを強くおすすめします。
※一般販売されました。
ZIP20の概要
注目ポイント
- えもいわれぬ高級感
- ケースの開閉音と金属質感
- しっかりしているイヤホン性能
仕様・スペック
- 形式:カナル型
- チップ:Qualcomm 3040
- Bluetoothバージョン:5.2
- 対応コーデック:AAC、aptX、SBC
- スピーカー:10mmダイナミック型
- 再生周波数帯域:20Hz〜20kHz
- 重量(イヤホン本体):4.2g
- 重量(イヤホン本体+ケース):70.2g
- 電池容量(イヤホン本体):45mAh
- 電池容量(ケース):450mAh
- 連続再生(イヤホン本体):約6.5時間
- 連続再生(イヤホン本体+ケース):約33時間
- 防水・防塵:IPX4
- カラーバリエーション:モダンブラック、ダークグレー
ZIP20レビュー
では実機を見ていきます。
外観・デザイン:高級感あり
金属製のサラっとしたケース。
YOBYBOのロゴは賛否がありそうですが、質感は良いです。
表面はマット仕上げです。
裏側には各種認証の印字。
USB-C充電です。
イヤホンは縦入れです。
一方、イヤホン本体はプラスチック製。
一瞬「なんだよ」という気になりますが、本体が重いとつけ心地が落ちるので、実利をとってそうしたのでしょう。
ただ全体の表面加工にプラスチック感はありません。
ボタン部分はラメ感とゴールドで高級感を演出。
悪くありません。
重さ・大きさ:小さいが、ずしりと重い
イヤホン本体は4g前後と標準的な重さなのですが……
ケースを入れると70gオーバー。
だいたいの完全ワイヤレスイヤホンはケース込みで40〜50gなので、だいぶ重い部類です。
が、重いからダメなわけではありません。
実際に持ってみると、その薄さ・小ささとは裏腹に感じる「ずしり」が高級感を感じさせるのです。
NAE
つい手に取りたくなります
ケース開閉音:金属のぶつかりあう音が癖になる
ちょうどいい跳ねっ返り感とともに「カチッ」という音がします。
これわりと良くて、気づいたら無駄に何回も開け閉めしてます。
Bluetooth接続:問題なし
半径1.5m以内にWiFiアクセスポイントや5個ほどのBluetooth機器がある自宅デスク環境では、
- ペアリングのスピード、
- 接続の安定性、
- 接続先切替のスピード
のいずれも問題ありませんでした。
快適に使える水準だと思います。
装着感:違和感はないが、少し浅め
特に違和感なく装着できます。首を振っても落ちません。
が、個人的にもう少しイヤーピースが奥までグッと入ってきてくれるほうが好みでした。
操作性:良好。問題なし
タッチ操作です。金色の枠に囲まれた部分が検知領域。
タッチ感度は良好。主たる操作方法は以下の通りで、一通りできます。
- 右1回タップ:音量アップ
- 左1回タップ:音量ダウン
- 右/左2回タップ:音楽の再生・停止
- 左2秒長押し:曲戻し
- 右2秒長押し:曲送り
- 右/左3回タップ:音声アシスタント呼び出し
スピーカー音質:迫力よく弾む低音が好き
第一印象は、良い低音を出すな、です。
音量バランスは低>>中>高。典型的な低音系です。
ただ低音系と言っても、ただ低音域をのべたんに強くしたのではなく、バスドラムの音をピンポイントで突き刺してきます。
具体的には、バスドラムの音に混ざる若干の高音も捉えて強化しているイメージ。
そのため、低音が跳ねるor弾むように聞こえてきます。心地よい音です。
一方、中音域と高音域は若干潰れがち。
特に中音域は、臨場感、奥行き、音の分解や粒度感が弱く、音の位置関係を捉えにくいため、のっぺり平面的な聞こえ方になります。
高音はかろうじてきらめきを感じますが、脇役に徹しているな、という印象。
あくまで低音が主役、ほかはサブ、というバランス感の音です。
Lo-FiヒップホップやEDMと相性が良さそうです
マイク音質:中の下
マイク音質は、期待しすぎてはいけない水準です。基礎的な集音性能が低いためです。
具体的には、
- 結構声を張っても自分の声が遠く聞こえる
- なのに破裂音(さしすせそ)は音割れする
で、言っていることは通じるけれどクリアとは言えません。
あくまで「おまけ」と考えたほうが良いでしょう。
バッテリー:2世代前の水準
フル充電で本体のみで6.5時間連続再生。ケース込みで33時間。急速充電やワイヤレス充電は非対応。フル充電まで2時間。
……と、こうして並べてみると、バッテリーのスペック的には2019年後半の水準です。
2020年後半からは、本体のみで7時間連続再生、ワイヤレス充電や急速充電対応のものも出てきていることから、2世代前の水準です。
ただ、最新だから最善なわけではありません。自分の使い方的に十分なスペックであるかが大事。
その意味では、通勤や通学の際に聴く用途であれば十分なバッテリーライフです。
防水・防塵:IPX4レベル
「あらゆる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響を受けない」とされるIPX4レベルの防水性能を備えています。
要するに
- どしゃ降りの雨やシャワーはNG
- ちょっとした雨や汗が当たるくらいならOK
ということ。
ワークアウト等で使うくらいなら大丈夫でしょう。
保証:1年間
クラウドファンディングページのQ&Aに
ZIP20は1年間の製品保証があります。正常使用で製品に不具合が発生した際は、日本人スタッフが日本語で対応させて頂きますのでご安心下さい。
とあります。
具体的な問い合わせ先は、クラウドファンディングの実行社であるLevel1社ではなく、YOBYBOの日本正規代理店である株式会社MiraArcになると思います。
YOBYBOには、CARD20やNOTE20など先行機種の国内販売・サポート実績があります。
なので、ZIP20についてもクラウドファンディングで売って放置にはならないでしょう。サポートは信頼して良いと思います。
ZIP20はこんな人におすすめ
まとめ:既存のものさしでは測れない
総合評価:
評価がとても難しいアイテムです。まったく新しい角度から価値訴求しているものなので、既存のものさしでは測れないためです。
なので、完全に個人的な好みで★をつけました。持ったとき「おお……」と感じる高級感が好きだったのでベースは★5。★-1とした理由はバッテリーまわりに前世代感を感じたから。
・・・
これまで完全ワイヤレスイヤホンは単なるツールとして扱われてきました。
一方、ZIP20には「魅せるアイテムとしての完全ワイヤレスイヤホン」という別世界を切り開こうとしている野心を感じます。
コスパ、スペック、性能競争に明け暮れる完全ワイヤレスイヤホン界隈にはもう飽きた……という方にこそ、ZIP20を試していただきたいなと。
以上「ZIP20レビュー | 「魅せるアイテム」としての完全ワイヤレスイヤホン。新しい価値訴求を目指す野心作」でした。